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蓮の翼(12)

SIDE KYOKO

だるま屋の女将さんが、食事とお風呂の準備をしてくれた。食事は、雑穀ご飯、野菜類のお汁と果物だった。

(なんだか・・・鳥っぽい)

と失礼(?)な事を思いつつ口に運ぶと、意外にも美味しかった。そこで疑問に思っていた事を聞いてみる。

「どうして女将さんには翼が無いのでしょうか?」

「この世界でも大半は人間界の人と一緒で翼が無いのよ」

と言う。何故ならば、一枚翼のコウノトリの卵からは翼の無い子供、二枚翼のコウノトリの卵からは一枚翼の子供、という具合に、一枚翼が減った子供が生まれて来るんだって。それに、翼の少ないコウノトリの方が多産なんだそうだ。

「それじゃぁ、いつか翼のある人が居なくなっちゃうんですね?」

そう聞いたら、翼数が多い夫婦間だと自力で卵が産めるらしい。
ただ、翼人女性は卵を1個しか産むことが出来なくて・・・でも、産まれた時には両親の内、翼数多い方と同数の翼を持つ子供が生まれるらしい。

(翼の少ない翼人は人間界経由でコウノトリにならないと卵が産めなくて、翼が多ければ、翼人同士で卵を1個だけ産める。・・・何だか繁殖能力が低い「多翼」の翼人が、人類と異種交配しているみたいみたいだけど・・・うーん、生物ってあまり好きじゃ無かったから正確なルールとか分からないなぁ・・・)

「ただね!翼人から産まれる卵からは、稀に親よりも翼数が多い子供が生まれる事があるんだよ。そうやって、お生まれになったのが、隣国の現蓮王様なんだ!!」

(もしかして、国境沿いって・・・隣りは蓮国なの~!?)

私の動揺に女将さんは全く気付かず・・・それは意気揚々と話を続けている。なんでも、翼人は、翼数が多ければ多い程、知力、体力、に恵まれるそうで・・・必然的に国の中枢に集められ・・・極めつけは、国王の翼数に国力が左右されるんだって!

----翼数の多い王が立てば、政治だけでなく天候すらも安定し、天変地異や疫病などのあらゆる災害から守られる、そうだ。

だから、国民の中で翼数が最も多い子供が皇太子になって・・・現王よりも翼数が多ければ、成人と同時に即位。現王と同じか少なければ、王が崩御される時に即位する慣習らしい。

「さらにね!各国の王には時々「妃」が与えられて!その時に国の翼の数が増えるんだよ!」

(どきぃ!)

「妃」という言葉に反応して、心臓が口から飛び出るかと思った。
そう言えば、私は「蓮妃」だとか敦賀さんが言っていたような・・・。

「「妃」になる方は無翼なんだけれども、国王様との間に・・・国王様と同じ翼数のお子様を沢山産んで下さるのさ!しかも、高い確率で王様よりも翼数の多いお子様も産んで下さるんだから!!」

女将さんがウキウキしながら続ける。

「現蓮王様は六枚翼だけれども、妃を迎えられたっていうんだから、そりゃぁ隣国はお祭り騒ぎだよ。この先、百年の繁栄が約束されたも同然だからね!国境沿いのこの村も、その恩恵を受けるはずだし、私達も嬉しくてさ。・・・そう言えば、アンタ、名前は何て言うんだい?」

本名を名乗ったら不味いような気がした。

「あの・・・サエナといいます」

咄嗟に、母の名前が出る。

「蓮王様は慈悲深いお方らしいし、きっとサエナの事だって、直ぐに返して下さるよ!」

私は思わず溜息を吐いた。中々見通しは厳しい・・・。蓮王は敦賀さんなんだから私を返してくれるはずがない。そこでふと、小さなゲージに押し込められて卵を産む鶏の姿を思い出してしまった。あぁ、私ってば、この世界でいう所のブロイラーなんだわ・・・。

「何か不都合があるのかい?」

気が付くと女将さんに訝しげに見ている。

「あぅえ?いえ、全然?ただ・・・折角、翼人の世界に来たんだら、ちょっとは観光して・・・尚国を横断して蓮国以外の国に行きたいなぁ~なんて思って」

と誤魔化してみる。かなり無理のある言い訳・・・。

「まぁまぁ、サエナは本当に詳しいんだね!どうして知ってるんだい?」

何でも、国王様が人間界からきた人を戻す時は、連れて来られた時と、同じ「時」と「場所」に戻されるらしい。つまり・・・こちらで暫く過ごしても、人間界では0秒も経っていない。そう分かると、多くの「人間」が翼人界を観光して(!)帰るそうだ。「人間」はどこでも歓迎される客だし、旅先では宿と食事を無償で提供してくれるし、何より翼人界は人間界よりずっと風光明媚らしい。

「じゃぁ、尚国を横断して蓮国と反対の国へ行きたいです!!」

そう言うと、女将さんが顔を曇らせた。

「蓮国と反対側の国は、橋国と言うんだけど・・・三枚翼の王しか居ないから、国があまり安定していなくて、尚国に難民すら流れて来る程なんだよ・・・だから、どうしても、というのなら、蓮国を横断して、その先の啓国に行った方がいい。啓国の王は四枚翼だけと、四枚翼の方々が結構いらっしゃるし、何より「妃」がいらっしゃて、五枚翼のお子様が2人もいらっしゃるから、人の心に希望があるんだよ・・・」

とても悲しげな女将さんの表情が気になったけれど・・・私は何も返せる言葉が無かった。とにかく、蓮国を横切って啓王に会いに行こう!

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プロフィール

Agren

Author:Agren
本家のストーリの進行のじれったさに、素敵な2次小説サイトを巡って熱を冷ましていましたが・・・とうとうを自分自身で妄想を開始しました。
2次は愚か、小説初挑戦です!



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