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LOVE PHANTOM(33)

SIDE SHOTARO

俺は休日出勤を余儀なくされていた。

親父がFF-86のカラー変更を指示したのだ。
「ピンクの予約数が伸びないから、もっと好まれそうな色に変更しろ」と言う事だったけれど・・・

(何なんだよ、急に・・・この前はピンク推進派だったくせに)

既に予約を入れた顧客に対する対応、WEBサイトやカタログの更新、代替色の決定等々、やる事は山積みだ。もっと女性受けを狙うカラーを、という事であれば、新色追加という形を取れば良いのに、それでは駄目なのだという。理不尽な要求だと不満が募るが、もう決定事項だと言われたら従うしかなかった。

(いい加減、今日は帰るか・・・)

気が付けば窓からさす光が赤みを帯びていた。朝からずっと働き詰めだった俺は流石に疲れていたし、休日にできる事は限られている。荷物をまとめ、帰宅しようと社内を歩いていると・・・法務部長に出会った。

「お疲れ様です、お互い、休日出勤ですね・・・」
「不破君もお疲れ様・・・カラー変更の件だね?」

彼と並んで歩き始める。俺は、部長の顔を見て・・・今週、キョーコが名古屋に戻ってきていた理由を思い出していた。

「ええ・・・部長は例のソフトウェア不正使用の件ですか?」

「そうです。でも、不破社長が向うの社長と話を付けてくれて・・・不正使用のあった日に遡って契約を結べる事になったんです。明日、契約課のヨシダさんと一緒に東京で社長に合流して、先方と契約内容を詰める事になってます」

「丸く収まりそうで良かったですね?」

「本当に。一時は、最悪FT-86の販売延期かと肝を冷やしましたが・・・」

(販売延期とか・・・そんな大問題だったんだ・・・でも、流石親父だな)

交渉術に長けた親父が出て行ったとなれば、大概の事は解決する。それに、親父は対応が素早い。俺が常々に見習いたいと思っている点だ。

「そうそう、向うの社長が、最上さんの大学時代の先輩だったみたいで・・・そうだ、不破君も知ってるんじゃないですか?」

部長が思い出したように聞いてくる。同じ東都大だからって・・・学部が違えば、殆ど知り合う機会は無い。だから、

「自分は経済学部でしたから・・・法学部に知り合いは、あんまり居なくて・・・」

そう答えると、

「いや、先方の社長は・・・確か理学部で・・・敦賀さん、という方なんですが・・・」

「敦賀!?・・・敦賀蓮!?」

俺は、思わずフルネームを叫んでしまう。

「あ、御存知でしたか?」

「知ってるも何もっ・・・」

久しぶりに聞いた名前に、憎々しい想いが込み上げてくる。だってアイツは、

----冴菜さんが亡くなって・・・キョーコが精神的に弱っていた時期に、キョーコを捨てた男

俺の大事な従妹は、敦賀蓮と別れた後、しばらく酷く落ち込んでいた。それを立ち直らせるため、どれだけ俺が骨を折ったことか。あの男は、キョーコを甘やかすだけ甘やかして・・・キョーコが一番、誰かに支えて貰いたかった時に、突然、キョーコを突き放したのだ。

(アイツならキョーコを幸せにできるかもって、思い始めていたのに・・・)

俺の苦い回想は、部長によって中断させられる。

「敦賀氏は才能のある方みたいですね?不破中研の所長が、彼の作ったソフトを不正を犯してでも使いたいと思う程ですから・・・」

(確かに、頭は良かったらしいけどなっ)

「先方は、今まで不破の関連会社との取引に一切応じなくて、何が問題なのかと首を捻っていたのですが・・・」

(間違いなく、敦賀蓮の個人的な・・・逆恨み?)

「あぁ、でも今後は付き合いをしてくれるそうで・・・あと、同窓のよしみで最上さんが先方の顧問弁護士を受ける事になったみたいですよ?」

「なんだって!?」

俺は咄嗟に、トミタさんの行く手を遮ぎって、問いかけた、

「キョーコ、敦賀蓮に会ったんですか?」

「わっ、不破君!?わ、私は良く分からないですけれど・・・社長から、向こうの会社が弁護士を必要としていて・・・それに最上さんが対応することになったから、落ち着くまで彼女を呼び出すなとだけ言われて・・・」

(親父はキョーコが、敦賀蓮と付き合っていた事を知らないっ!!)

