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蓮の翼(15)

勢いが付いているので、またまた長くなりました。 追記)誤字を3か所直しました+1行加筆

SIDE YASHIRO

俺は蓮国の宰相で行政府の監督を任されている。ちなみに蓮王の異母兄でもあって、蓮が生まれるまでは皇太子「蓮」を名乗っていたけれど、六枚翼の「蓮」の誕生で廃太子になり新たに「社」という名を付けてもらった。

(皇太子が地球で「妃」を見つけた!)

前蓮王がそう側近達に告げた時には、蓮が産まれた時以上の騒ぎになった。けれど「妃」が地球で産まれるなんて聞いたことが無かったし、王と皇太子以外「妃」の姿すら確認できない。だから、皆が信じたいと願いながら、度重なる僥倖に半信半疑という状態で、結局、公知はされなかった。

しかし、いよいよ蓮妃様が成人されるという日、蓮国には、国王が「妃」を迎えると現れるという「妃の虹」が架かった。国のどこからでも王宮方向をみると虹が見える、という超自然的な現象で、それからは王宮はもちろん、国中がお祭り騒ぎで、蓮がキョーコ妃を連れて戻るのを心待ちにしていたのに・・・蓮は、独りで帰ってきた。

(尚王が蓮妃を攫って・・・途中で落ちた!蓮妃が尚国のどこかで救出を待っている。我が国の総力を挙げて、蓮妃を救い出すぞ!!)

怒り心頭の蓮は、すぐに近衛軍を連れて尚国王宮に乗りこんだけれど・・・尚王は不在。しかも、六枚翼の蓮が尚国王宮に直接乗り込んできた事に、尚国官僚や将軍は恐れおののいて、

(家臣は皆、反対したのです!けれど王には逆らえなかったのです!どうか、お慈悲を!!)

などと平謝りで、殆ど戦闘らしい戦闘もなく開城された。結局、今回の件は、半年程前に尚国を継いだ新尚王「個人」の「乱心」という事にされた。けれど・・・

(あわよくば「尚妃」を!とか、絶対思っていたはずだ!!)

少々不穏な動きがあった事をこちらは事前に掴んでいたんだ。まぁ、とにかく、最後まで全力で反対し、幽閉されてしまっていた前尚王を救出し、蓮の直接指揮の下、蓮国公安部隊による「蓮妃」大捜索は尚国の全面協力で速やかに開始された。

しかし・・・3日間経っても、蓮妃キョーコ様の行き先はおろか、尚王の所在も杳として知れなかった。


***

捜索は、もし尚王が蓮妃を連れていた場合に備え、最初は秘密裏に行われていたが・・・段々と大規模になり・・・尚国の国民が何事かと騒ぎ始めた頃、蓮国と尚国の国境付近の小さな村の小さな宿屋の女将が、

(あの、背中に蓮王様の御印があるサエナ様とおっしゃられる方が・・・お忍びで、蓮国経由で啓国に向かわれました)

と申し出てきた。外見や倒れていた日時から蓮妃キョーコ様である可能性が高かったので、蓮に確認すると、

(サエナ・・・キョーコの母親の名前だ!)

(やっと手掛かりが掴めた!!)

しかし・・・蓮国の公安部隊が一週間、寝る間を惜しんで尚国中を「飛びまわって」捜索していたのに!だるま屋の女将の話を信じるならば、当の蓮妃様は入出国管理が厳しくなる直前に、国境をすり抜け、

----偽名で人形劇を興行しながら蓮国をお忍び旅行中!?

(嘘であってくれぇ・・・)

事情を知らない部下たちには手掛かりが見つかった、とだけしか言えなかった。


SIDE REN

(キョーコの行動が・・・全く理解できない!)

確かに彼女は手先が異常に器用だった。「敦賀蓮」の人形を作って、何だか呪術めいた事をしていたのを見つけた事があったけど・・・取り上げた「オレ」は俺をしばし茫然とさせる程にリアルだった。だから、子供だましの人形劇用の人形なんて、直ぐに作れるのだろう。でも、

(蓮国に居るのなら!背中の印の意味を知っているのなら!どうして背中を見せて助けを求めない?)

蓮国内で「人形劇をしながら旅している「サエナ」と名乗る少女を探せ」と指示を変えると、キョーコはすぐに見つかった。急いで駆け付けると、俺が見つけたのは

----旅行カバンを背中に背負い、地図と弁当を片手に意気揚々と旅する・・・蓮国に完全に馴染んでいるキョーコの姿!!

