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会いたくて(15)

SIDE REN

最上さんが俺のすぐ隣で寝息を立てている。

夕飯で飲んだシャンパンが効いたようで、騒いでいた割には・・・ベットに入ると直ぐに眠りに落ちてしまった。飛行機の上だと地上より酔いが回るのが速い。頭では分かっていても慣れていないと加減するのは中々難しい。

(そうだとしても、こんなに無防備でいいのか・・・?)

本当は、琴南さんもこの旅に呼ぶつもりだった。でも・・・最上さんが俺のマンションに帰ってこなくなってから、どれだけ自分が彼女を欲しているか、ということを嫌という程思い知らされてしまった。だから、この旅行期間中になんとしても彼女を手に入れたい。俺は決意とともに琴南さんに仕事を与えた。

(大事に、大事にするから俺のものになって?)

柔らかそうな彼女の髪に鼻先を寄せてみると、ふわっと『京子』の香りがする。喉元そして胸元と鼻先を移動する。
『京子』の香りが最上さん自身から発しているように僅かに立ちのぼっている。

(・・・すごく・・・良い匂いだ・・・)

俺が、彼女を好きと自覚したあの夜から意識的に彼女に触れないようにしていた。彼女に触れたいという気持ちは大きくなる一方なのに、触れてしまったら自分がどうにかなってしまいそうで、彼女を傷つけてしまいそうで怖かった。

俺は最上さんを大事にしたい。だから、彼女と気持が通じるまでは・・・彼女の香りに触れられるだけでいい。



SIDE KYOKO

プレオープンを来週に控えたヒズリホテル・パムッカレは、従業員達のシュミレーションに余念がない。

社長である敦賀さんが来てから色々指示があったらしくバタバタと慌ただしい。ただ、それは祭りの前夜の様相を呈していて、居心地が悪い雰囲気ではない。従業員逹がグランド・オープンを待ち望んでいるのが伝わってくる。

ホテルは5つ星を頂くだけのことはあって、空間使いに余裕があり調度品も洗練されてる。ロビーとかテルメとか、とても雰囲気があって、カメラマンの立場から言わせてもらうと撮っていて楽しい素材。撮影に夢中になっていたら・・・到着して2日も経つと、ホテル内施設の写真を撮り終えてしまった。

「お仕事お疲れ様。残りの滞在期間は好きなように過ごして?
 もし君が良ければエステサロンの従業員たちのために、プレオープンの練習台になってあげてよ」

と敦賀さんに言われ、今日は朝からエステサロンとテルメ(温泉プールとサウナ)を往復している。ヒズリホテル・パムッカレの一番の売りであるテルメで、夢心地な気分の中、ここ3カ月間の事を思い出してみた。

----宝田社長に突然「最上君が美しいと思う人間の写真を撮って欲しい」と頼まれて。中々ピンとこないと思っていたら、LMEのパーティーで敦賀さんを紹介された。まさか、敦賀さんが私を好きになってしまって・・・その胸の内を、メールで読む事になるなんて思わなかった。

それにしても、敦賀さん・・・こっちに着いてから妙に艶っぽさを増したというか・・・海外にいるから『京子』へのメールは読めないけれど、どんな心境の変化があったのかしら・・・と考えるのが少し怖い。

***

今日は、一通りの指示を出し終えた敦賀さんと、パムッカレの写真を撮るために外出している。

(ここは比較的治安の良い観光地だけど、君は若くて魅力的な女性なんだし、ホテルの外に出る時には俺に声を掛けて?)

と言われ外出するなら一緒に、と有無を言わさず約束をさせられてしまった。
そうして、今、私達は裸足になってパムッカレの棚田の中を歩いている。

「水が暖かいんですね?」

「ここに流れ落ちる水も、温泉だから」

パムッカレは山の頂上付近から石灰成分を含む温泉水が流れることで、無数の「石灰棚」の温泉プールを山肌に作っている。ただ・・・TVで見たような美しさはなくて。近年、水量が少なくて水をたたえている棚田の数が驚くほど少なかった。
そして、沢山の観光客が水着になって「イモ洗い状態」で遊んでいる姿に、がっかりしていたら、見事に言い当てられてしまった。

「期待はずれだった?」

「え?あ、まぁ少し」

「あっちに、絶対に最上さんをがっかりさせない場所があるんだけど・・・行ってみない?」

そういって先を促される。そして暫く歩いた先に『アンティーク・プール』と看板が掲げてある場所があった。

「ここは?」

「ここはね、古代の温泉施設が地震で崩壊して陥没して・・・その上に温泉が溜まってできた場所なんだ。最上さんは絶対好きだから・・・とにかく入ってみよう?」

そういって、中へと促される。
そこで目に入ってきたのは、私がメルヘン国に旅立つのに十分な場所だった。ブルーグリーンの水底に崩れた古代建物が見渡す限り横たわっていた。

「すごい、綺麗!これが温泉なんですか?」

「気にいった?」

「ええ、とっても!あまりの光景に感動してます!」

「クレオパトラも入ったって記録があるんだよ?」

「すごい!私も入りたいです!!」

「それじゃぁ・・・コレ」

といって、敦賀さんに荷物を渡される。なんだろう?と思っていたら、

「ここ、泳げるんだよ?水着、最上さんの分も持ってきたから着替えでおいで?」

(水着!? この人の前で水着姿になるの!?)

あり得ない!!と思ったものの、否を言えない会話の流れに・・・私は流されてしまった。

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プロフィール

Agren

Author:Agren
本家のストーリの進行のじれったさに、素敵な2次小説サイトを巡って熱を冷ましていましたが・・・とうとうを自分自身で妄想を開始しました。
2次は愚か、小説初挑戦です!



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