「お先に失礼しますっ!」

俺は、その場から駆け出して・・・駐車場へ急いだ。走っている間、キョーコか、親父か・・・どちらに先に電話を掛けるべきか迷いながら。





(・・・・トゥルル・・・トゥルル・・・トゥルル・・・トゥルル・・・・)

呼び出し音が、もう10回以上も繰り返されている。

ついさっき、親父に電話したけれど、「キョーコちゃんには連絡するな、名古屋に帰ってから事情を説明する」と言って、無理やり切られた。でも、そんな言い方をされたら、益々、不満と不信と・・・不安が募る。納得できるはずが無い。

(二度とキョーコとアイツを会わせたくはなかったのに・・・)

「・・・もしもし」
「もしもし、キョ・・・!?」

やっと繋がった電話から聞こえてきたのは低い・・・電話越しなのに艶のある声。こんな声を出すのは、ヤツしか居ない。

「って、敦賀蓮!?なんて、お前がキョーコの携帯に出るんだよっ!!」

キョーコと敦賀蓮が一緒にいるであろう場面にいきなり遭遇して、俺は焦った・・・嫌な予感がする。

「君こそ・・・何故、キョーコの電話に掛けてくるかな?キョーコに2度と連絡するなって言われてないのかな?」
「親父が何て言おうと関係ねーよ・・・って、テメーのせいか!?」
「・・・御曹司とは思えない言葉の汚さだね。元々は、君のせいだから・・・」
「何がだよ!?とにかく俺は、キョーコに電話を掛けたんだよ。代われよ!」
「代わってあげてもいいんだけど・・・」

勿体ぶった言い方に腹が立つ。

「とっとと、キョーコを出せよ」
「彼女、さっき寝たばかりだから・・・」
「はぁ!?起こせよ!」

まったく、キョーコは阿呆だ。こんな男の前で寝こけている場合ではないのに、何をやってるんだ!?

「不破君は、随分酷いこと言うね・・・さっき気絶するみたいに眠ったから・・・無理だよ」
「なっ!?」

一瞬、最悪最低の想像が頭をよぎる。まさか、そんな事にはなっているはずは・・・

「お前・・・キョーコに何も・・・してねぇだろうな・・・返答次第じゃ・・・」
「心外だな・・・何かしたに決まってるじゃないか?」

くすくす、と電話口から笑い声が聞こえて来て、俺の頭の中が沸騰した。

「って、テメー、キョーコに何をした!?」
「いろいろと・・・一通りの事は全部かな?いや、感激したよ。キョーコが未だに処女だったなんて・・・」

『キョーコが処女だったなんて』

その言葉が、頭の中でぐるぐると渦を巻く。携帯をもつ手が震え・・・足から力が抜けて、俺は思わずそこにしゃがみこんだ。

「君も相当、間抜けだったんだね・・・不破君・・・さよなら」

そうして、電話が切られた。

(一体、どうして?何が起こったんだ!?)

俺は、不破自動車の駐車場に停めた車の中で・・・夜が更けるまで、茫然としていた。





へるぷみー。

LOVE PHANTOM(32)

SIDE REN

----気が付いたらポルシェで第三京浜を飛ばしていた。

無意識に車を運転するなんて危険極まりない行為。
でも運転する自分に気が付いた時・・・自分なんてどうなっても良い・・・としか思えなかった。いっそ、他人に迷惑を掛けたっていい・・・キョーコの住むマンションに突っ込んでしまおうか・・・なんて事まで浮かんできていた。

(今、東京に居たら・・・本当に彼女のマンションに突っ込みかねない・・・)

残った理性をかき集めて横浜方面に向かう。車の間を縫う様に走り抜けながら、神経を運転に集中させよう・・・と思うのに、流れる風景に被るように浮かんでくるのは不破と抱き合うキョーコの姿。
しっかりと、不破の背中に回された華奢な腕。

(明らかに同意の上・・・)

二人の幻を振り払うようにアクセルを踏み込むけれど、次に頭に流れるのはキョーコの言葉。
己の記憶力に今ほど嫌気が差した事は無い。

『不破自動車の為なら、私の気持ちなんて小さな事だよ?・・・
・・・お母さんが心から望んでるって分るから。娘の私が受け入れなきゃ可哀想』

(不破自動車の為なら、キョーコの気持ちは小さな事かもしれないけど・・・母親の望みって、何?もしかして、不破と結婚するつもりなの?)

そう、彼女に聞きたくて・・・聞きたくなくて・・・答えを聞くのが怖い。

(不破自動車や母親よりも俺を選んで、なんて言わないから・・・不破キョーコにはならないで?)

そう願う事すら・・・背筋が凍る様な想いがした。





「昨日はどうも済みませんでしたーーー!」

キョーコが足元で見事な土下座を決めている。大きな瞳に溢れんばかりの涙を湛えながら訴える。

「あの、電話にもメールにも出ない位・・・凄く怒っているのかもしれないけど、謝りたくて・・・」

昨夜はあれから適当な港に愛車を停め、暫くぼんやりしてしまっていたらしい。
いつしか空が白み始め・・・とうとう朝日に照らされた所で我に返った。それから、徹夜明けで鈍く痛む頭を抱えながら自宅に戻り・・・そのままリビングのソファに倒れ込んで寝ていた所に、キョーコがやって来ていた。

----人の気配がした様な気がして目を覚ますと彼女が目の前にいて

覚悟も無しに、いきなり彼女に対峙する事になったけれど・・・半ば寝ぼけていたのが功を奏したと言うか、なし崩しに会話を始めてしまえば、いつも通りに振舞うのは苦ではなかった。

