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蓮の翼(17)

SIDE KYOKO

私は、母親に連れられて縁日に来ていた。色々な出店がずーっと先まで繋がっていて、ほわっと赤く光る道の様に続いている。

(焼きそば、綿あめ、チョコバナナ、焼きトウモロコシ・・・)

甘い匂い、芳ばしい匂い、甘辛い匂い、色々な食べ物のにおいが忙しく漂ってくる。

(ヨーヨー釣り、金魚すくい、お面、風鈴売り・・・)

お母さんは口うるさく「キョーコ・・・お小遣いは500円だからね?」って言う。だから、慎重に買うものを選ばなきゃ。でも、あれもこれもと目移りしてしまって、中々決められない。

(かき氷100円は外せないよ・・・)

そうして、ふと、あるお店の前で足が止まる。

(かわいい!!!)

カラフルなヒヨコ達。200円!欲しい!!

「ねぇお母さん!これ飼いたい!ちゃんとお世話もするし、大きくなったら、卵も産んでくれるし!!ねぇ、良いでしょう?」

「駄目よキョーコ。こうゆう所に売られているヒヨコは安い「オス」だから、卵は産まないし、大きくなると鳴いて近所迷惑よ?」

黄・青・緑・紫・・・色とりどりのヒヨコ達。こんなに可愛いのにみんな男の子だから卵を産まないんだ・・・。
でもその中で、唯一匹のピンク色のヒヨコが目に留まった。

「えーでも、このピンクの子は、可愛いから絶対女の子だよ!ちゃんと卵を産むんだから!!だからねぇ、飼っていい?」

そう言って、ピンクのヒヨコをそおっと掬いあげ・・・私の直ぐ後ろにいる母親の方を振り向くと・・・そこは真っ暗闇だった。

----そうだよ?この子は卵をちゃんと産める子なんだから、大切に飼うよ?

そう誰かが囁く声が聞こえ、気が付くと・・・私は雌鶏の姿になっていて、黄金の鳥籠に閉じ込められていた。


SIDE KANAE

「おはよう。モー子さん・・・」

いつもは、朝から鬱陶しい位に元気な「ルリコ」が真っ赤な目をしている。

「どうしたの?目、赤いわよ?」

「なんか、夢見が悪くて・・・夜中に目が覚めちゃって・・・それから眠れなくなっちゃって・・・」

啓国に来てから沈みがちだった「ルリコ」の纏う空気が一段と重い。そして、今まで同じ街に2泊滞在する事などなかったのに・・・昨日は、急に体調が悪くなったといって、一昨日と同じ宿に泊まっていた。

「今日はどうするの?移動する?それともまだ、調子が悪い?」

「私・・・蓮国に戻るよ」


***

「一体、どうしたの? 啓国に何か用があったんでしょ?」

朝から「蓮国に戻る」一点張りの「ルリコ」。何のために啓国に来たのか、どうして蓮国に戻る事にしたのか・・・本当は重大な何かがあったはずだった。

「うん・・・でも、もういい」

そう言って、「ルリコ」がのろのろと旅支度を始める。

「そんな顔して言われても・・・何か手伝える事があれば手伝うわよ?私、裁縫以外なら・・・こう見えても色々とできるんだから」

「ありがとう。でも、本当にもういいの」

ふと、「ルリコ」が荷造りの手を止めて、人形達を並べ始めた。

「これ全部モー子さんあげる。モー子さん・・・演技は私よりずっと上手だけど裁縫は苦手だから・・・」

そう言ってポロポロと大粒の涙を零しだした。

「え?ちょっと「ルリコ」!急にどうしたの!?蓮国に戻って人形劇をするんじゃないの!?一体、何なの!!ちょっと大丈夫なの!?」

(ちょっと!ちょっと!、これは『緊急コール』をした方がいいの!?)


***

私が思わず「ルリコ」を抱きしめていたら

「私は大丈夫、大丈夫、大丈夫・・・」と「ルリコ」が小さく呟き続けていた。何だかその姿が痛々しくて、

「蓮国の・・・どこに向かうか知らないけれど、私も付き合うからね?」

と可能なかぎり優しく言ってみる。

「ありがとう。ほんとに嬉しい。でも・・・私、独りで行かなくちゃ・・・」

こんな状態の「ルリコ」を独りにする事なんて・・・とてもできない、任務以前の問題よ!

「駄目。私、こう見えても鍛えてるんだから。「ルリコ」が私を置いていくって言っても、後ろから付いて行くんだから!」

すると「ルリコ」が困ったような顔をして、目の前で上着を脱ぎ始めた。そうして、くるりと後ろを向いて背中を見せられる。

(----蓮王の御印!)

一応、話には聞いていたけれど、こんなにハッキリと出るんだ・・・私はまじまじと見つめてしまった。

「私、黙っていたけど「蓮妃」なの。だから、蓮王の所に行かなきゃいけないの・・・」

そう言われたら、私の取るべき行動はひとつ。
蓮妃様に上着を着せて差し上げ、近くの椅子に座らせる。私はその前で、片膝を立てる格好に座り、右手を心臓に当てて敬礼をする。

「蓮妃キョーコ様。私は蓮国近衛軍所属の奏江と申します。蓮妃様のお望みとあれば、直ぐにでも蓮国王宮まで飛びましょう」

そして、背中に仕舞っていた4枚の翼を広げて見せた。

(----もう鳥籠の中だったんだ)

蓮妃様の肩がふるりと震えた意味が、ゆっくりと閉じられた目蓋の意味が、そして小さく呟いた「鳥籠」の意味が・・・私には、この時、分からなかった。この世界に産まれた者にとって、唯一の六枚翼である蓮王は、まさに神の寵児。その寵愛を願わない者がいるなど想像すらできなかった。




次回。ついに蓮王に再会!会わないと、話がすすまないよ~。

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プロフィール

Author:Agren
本家のストーリの進行のじれったさに、素敵な2次小説サイトを巡って熱を冷ましていましたが・・・とうとうを自分自身で妄想を開始しました。
2次は愚か、小説初挑戦です!



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