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会いたくて(19)

SIDE REN

レセプションも半ば頃、

「良いホテルね?」

ゲストの一人に日本語で声をかけられる。外国人中心の招待客の中、数少ない日本人ゲスト。60代前半の御夫人は京都を中心に関西全域でレストラン経営する会社の社長夫人。今回、テナントとして和食レストランを出してもらった。

「今回は遠路はるばるトルコまでお起こし頂き、誠にありがとうございます」

「いえいえ。ヒズリさんに見限られないように、ちゃんとウチの味と品格が守れているかどうか自分の目で確かめに来させて頂いただけなんですよ?」

そういって、ニコニコしている。

「ところで・・・あそこにいる美しいお嬢さんはどなた?」

そういって、最上さんをチラリと見る。

「あぁ、あれは僕の秘書です」

「そうでしたの・・・ふふ。本当に美しい方」

含みのある笑い方が少し気になったが、きっとこの聡い御夫人は俺の態度から何か感じたのだろう。表向き、彼女の夫が会社の代表になっているが、夫人の方が数段やり手だという事は周知の事実。浮かれる気持ちを抑えて、普段通りを心がけているつもりなのに・・・。

「私、英語があまり得意じゃありませんでしょう? 話し相手になって頂ける嬉しいのですけれど・・・彼女を紹介して頂けませんか?」

そう言われて一瞬迷ったが、最上さんを手招きする。
彼女はヒズリに喧嘩を売るような馬鹿な真似をする人間ではないし、なにより美術品に対する造詣が深いと聞いている。きっと美術学部で学んだ最上さんと話が合うだろう・・・と思った。



SIDE KYOKO

「初めまして、秘書の最上キョーコです。本日は新しいヒズリホテルのプレオープンに起こしいだたきありがとうございます」

とりあえず型通りにあいさつをする。

「初めまして。私、清野由紀と申します。今回こちらに『TEMPURA-KYOTO』を出させていただいております」

私はゲストの情報を頭の中から引っ張り出す。清野由紀は外食チェーンの社長夫人。他にも、いつくかのヒズリホテルに店を出している。

「いつも世話になっております」

「敦賀さんの秘書の方は、社さんも琴南さんも、そして貴女も、本当に美しい方ばかり。もちろん、敦賀社長と同様、外見だけじゃないのは、存じ上げておりますけれど?」


***

清野さんは、

(私、美術品に目がなくって・・・でも、ただの門前の小僧で・・・美術学部でちゃんと学ばれた方を相手にお話するのは恥ずかしいのですけれど)

と、謙遜されていたけれど、色々な事をよく御存じで。何よりお話がとても上手な方で楽しくお話をさせて頂いた。敦賀さんは私達の話に付いて来られなかったらしく、途中で他のゲストの所に移動してしまったけれど・・・

「それにしても・・・とうとう敦賀社長も落ち着くのね?
私の息子なんて30代半ばなのに独身のままフラフラしていて・・・早く結婚して落ち着いて・・・私を楽隠居させて欲しいんですけれど、なかなか・・・」

何やら不審な事を言われたような気がする。けれども、聞かなかったことにして、

「そうですか」

と流した。清野さんはそのまま、

「敦賀家とはずっとお付き合いさせて頂いていますけれど、あなたのような芸術系の血が入るのは久しぶりなんじゃないかしら?最近、ビジネスの鬼と化していて残念に思っていたのですけれど・・・きっと貴女が素敵な風を運んでくれるわ」

(敦賀さん、私を呼ぶ前に何を言ったのかしら?) と、戸惑いを隠せずにいると、

「あらあら、ごめんなさい?出しゃばった事を言って。あなたをいじめたと敦賀君に思われたら、大変な事になるわ」

そういって、彼女は胸に留めていたブローチを外して私の手に載せた。

「これ、お詫びの印。あと・・・ホテル開業のお祝いと貴女との素敵な出会いに対するお礼。私、こんなに楽しくお話させていただいたのは久しぶり、本当よ?」

と清野さんが言う。私はその行動に驚いてしまって、

「清野さんはお詫びが必要な事なにもされてませんから!それに、楽しませて頂いたのは私の方です・・・ホスト側の人間なのに。こんな品物を頂く理由は何もありません!」

と返すものの、受け取って貰えない。

「でも貴女、私のブローチを素敵だと誉めて下さったし・・・とても気にしてらっしゃるの・・・分かるのよ?」

確かに私はそのブローチの事が気になっていた。懐かしい・・・でも全く古臭い印象を与えない繊細で美しいデザイン。ちょっとは、ううん凄く、見惚れてた、かも? もしかして私、すごく物欲しげな目で見ていたのかしら!?・・・恥ずかしいっ!!

「ひぇえ、確かにそうですけれど!でも、似たようなデザインのお品を自分で買いますから!本当に、お気持ちだけで十分嬉しいです!」

と再びブローチを返そうとする。

「残念ながら、これはどこに行っても買えないのよ?だって「幻のジュエリーデザイナー」と呼ばれる『冴菜』の作品なんですもの。とはいっても、元々の値段はそんなに高いものじゃないし、彼女の作品はまだ何点か持っているから・・・価値の分かる貴女に差し上げるわ」

----母の作品に間違いない

母は・・・私を産む前はジュエリーのデザインをしていたと聞いていた。でも、関連するものは何も残っていなくて。それは、父が母のジュエリーを贔屓にしていた顧客で、忌まわしい記憶を呼び起こさないよう母が処分していたから。

私は、そのブローチを返すことが出来なくなっていた。



この後の話は、蓮様がちょっとキレちゃうKシリーズと、ひたすら甘いAシリーズに分岐します。お好きな方のアルファベットが付いた方へお進みください。



またまた急展開です。キョーコちゃんの父親に話を触れずに、このお話は終われませぬー。

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プロフィール

Author:Agren
本家のストーリの進行のじれったさに、素敵な2次小説サイトを巡って熱を冷ましていましたが・・・とうとうを自分自身で妄想を開始しました。
2次は愚か、小説初挑戦です!



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