「別に、怒ってないよ・・・」
「でも・・・」
「昨日は疲れてて・・・キョーコが中々来ないな・・・なんて思っている内にここで寝てしまったんだ・・・別に怒って無視したとかじゃないから・・・」

適当に嘘をつき、微笑んで見せれば、こわばっていたキョーコの顔が、見る見るうちに明るくなる。

「そうだったの!?よかったぁ~ でも、昨日はごめんね?私、連絡もしないで・・・」
「別に、もういいよ・・・」
「あ、そうだ、蓮と一緒に食べようかと思って、お土産持ってきたの!!」

一応、ご機嫌取りのつもりなんだけど、と言いながら彼女が何やら紙袋から小ぶりのマグカップの様なものを取り出した。

「なにそれ?」
「じゃーん、プリンでーす。なんと、谷中にある超有名店謹製!凄くおいしいんだよー」

『プリン』

その単語に、胃がぎゅっと収縮する。それは、ヤツの好物じゃないか。

「どうしたの、それ?」

それでも、そんな事をまるで気にしていないかのように会話を続ける。

「昨日、ショーちゃんが買ってきてくれて・・・」
「不破君が?」

うん、と縦に首を振るキョーコに・・・不破松太郎に会っていた事を正直に告白してきた彼女に・・・今度は俺の心臓がぎゅっと縮こまる。

「・・・昨日、彼と会ったんだ?」
「うん。遅くなったけど、司法試験の合格祝いだって。それで・・・一緒にプリンを食べていたら何だか眠くなっちゃって・・・私も、気が付いたら朝まで寝ちゃってて・・・」

不破と会っていたのは真実。でも、寝ちゃってた云々は明らかに嘘・・・

(・・・嘘なのか?)

俺は、1つ浮かんだ疑問を口に出してみる。

「キョーコは・・・不破君と『寝た』の?」
「えぇ!?いくらなんでも・・・もう大学生だもの、ショーちゃんと一緒の布団で寝たりしないよ?彼はプリンを置いて直ぐに帰ったよ!」

いつも通りの天然娘的な模範解答が帰ってくるけれど・・・それは俺は動揺させるに十分だった。

(不破君は、しばらく君の部屋にいたはずだろう!?)

キョーコは隠し事ができない、嘘をついたら顔に出るタイプだと思っていた。なのに、今、俺の目の前で自然な表情で嘘をついた。

(きっと、真実を知っていなければ気が付かない・・・)

俺は、その事実に打ちのめされて、思考がまともに働かなくなる・・・そうする内に、俺の様子がおかしいと思ったのか、

「蓮・・・どうしたの?大丈夫?」

そう、キョーコが声をかけてきて、俺は動揺する自分を奮い立たせ何とか

「あ、うん。そうだ、プリン・・・食べようか?コーヒー入れるよ?」

そう言って、俺は逃げ出す様にリビングを後にした。とりあえず、少し落ち着きたい。

(俺は今まで・・・彼女の何を見ていたんだろう・・・?)

心に浮かんだ疑問は大きくなるばかりだった。






「あのね、実はお母さん、北米のプリシラ裁判の事で忙しくって、会う時間が取れないって・・・だから、名古屋に行っても、会う事はできないの・・・」

コーヒーも飲みながら、そう彼女が切り出してきた。

「そうなんだ・・・」

(それは、単に俺を紹介できなくなったからじゃなくて?)

やっぱりな、という諦めの気持ちと共に・・・これまで、キョーコの言葉を素直に受け取っていた俺は彼女の言葉を疑い始めた。

「・・・多分、半年くらい経てば・・・事情も変わると思う」
「そう・・・」

(何の事情が変わるのか・・・あぁ、プリシラの件? でも、半年後、と言いながら、その時になって実は今度は・・・とか言い出すんじゃないの?)

「だから、クリスマスに名古屋に行く用事はなくなって・・・あ、でも、一緒に何処かには出掛けよう!そうだっ、前にクリスマスは東京ネズミーシー!って約束したよね!あっ、でも蓮の行きたい場所があれば、どこでも良いよ?」
「別に・・・どこでも・・・」

と投げやりな思いで言いながら、待てよ、と思う。

「・・・本当に、どこでも良いの?」
「もちろん!」

手招きで「おいでおいで」をしながら、さぁ、行きたい所があるなら言って頂戴!と言わんばかりのジェスチャーをするキョーコは・・・やっぱり、かなり可愛い。

「なら、ロサンゼルスに行こう。本場のネズミーランドに行かない?」
「ええ!?」

驚きに目をキョロキョロさせるキョーコに向かって話を続ける。

「滞在費は俺の実家に泊まれば掛からないし・・・大丈夫、ちゃんとゲストルームがあるからね?アメリカのクリスマスは華やかで・・・きっとキョーコも好きになるよ?それに、俺の両親にキョーコを紹介したいなぁ・・・」
「あ、の・・・」

