スポンサーサイト

上記の広告は1ヶ月以上更新のないブログに表示されています。
新しい記事を書く事で広告が消せます。

会いたくて(8)

SIDE KYOKO

----何かが違う。

写真を眺めながら、何が違うんだろう?と考える。
あれから1ヵ月。私は敦賀さんの写真を沢山撮ってきた。それはもう本当に沢山。

敦賀さん家に同居してその日常を観察し、仕事場での姿を追う。確かに彼の所作は流れるように美しく、その外見の造形は非の打ちどころが無い。何もかもが絵になる。まさにフォトジェニック、だ。でも美しいかと問われると、何か違うのだ。

「----何かが違う」

今度は声に出てしまったらしい。
「何が違うの?」と目の前で仕事をしていた奏江さんが聞いてきた。

SIDE KANAE

私は、宝田社長が言った通りキョーコがカメラマンとして相当な腕前だということを認めざるを得なかった。素人なので良く分からないが、彼女が撮る写真は人の視線を止めさせる力がある。

それに、秘書の仕事を通じ、キョーコが明晰な頭脳の持ち主だということが分ってきた。社長もそれを認めていて、彼女が第3秘書として手伝った仕事のおかげで、会社の新規オープンしたホテルの評判は上々だ。

22才とは思えないメルヘン思考は御愛嬌どころか、彼女の明晰すぎる頭脳が、周囲に近寄りがたい印象を与えるのを防ぐ最強の武器だ。第一印象では苦手だ・・・と思っていたキョーコの事を今は好ましく思っていた。

正直な気持ちを白状すると、このカメラマンの仕事が終わった後も、友人として彼女と付き合っていきたいという事を、どう切り出そうか・・・そんな事を私は良く考えている。

「敦賀さんの写真なんですけれど・・・何か違うんです」

「?」

「確かに彼は造形として美しいとは思うんですけれど、こう、心に美しいと響かせるという意味では奏江さんの方が、数段上と言うか・・・このままだと、次の作品のタイトルは「美しい女」になってしまうかも・・・しれません。」

「「えぇぇぇ?」」「・・・・・」

私と社さんの声が重なる。そしてその後ろには社長が無言で立っていた。

『京子』の大ファンである社長は、この1ヵ月、『京子』の小説のモデルになるべく、自分の姿を公私ともにキョーコに晒してきた。いつも以上に身なりに気をつかっているのが分かる。

無言の社長をフォローしようと社さんが言う。

「そんなぁ、キョーコちゃん。選ぶのは『京子』先生なんでしょ?先生は、蓮の事、美しいって言ってくれているんでしょ?」

「確かに、あの時はそう思った・・・ん・・・だそうです。」

ぽそりと歯切れ悪く、キョーコが言葉をこぼす。

「すみません、敦賀さん。ちょっとお時間をください!宝田社長に相談してきます!!」

その日、キョーコは戻って来なかった。


SIDE REN

----ふぅ。

ため息が出る。最上さんが美しさという意味では琴南さんの方が自分よりも上、と言っていたのを受けてショックが隠せない。

確かに、彼女は美人・・・だと思う。また美しいというのは普通、女性に使う言葉だとも思う。ただ、どこにでもいる程度の美人・・・だとも思う(ごめん琴南さん)。

自分だって相当に美しいはずで、彼女に負ける筈がなのに。何がが違う、の何かとは何だろうか?初めて自分の容姿が優れている事に心から感謝したのに・・・蓋を開けてみれば、自分は、十人並みの美人(ごめん琴南さん)に負けてしまうというのか。

自分が眉目秀麗だというのは、周囲のお世辞であって、自惚れだったんだろうか?社さんにも確認してみたが、彼は
「俺が知る限り、例えモデルや芸能人を含めてもお前より容姿に恵まれたヤツは見た事無いよ。どう考えても、お前の方が琴南さんより「美人」だよ。」という。

----ふぅ。

久々の独りの夜にそんな事ばかりを考えていた。とりあえず、コーヒーでも入れるか。と、コーヒーをいれて、はた、と気づく。・・・2人分、入れてしまった。

彼女が来てからというもの、食事は最上さんが作ってくれていた。
「私が食べたい物を作るんですから、そのついでです、1人分作るのも2人分作るのも一緒ですから!それに1人で食べるよりも2人で食べる方が食事を美味しくいただけますからね。」とニッコリと微笑む彼女。

御礼に食後のコーヒーを入れるのは自分の仕事。

彼女の作る料理は・・・小さい頃から一流の味にならされている筈の自分をも唸らせる味で。本当に、毎食何を食べてもとても美味しかった。多分、彼女の味覚は一流料理人並みに鋭い、のだと思う。そして恐らく、味覚だけでなく・・審美眼も。彼女が

(----まだまだお目汚し。小説の表紙程度にノークレジットで出すなら許せる。)

その程度のレベルの作品、と評価する写真に俺は釘漬けで。これはちょっと自信があります、と言って見せて貰った写真は奇跡のように美しかった。きっと『京子』も、最上さんの写真のセンスに惚れ込んでいるからこそ、彼女の写真を使って小説を書くのだ、と理解できる。 

----だから多分、彼女が美しくない、と感じたのならば・・・。

コメントの投稿

非公開コメント

プロフィール

Agren

Author:Agren
本家のストーリの進行のじれったさに、素敵な2次小説サイトを巡って熱を冷ましていましたが・・・とうとうを自分自身で妄想を開始しました。
2次は愚か、小説初挑戦です!



スキビ☆ランキング

最新記事
最新コメント
最新トラックバック
月別アーカイブ
カテゴリ
検索フォーム
RSSリンクの表示
リンク
ブロとも申請フォーム

この人とブロともになる

QRコード
QR
上記広告は1ヶ月以上更新のないブログに表示されています。新しい記事を書くことで広告を消せます。