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会いたくて(17)

SIDE KYOKO

今日は、ヒエラポリス(パムッカレに隣接する古代都市跡)を回った。本当は、ヒエラポリスとパムッカレの両方を合わせて世界遺産として登録されている。そして遺産としての価値は・・・ヒエラポリスの方が格段に上。そう言われているのが実際に散策してみると良くわかる。

敦賀さんと街の写真を撮りながら歩いていると、街の終わりの城壁に辿り着いた。その外側には、見渡す限りの向こうまで野花が咲き乱れる緑の草原が広がっていた。

そこは、アナトリア地方最大のネクロポリス(古代墓地)。草原の中に無数の白い石棺が散らばっている。2千年前から変わっていないだろう景色の中、安らかに眠る死者たち・・・

「・・・私、あまり人の死を連想させるものが、好きじゃなかったんです」

ポロっと本音が漏れてしまう。

「どうして?」

敦賀さんが心配そうに訊ねる。

「母の死を・・・思い出してして辛くなってしまってたんです。母の死を認められなくて、せめて人の心の中では生きたままで居てほしいって思って。でも最近、やっと母の死と向き合うことが出来たんです・・・。」

私の言葉を聞きながら、敦賀さんの表情が曇っていく。私がこんな顔をしたら、敦賀さんじゃなくっても心配する。

「あ、でもホント、もう平気なんですよ?」

「平気だなんて・・・そんな顔をしながら言われても信じられないな。何かちゃんと向き合える切欠があった?」

「・・・」

「まだ、本当は吹っ切れてないんじゃ・・・」

「・・・」

本当はこの先は黙っていた方がいいと思う。
でも、長い長い間、この美しい場所で安らかに眠る死者達に(気持ちを聞かせて?)そんな風に尋ねられた様な気がして・・・

「母から手紙が届いたんです」

私は話を続けた。

「え?」

「私の二十歳の誕生日に届くようになっていました。私、ずっと母に憎まれていると思ってたんです。けれど、それは私の誤解で・・・母はちゃんと私を愛していた、と書いてありました。それで私、母の死を受け入れられたんです。
・・・だから本当に大丈夫なんですよ?京子の『虚像』は、私が誤解していた母の姿なんです。」

「あの、夕陽の写真?」

「ええ、まぁ、そうです」

私は敦賀さんから視線を外して遠くを見た。


SIDE REN

最上さんが、彼女の母親の死について話してくれた。彼女が母子家庭だとは聞いていたけれど、触れて欲しくなさそうだったから、詳しく聞いていなかった。まさか亡くなっていたとは、

「・・・辛い事を聞いてすまない。お母様はいつ?」

「私が16歳の時に」

手紙が届いたのは20歳の誕生日だといった。という事は、4年の間、彼女は母親の死で辛い思いをしていた事になる。

「長い間・・・辛かっただろう?」

「そうだったかもしれません。・・・でも、今は本当にそれが吹っ切れて。今は、こうやって墓地を眺めていても、気持ちが安らぐほどです」

と彼女が笑う。その笑顔が明るかったので俺は少し安心する。

彼女が欲しているもの、2年前だったら確実に母親の愛だったと思う。でも今は?今、彼女が欲しいものは?彼女は母親に・・・愛情を返す前に失ってしまった。だからきっと彼女は母親の代わりになる存在を欲しがっている?

----「家族」?

俺はそう感じた。だから

「最上キョーコさん。俺の家族になって下さい。
 俺は君を愛しています。俺と結婚して、子供を産んで、
 俺と君の新しい家族に君の愛を注いでください」

と彼女に伝えた。自分の言葉が彼女の心を掴めるように祈りながら。


SIDE KYOKO=『京子』

小さい頃から、私のお母さんが、お友達のお母さん違うのを感じていた。
他のお母さんと違って、ごはんを一緒に食べたり、お話を聞いたり・・・殆どしてくれない。

でも・・・お母さんは、とっても有名な「しょうせつか」で、私はそれをすごいと思っていた。だから他のお母さんとは違うのは「しかたない」と思っていた。

お母さんの書いた本は本屋さんに沢山ならんでいたし、私の住むお家はとても豪華で、欲しいものは、何でも買ってもらえた。宝田のおじさんに「お母さんが「しょうせつ」を書いていることを誰にも言っちゃいけないよ?」と言われて・・・本当は言いたかったけれど・・・お母さんに嫌われたくないから黙っていた。

それに、きっとお母さんは私の事を好きなんだ、と思っていた。だって、お母さんのしょうせつを書く時の名前は、私の名前とおんなじだったから。

***

私がそれなりに大きくなると・・・母が私に無関心なのはやはり異常なのだと気付いた。むしろ無関心とゆうより、憎まれている?

でも、物事が分かるようになったからこそ、母の書く『京子』の小説が凄いということが理解できた。私は、『京子』以外にも沢山の本を読んだけれど、『京子』よりも上だと思える人がいなかった。だから母に憎まれていると感じる一方で、『京子』に対する憧れは募った。

だから・・・『京子』の小説を暗記するほどに読んで・・・そして、母の関心を引きたくて、ついに小説を自分で書いて母に見せた。題材は『父親』。それがパンドラの箱を開ける鍵になるとは知らずに。

***

母は、私の父の事を、淡々と私に告げた。そして二度と父親の話をしないように、と。

私は娘なのに・・・母の側に置いて貰えなかった。だから母の人となりは良く分からない。でも、『京子』の小説は、繊細で、人の心を切ない程に痛ませるのに、最後には読む人を幸せにする。きっと母も『京子』の小説のように繊細で感受性が豊かで優しい人なんだろうと思っていた。そんな母に本当に憧れていた・・・。

----なのに

そんな母を傷つけた父と、父の娘である自分が憎らしくて。
母の前から永久に消えてなくなってしまおうかと思った。けれど・・・その前に、母が事故で急逝してしまった。

私は、悲しくて、辛くて、どうにもならなくて、気付くと寝食を忘れて小説を書いていた。出来あがった小説は、まるで『京子』が書いたみたいで・・・。私は『京子』消えてしまうのが耐えられなくて、その原稿を宝田社長に見せていた。

私の作り上げた『京子』は、『京子』にして『京子』よりも『京子』らしい繊細で美しい小説、と称賛を受けた。そうして私は『京子』として小説を書き始めて・・・ずっと『京子』に寄り添って生きて行くのだろうと思っていた。

けれど、母からの手紙を受け取る事で・・・最後に『京子』として、母への思いを綴り『京子』を永久に眠らせよう、そう決心した。



なんだか、話が暗くなってきしまいました。

「料理が得意な彼女」の時も、終了の2,3回前に、すっごく恥ずかしくなってしまいましたが。今、まさにそんな感じです。中途半端で終わるのは、拙宅に来ていただける方に申し訳ないので頑張ります。あと、ちょっとで終わります。いえ、もう終わらせて早く楽になりたい・・・。

ちなみに、パムッカレ・ヒエラポリス・アンティークプールは、すべてAgrenが行った場所です。私は情景が目に浮かぶので、書いてて感情移入ができるんですが、行った事が無い人はどんなもんなんでしょうね?興味のある方は・・実在する有名な場所なので、グーグル先生に聞いてみてください。

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プロフィール

Author:Agren
本家のストーリの進行のじれったさに、素敵な2次小説サイトを巡って熱を冷ましていましたが・・・とうとうを自分自身で妄想を開始しました。
2次は愚か、小説初挑戦です!



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