困ったような、申し訳なさそうな顔をする彼女に・・・肯定の答えしか聞きたくなくて、

「はい or Yes? 」

と、答えを迫る。

「うっ・・・どっちもどっち、じゃない・・・」
「何?俺の行きたい所は、どこにでも行ってくれるんでしょ?」
「で、でも・・・」

キョーコの「No」な態度に、心が急速に冷える。
いつも、そう。俺はいつも、期待を裏切られる。今までは、それは俺が期待過剰だから、と思って割り切っていたけれど・・・俺ってば本当に、

----『都合の良い男』・・・だよな・・・

と、今更ながらに気付いてしまった。俺はキョーコに・・・尽くすだけ尽くして・・・見返りを要求せず・・・物分かりが良く振舞って・・・それが彼氏なんだから当たり前だって、思っていた。いや、そうゆうものが愛する事だと信じていた。

『Love is patient and kind. Love is not jealous or boastful or proud or rude. It is not self-seeking...』

でも、その結果がこれだ・・・

「ははっ・・・」

思わず自嘲が零れる。俺は、最後に愛は勝つんだと・・・何の根拠もない事を、絶対であるかの様に思い込んでいたらしい。

「別に、行きたくないなら良いよ・・・」
「そんな事ないよっ!ロサンゼルス行ってみたいし、蓮の実家も見てみたいしっ、でも、ただ、いきなりで緊張するっていうか、心の準備がいるって言うか、そうだ、春休み!春休みに行こうよ!!」

それまでに英会話の勉強もするしっ、ダイエットも今まで放置し放題だった、髪とか肌の手入れもしたいの~!とキョーコが可愛らしい言い訳をするけれど・・・

(また春休みになったら、行けなくなったとか言いだして・・・本音は俺の両親にも会いたくないだけじゃないの?)

否定的な考えが堰を切ったように浮かんでくる。
司法試験が終わって・・・俺たちはやっと口づけを交わす仲になって・・・確かキョーコの気持ちが俺に追いついて来ていると思っていたのに・・・それだって、俺の「期待過剰」なんじゃないか?

----もう、キョーコの気持ちが読めない・・・彼女は嘘吐きだから

彼女の本当の気持ちを確かめたい。不破とのことを問いただしたい・・・でも、その結果が怖い。俺の思考はまた混乱を始める。

----どうしたら、彼女の気持ちを確かめられる?

そうして、俺は・・・今思えば、最悪の選択をしてしまったのだと思う。

「もう、いいよ。悪いけど、クリスマスは一人で過ごしてくれないか?」
「蓮!?いきなり、どうしたの?」

訝しげな表情のキョーコに、俺は自分の悲しみをぶつけてしまう。

「もう、君には付き合いきれない・・・」
「!?ごめんなさいっ!」
「何で謝るの?キョーコは何か悪い事をしたの?」

間髪入れずに謝罪する彼女にイライラが募る。

「えっと、その・・・昨日の事?」

昨日・・・それは禁句。抱き合う二人を思い出させる・・・。

「そう、昨日は・・・最悪だった」
「ごめんなさい」
「だから、もう・・・そう、俺達別れよう・・・」

『別れる』

絶対に、自分から言うつもりが無かったはずの言葉が出てくる。

俺の中に・・・ 「俺は別れたくないっ!」と荒れる自分が確かに居るのに。一方では「もし君が俺を捨て不破を選ぶつもりなら、俺から別れを切り出されるのは好都合だろう?」と、冷やかに告げる自分もいた。

(なんか、バラバラ・・・意味不明・・・)

「そ、んな・・・・ご、ごめんなさい。わ、私、蓮がもう怒ってないって勘違いして・・・」
「怒ってないよ・・・」

(そう、俺は怒っている訳じゃない・・・)

「いきなり・・・別れるなんて言わないで・・・?」

涙目になり、動揺して・・・ふるふると震え出すキョーコの姿を見て、俺は喜びを感じた。

「別にいきなりじゃない。俺は・・・ずっとギリギリだった・・・」

(そうか・・・俺は、君を試しているんだ)

やっと自分の行動が理解できた。

----キョーコに俺を惜しんで欲しい。別れたくないと縋って欲しい。

言葉にはできない想い。その万感の思いを込めてキョーコを見つめていると・・・どれだけ時間がたったのか・・・大きく見開き、潤んでいたキョーコの目から、一粒だけ、涙がポロリと零れた。

「今までどうもありがとう。蓮に甘えてばかりで・・・ごめんなさい」

そうして、律儀にお辞儀をするキョーコの姿を・・・背を向けて遠ざかる姿を・・・
俺は何も言えず、ただ見送ることしかできなかった。





やっと、現在へ・・・。

LOVE PHANTOM(31)