「泣きそうになるのを堪えながら彷徨うキョーコ」
をイメージしていた俺は・・・固まってしまった。最初こそ、尚王など誰かに監視されて旅をさせられているのでは?と疑い、調べもしたが、どうも彼女の単独行動らしい。さらに、名前を「サエナ」から「ルリコ」に変え・・・ちゃんと偽装した「身分証」も携帯して旅をしている、その徹底ぶりと、

(あの、それで・・・今夜、蓮妃様は「華厳の滝」が一望できるお宿に泊まるそうです)

啓国に向かいつつも、景勝地をしっかり押さえる余裕の旅慣れぶり!!最初こそは彼女の無事に喜び浮かれていたが、現在は・・・彼女の真意を測りかねて困惑するしかなかった。

(俺が一日千秋の想いで無事の知らせを待っていたというのに・・・)

とりあえず、彼女を警護する者を付け真意を探らせながら、しばらく自由に旅してもらう事にした。それから、俺は、一日に何度か彼女の様子を見に行ったけれど、彼女はいつでも上機嫌で、

(なんだか腹が立ってきた・・・)

誰が俺を責められると言うのだろう?


SIDE KANAE

蓮王から蓮妃様の警護という大任を仰せつかった。だから、とても張り切っていたのに!

「痛い!」

「ちょっとモー子さん!血が!!もう・・・もう、手がボロボロだよ~」

私は蓮妃様を害する者相手ではなく「ウサギの人形作り」に悪戦苦闘していた・・・蓮王直属の近衛軍に女だてらに入隊できた超エリート軍人・・・なのに。

(裁縫なんて苦手中の苦手科目だからっ!)

***

人形劇をしながら旅しているという蓮妃様。私はとりあえず観客に紛れ込んでみたけれど・・・蓮妃様の人形劇に魅入ってしまっていた。

(子供騙しだなんてとんでもない!!なんてリアルな人形!それに、ウサギやカメの・・・それぞれの性格を良く表すセリフの言い回し・・・発声やブレス・・・完璧だわ!引き込まれる!!)

劇が終わると、夢中になって拍手している自分がいた。

「ねぇ、あなた!」

私は蓮妃様に声を掛けた。

「人形劇、すごく良かった!私もあなたみたいに人形劇がしたい!どうか教えて頂戴!弟子にして!!」

「えぇえ~!?」

私、正直に言うと、心の何処かで本気で「人形劇がしたい!」と思っていたのだと思う。私が

「ウサギが昼寝を始める時のセリフとか起き抜けの動きが良かった!それに・・・・」

と興奮冷めやらぬそのままに・・・延々と説明すると、

「すごい!私の人形劇をそこまで深く理解してくれた人は始めて!本当は私は弟子を取るような身分じゃないから・・・友達として教えてあげる!」

と感動した面持ちで「がしっ」と手を握られた。そうゆう事で、蓮妃様の「友人」として付いて一緒に旅をする事になった。

「私「ルリコ」っていうの?あなたは?」

「えっと、私はモー子っていうの・・・」

「よろしく、モー子さん!私、こっちの世界に来て友達作るの始めて!!」

「え?」

「あ!あのね、蓮国に来てからっていう意味で深い意味はないから・・・」

蓮妃さまが目を泳がせながら、もにょもにょとしている。

(憎めない方・・・何だか変な流れだけど、目的は果たしているから・・・いいのよね?)


***

蓮妃様の人形劇とレプリカ人形は大好評で、行く先々で長逗留を勧められるけれど

「すみません、先を急いでいるので・・・」

そう言って、大体1泊すると次の街へと移動してしまう。

「「ルリコ」・・・あの、折角皆が楽しみにしてるんだから、せめて2泊したらどう?きっと評判も広がって、1回目より2回目、2回目よりも3回目の方が見物客が増えるわよ?」

「分かってるけど・・・早く啓国に行きたいし・・・」

「啓国に行ってどうするの?蓮国の方が、暮らしがずっと豊かだから・・・こうゆう興行をするのには蓮国が一番よ?」

「あぁ、うん。まぁ、いろいろとね?」

それきり蓮妃様が黙ってしまう。

「まぁ、私がとやかく言うことじゃないけど・・・このペースで行けば、あと2.3日で啓国に着くわね」

蓮妃様の顔がパァと明るくなる。一緒に旅をして約10日。未だ、何故、独りで啓国を目指されているのか・・・良く分からないままだった。




キョコさんと蓮王がもう随分と絡んでませんねぇ・・・見事なまでに。

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プロフィール

Agren

Author:Agren
本家のストーリの進行のじれったさに、素敵な2次小説サイトを巡って熱を冷ましていましたが・・・とうとうを自分自身で妄想を開始しました。
2次は愚か、小説初挑戦です!



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