SIDE REN

「そろそろ、かな・・・」

俺はキッチンに立ち、サラダを作っていた。
ハンバーグとオニオンスープの下準備は出来ているから、仕上げはキョーコが来てからすればいい。

----もうすぐ7時

司法試験が終わってから、デートで外食したり、キョーコが食事を作ってくれる事が多い。けれど、時々は以前の様に俺が料理を振舞っていた。

完成したサラダをリビングに運び、ソファに腰掛ける。
そうして、手元に置いてあったガイドブックをパラパラとめくる。

(冬場でも、麓の富士五湖あたりの道なら雪は大丈夫なはず。富士急○イランドで遊ぶのも良いし・・・)

名古屋の観光はキョーコが「任せて!」と張り切っているので俺に主導権は無い。
でも、キョーコとの初めての旅行なのに受身のままなのが嫌で・・・俺も何か計画を・・・と考え、名古屋に行く途中、御殿場I.C.で降りて富士ドライブをしよう、と思い付いたのだ。

(キョーコは絶叫マシンが好きらしい・・・)

子供の頃、父と良くスカイダイビングをしたな、と思い出す。彼女には似合わない!と笑われたけど、これでも俺はアウトドア系だったんだ。

(そうだ、春休みには俺の実家に一緒に帰ろうって誘おうか?)

定番すぎるけど、ディズニーランドに一緒に行くのもいいし、ハリウッドは母さんに頼めば中を見学できる。すこし、足を延ばして、グランドキャニオンをトレッキングするのも楽しいはず。俺が、アウトドアでも使える男だと証明して見せたい・・・そんな事を考えていて・・・ふと、時間が気になって顔を上げる。

「・・・あれ?もう8時だ」

約束の時間を1時間もオーバーしている。俺はガイドブックを1時間近く見ていたらしい。

(連絡は・・・ない、な)

沈黙を守っていたらしい携帯を見て、思わず溜息をつく。
いつもは時間に遅れそうな場合、前もって電話なりメールを入れてくるはずなのに・・・こちらから電話を掛けてみても留守電に繋がるばかり。

(電話にもでない・・・か)

これまでにも何回か彼女と連絡が付かなかった事はある。つい最近の理由は、受験勉強の疲れが溜まって、家で寝入ってしまっていたそうだ。

とりあえず、ベランダに出てキョーコのマンションの方角を見つめる。すると、キョーコの部屋に明かりが付いているのが確認できた。

(家にいるの?・・・ちょっと様子を見に行ってみるか・・・)

俺はコートを羽織り、徒歩10分の道のりを少し急ぎ足で歩き始めた。


***


----ピンポーン

キョーコの部屋の呼び鈴を鳴らすけれど、反応が無い。

(そもそも呼び鈴に反応する位なら、電話に出るはずだよな・・・)

さて、どうしようか・・・、と思う。部屋の明かりが付いていたから、家に居るのだろう、と、思わずここまで来てしまったけれど、彼女が出迎えてくれなかった場合の対応を深く考えて無かった。

(このまま帰っても、な・・・)

連絡が無いのはどうして?と不安になる自分が容易に想像できる。もし、前回の様に彼女が寝ているだけならいいけれど、それならそれを確認したい。そこで、俺はこの部屋の合鍵を取りだした。

----ついこの間、彼女にもらった俺の宝物

『蓮の部屋の鍵だけ貰っているのは悪いから・・・』

彼女の受験勉強期間中、俺の部屋の合鍵はキョーコに渡してあった。そうして蒔いておいた種が今になって、実を結んだのだ。

(でも、勝手に入るのは・・・)

鍵穴に鍵を差す直前で手が止まる。
例えば、彼女の方から「今日は部屋で待っていて欲しい」と言われて合鍵を使うのはやぶさかでない。でも、何の前置きもなく使うのは気が引けるのだ。

(でも、もし部屋に居なかったら?・・・何か事件に巻き込まれていたら?)

キョーコの事になると、思考が後ろ向きになる自覚がある。
そんな風に、悶々とするくらいなら、さっさと入れよヘタレ、と頭の中で囁く声がする。仮に彼女が中に居たとしても、電話も呼び鈴にも気付かない状態なのだろうから、そっと中に入ってそのまま出れば、俺が勝手に入った事に気付かれないだろ?と畳み掛けられる。

(それもそうだよな。それに見つかっても「待ち合わせに来なくて心配だったから」ってゆう正当な(?)言い訳もあるし・・・)

そう自分に言い聞かせ、俺は一応、音を立てないよう鍵を開け、中に入った。そしてすぐ、玄関に不自然なものがある事に気付く。キョーコが普段穿いている靴の隣にある、

----男物の靴?

ドクン、と心臓が大きく動くのを感じる。もし、この部屋にキョーコと誰か男が一緒に居るのなら。
電話にも出ず、呼び鈴も無視して・・・。

俺は咄嗟に部屋の中から死角になる場所に身を隠した。そして、ド、ド、ド、と煩く鳴る心臓の音をなるべく聞かないようにしながら、音を立てないよう玄関と部屋をつなぐ廊下を進み、部屋のすぐ入口のすぐ側までたどり着く。すると、男女の話声が聞こえてきて・・・

「不破自動車のためなら・・・私の気持ちなんて、小さな事だよ?」
「そんな風に言うなよ・・・いくら冴菜さんが望んだことと言え、キョーコが簡単に納得できるはずないのに・・・」
「ううん、いいの。お母さんが心から望んでるって分るから。娘の私が受け入れなきゃ可哀想・・・」
「キョーコ・・・」
「ショーちゃん・・・」

そこで、会話が途切れた。

----見てはいけない。部屋の中を見てはいけない。見たら、きっと、見たくないものを見てしまう。

そう思うのに、体が勝手に動いた。そこで、俺が見たものは・・・

『不破松太郎と抱き合うキョーコ』

の姿だった。




いつまで、この過去編が続くのか・・・次で終わるはず。

LOVE PHANTOM(30)

最近ヤル気復活気味・・・


SIDE KYOKO

司法試験に合格した後、私は生活リズムを少しだけ緩やかにした。

本当は私の実力が足りない事は分ってる。だから、試験に合格したとしても弁護士として必要な知識を身につける勉強はしっかりと続けなければならない、と思う、けど、

(とりあえず・・・沢山、蓮とデートしなくっちゃ)

何気なく、その事を奏江に話したら、

「彼氏が司法試験の受験生だからって・・・10年以上も彼氏を待ち続けた彼女の話って、結構聞くわよ?それに比べて、アンタは2年も掛かってないんだから、そんなに気にしなくても・・・って本当は言いたいところだけど・・・」

そこで、親友が難しい顔をして眉間にしわを寄せた。何、その顔?って思っていると、

「長いとか短いとか、普通はどうかって関係ないのよね。敦賀さんは、何かに縋らないと気持ちのバランスを保てなくない位、ギリギリって・・・そんな気がするから、大事にしてあげなさいよね?」

真摯な瞳に添えられた言葉にドキッとする。

「私・・・そんなに蓮をないがしろにしている様に見えた?」
「そうじゃない、そうじゃないんだけど・・・ごめん、二人の間の事に部外者が口を出すべきじゃ無かったわ。今の忘れて?」
「え?でも・・・
「でも、クリスマスは一緒に名古屋に行くんでしょ?」
「あ、うん」
「お母さんに紹介するんでしょ?」
「一応、そのつもりだけど・・・」
「敦賀さん、楽しみにしてるでしょ?」
「みたい。最近は会う度に、その話ばっかりで、何って言うか、やけに機嫌が良いって言うか・・・」

なら余裕を取り戻したって事なのね、って泰江が言うけれど、ギリギリとか、余裕が無かったとか、いまいち言っている意味が分からない。

でも、やっぱり私がちょっと蓮に対して不誠実だったんだと思う。

(自己中心的、だったな・・・)

私は深く反省し、これからは蓮の事をもっと大事にしなくっちゃ、と思った。


***


「冬休みは蓮と一緒に名古屋に帰ろうと思うの。彼をお母さんに紹介しようと思うんだけど・・・ショーちゃんはどう思う?」

私は部屋に遊びに来ていた幼馴染な従兄に聞いてみた。すると、

「不可能だ」

と、予想外な返事を返される。不可能って・・・何で無理なの?と問いかけたら、すっと、目を逸らされてしまう・・・

「敦賀サンを冴菜さんに会わせようなんて考えるな」

そうして、またもや不可解な言葉を言う。

「なんで?蓮だって、私だってお母さんに一緒に会うの、楽しみにしてるんだよ?」

「駄目だ。絶対に止めろ」

そこまで聞いて、私はキレた。なんだか、いつもは柔らかい雰囲気のショーちゃんの顔が怖いけれど、この件は、譲れない、と思う。

「何、それ?何で命令形なの?もういいよ、聞いた私が間違いだった。蓮と一緒に名古屋に帰るもん」
「悪かったよ・・・でも、言う事を聞いてくれ」

そういって、ショーちゃんが更に険しい顔で・・・でも、何だか泣きそうな顔をする。でもすぐに、歯をくいしばるような仕草をして・・・目を逸らされてしまった。私は思わず、彼の視線を追いかけるように、顔を覗き込む。すると、がばり、とショーちゃんの腕の中に抱き込まれた。

「キョーコ、落ち着いて聞いてくれ」

(え!?)

キツイ抱擁に・・・私は驚きで声もでなかった。

「今まで、黙っててごめん」

さらに腕に力が込められて、正直、苦しい。でも、その次の彼の言葉に、そんな事はどうでも良くなる。

「冴菜さんは・・・亡くなった。だからもう・・・誰も会えないんだ」

・・・。
・・・・・。
・・・・・・・・・。

「な、何言ってるの、ショーちゃん?冗談でも・・・
「冗談でこんな事、言わない!言いたくない!!」

(ショーちゃんの体が僅かに震えている・・・)

触れ合う体からダイレクトに伝わってくるそれに、私の頭はショーちゃんが真実を言っているのだ理解した。
思いあたる節はある。癌が再発したのだろうか?覚悟を全くしていない訳ではなかった・・・だから、極力冷静に聞く。

「・・・いつ?」
「10月18日だった・・・」

(ジュウガツジュウハチニチ?)

私は、日時を反芻して愕然とする。今はもう12月。

「な、に、それ!?」
「すまない・・・」
「すまないって、何!?ど、して、私が、娘の私が、今、知らなきゃならないの?何で!?」

私は、まだショーちゃんに抱きかかえられたままだったけれど・・・力の限り暴れ始めた。

(信じられない!信じ・・・)

「お母さん、司法試験に受かったってメールしたら、次の日、メールくれたもん!『良くできた素晴らしい娘』って褒めてくれたもん!」

ぐるぐると、目が、世界が回っていると自覚できる程、頭が混乱してる。

「それは、冴菜さんが亡くなる直前に予約送信で打ったんだ・・・キョーコは絶対に受かるって信じてるから、って」

(!!!)

「何で・・・どうして・・・おかあさん・・・お・・かあさん・・・」

「冴菜さんは、亡くなってる。でも、生きていなきゃいけないんだ。対外的に・・・」

多分、ショーちゃんは何度も私に話をしてくれたのだろう。彼が家に来たのは夕方だったのに、気が付いた時には、もうすっかり夜が更けていた。やっと理解できた彼の話を纏めると、

----今年の夏、北米不破自動車でトラブルが発生した

テレビでも報道されたそれは、主力商品のプリシラのブレーキ欠陥で、不破自動車の過失を問う裁判は今も続いている。母が担当すればきっと完全勝利できるけれど、母は告発当初から体調を酷く崩していて全力で当たれない。
でも都合のいい事に、言いがかりの様な裁判は政治的な思惑も絡んでいて、ある程度、不破自動車側が勝ちを譲らなけれならない状況になっていて。不破自動車としては、最上冴菜をあえて担当から外すことで譲歩しているのだ、と相手に印象付けながら、でも、少しでも調子に乗れば、不破自動車は無敵クイーン:最上冴菜を法廷に出す用意がある。

----最上冴菜をチラつかせながら、実は全力で裁判を闘っているんだ

そうゆう事だった。

「だから、プリシラの裁判が終わるまで冴菜さんは生きていなくっちゃならないんだ。この事は親父と俺と、法務部のトップしか知らない」

「それは・・・お母さんの指示、なのね?」

母は、そうゆう人だった、と思って尋ねてみる。

「キョーコには知らせるな、って。ごめん。本当は・・・俺は知らせてやりたかった、ちゃんとお別れさせてやりたかった・・・」

そう言いながら、ショーちゃんが優しく頭を撫でてくれた。

「・・・お母さんらしい。分かった・・・・今まで、ありがとう。私に黙ってるの辛かったでしょ?」

徐々に、心が凪いで来る。ショーちゃんが私以上に心を痛めてくれていた事が伝わってくる。私の幼馴染はこの腕の中の様に、とても温かくて優しいのだ。

「礼なんて言うな・・・冴菜さんの遺骨は、実家で丁重に預かってる。裁判が終わったら、盛大に式を上げる、だから・・・それまで、部外者に知られないようにしてくれ」

「・・・分かった。分かったよ、ショーちゃん」

私は、何度も頷きながら、暖かい温もりに身を任せていた。

(私だって、不破の血が流れているんだもの。不破自動車の為に、この悲しみは乗り越えなきゃいけない・・・)





これで大体の伏線は回収できたかと…

LOVE PHANTOM(29)

SIDE KYOKO

蓮が予約していたのは、渋谷にある高層ホテルの最上階にあるバーレストランだった。

照明が押さえられた薄暗い室内からは大きな窓に映る夜景がくっきりと見える。隣の席と十分なスペースを空けて並べられた黒いテーブルには、キャンドルの光がゆらゆらと反射していて・・・

(なんだか、オトナな雰囲気です)

予約席は一番窓際の席。窓に向かって、一人掛けのソファが二つ「ハ」の字になるように少し傾けて並べられていた。

(今日はきれい目な格好をしてきてよかったな・・・)

法務省に合格発表を見に行くのに、あまり締りのない格好をするのは駄目でしょう?と、少しきちんとした格好をしたいたのだ。ずっと身なりに気を使う余裕がなくて・・・いつもの格好で来ていたら、ヤバかった・・・。

「ドリンクリストはこれ?料理はね、メニューの中から好きな物を4品頼めるコースにしておいたから・・・どれが良いかな・・・」

それにしても、蓮ってば、この場になじみ過ぎ・・・・。相変わらず、ゴージャスというか、遠目にみてもスタイル抜群で「俺は格好良いです」ってオーラが出てるし。近くで見れば、すごく綺麗な顔なのに・・・精悍で、知的で。それに、心だって・・・とても大人で、優しくて、余裕があって・・・

「ねぇ『彼女さん』聞いてる?」
「え!あ!?ごめん」

蓮に軽く耳を引っ張られ、少々ぼうっとしていた自分に気がついた。
いいかげん見慣れてきたはずの、蓮のとんでもない容姿は、こう雰囲気のある場所にくると、2割、どころか、5割増しで輝いている。

「俺の彼女さんは、すーぐ、どっか行っちゃうんだから、困るよね?」
「そ、そんな事ないよ?!」

----俺の彼女さん

これは、いつからか蓮が私を呼ぶときに時々使う呼称だ。それを聞くたびに、なんだか、こう、耳がこそばゆい。

「えっと、飲み物と料理のオーダーよね?私は、オレンジジュースと・・・
「ミモザにしたら?」

料理を選ぼうとしたら、蓮がドリンクの変更を勧めてくる。

「せっかく、合格のお祝で来てるんだから、乾杯の1杯目位、飲まない?」
「あ、うん。そうしようかな?」
「ミモザは、オレンジジュースのシャンパン割だから、ね?」
「じゃぁ、それで」

同意すると、蓮が、すっと、手を上げて軽くふる。ウェイターを呼ぶその仕草も綺麗だなと思う。

「綺麗・・・夜景(も)」

注文をする姿も優雅だな、と思いながら、思わず口に出してしまった言葉に、何だか恥ずかしくなって、誤魔化すように余計(?)な一言を添える。

「気に入った?」
「うん」
「じゃぁ、また来よう?もう、合格が決まったんだから・・・これからは昼も夜も沢山デートしてね?」

この蓮のデート宣言に、私は一瞬、頭が真っ白になった。

突然、2年前のクリスマスの日の事を思い出したのだ。蓮は帰省先から私が掛けた電話に対して「置いてけぼりにされて寂しかった」と、言っていた・・・

(もしかして、蓮はずっと寂しい思いをしていたの?)

今まで、合格発表の今日というこの日まで、その事をすっかり忘れていた自分に愕然とする。試験勉強を始める前には確か・・・蓮に寂しい思いをさせるのなら、別れてあげた方がいいのかな・・・とか、思っていたのに。その事すら忘れてしまっていたのだ。

「キョーコ?どうした・・・?」

訝しげな表情をした蓮に顔をのぞきこまれて、我に返る。

「あ、あ、うん。沢山デート、する、する!そ、そう、来月!クリスマス?クリスマス!一緒に名古屋に行こう!」

(あぁ~、私、去年のクリスマス何してた?うわ・・・当然の様に、いつも通り家で勉強してた!?)

「急にどうしたの!?・・・でも、名古屋って・・・若しかして、お母さんに紹介しれもらえるの?」
「蓮さえ良ければ、喜んで!!」

ここは、渋谷のオシャレなバーであって、どこぞの居酒屋じゃないのよ?と、良く分からない台詞が頭に浮かんできたけれど、

「嬉しいな・・・」

蓮がそう答えながら、輝くような笑顔をみせて・・・本当に、薄暗いはずのバーの中が、一瞬(一瞬だけですよ?)昼間の様に明るく照らされた様な気がして、私は思わず目を閉じた。

(な、何ー!?今の眩しい・・・!?)

すると、ふに、と、唇に柔らかくて温かいものが触れて、思わず目をあけると直ぐ目の前に蓮の顔があった。

(わっ、睫毛なが・・・って--------------!?)

も、も、もしかして!?と思っていたら、今度は唇全体を、はく、と覆われるような感触が脳に伝わってくる。

そうして、私の方に身を乗り出していた蓮が、ゆっくりと彼のソファに沈み込んでいった。まるで、スローモーションのように・・・彼の瞼が体の動きに合わせて開くのを、その奥から現れた瞳から、視線が外せない。

----それから、どれくらいの間、見つめ合っていたのだろう?

「お待たせしました。ミモザとジョニーウォーカーです」

ウェイターの声に、びくぅぅ・・・と、体が跳ねた・・・のは私だけじゃなかった。どうして、シンクロするの?分からない。分からないよ?と、頭の中が混乱する。

「えっと・・・合格おめでとう・・・これからも、よろしくね?」

そう言ってグラスを持った、蓮の顔が少し赤い。赤い? ここは、こんなに暗いのに、顔が赤い、って分かるんだ。あぁ、外の、夜景の光が結構入って・・・

(は、は、恥ずかしレベルMax~~~~~!)

絶対に、絶対に、私の顔の方が赤いって!!私は急に自分の顔が酷く熱を持っているのに気付いた。

「あ、あ、あ、あふ、ふ・・・ふつつかもの・・・です、が・・・」

私は、内心、どうしようもない程、身悶えながら・・・やっとの事で、声を出したのだった。


プロフィール

Author:Agren
本家のストーリの進行のじれったさに、素敵な2次小説サイトを巡って熱を冷ましていましたが・・・とうとうを自分自身で妄想を開始しました。
2次は愚か、小説初挑戦です!



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