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会いたくて(3)

SIDE REN

俺はLME社長、宝田の自宅にいた。東京23区だというのに、広大な敷地には迎賓館や来賓用の宿泊施設まで作られている。

俺はパーティーが大嫌いだ。出席すればたちどころに人が群がってきて、どうでも良い事を話しかけてくる。煩わしい事この上ない。しかし、今日は・・・何日も前から待ち遠しくて仕方がなかった。LMEの宝田社長に話しかけ、京子のことを、どんな些細な事でも良いから聞き出したい。

ふと、実は自分に群がる人間の中にも、今の俺のように決死の覚悟で臨んた人物が混じっていたのかもしれない。と、思った。自分が他人の事を思いやるなんて珍しいな、と思う。

「社長、あれが宝田氏ですよ」

俺は第二秘書の琴南さんの声で我に返り、視線を移すと・・・ド派手な民族衣装を着た長身の男が目に入った。周囲には同じような衣装を身にまとった数人の取り巻きが居た。

----吃驚した。
ローリィー宝田氏は出版大手のLMEだけでなく、芸能プロダクション、映画会社、テレビ局、ありとあらゆるメディアで事業を展開している。その経営手腕は鮮やかであり、俺も密かに尊敬していた。パーティー好きだとは聞いていたし、独自の衣装を好んで着るとは聞いていたが・・・まさかこれ程とは。

立ちつくしていると、宝田氏の方が俺の方に向かって歩いてきた。

「ヒズリホテルズの敦賀君だね。初めまして私が宝田だ。君はきっと来るだろうと思っていたよ。」

とニヤっと笑い握手を求められた。

「こちらこそ初めまして。ホテル経営をさせて頂いている敦賀蓮、と申します。今回はお招き頂きとても光栄です」

最大限に感謝の心を声色に乗せ、宝田氏の手を掴んだ。きっとこの人は、こちらの真意を理解している、目が合った時にそう感じた。

「さて・・・早速だが。『京子』を紹介するかどうかは君次第だ。実は『京子』はこの会場にいる。そして君の事を既に会場のどこかから見ている」

----俺は衝撃を受けた。

俺は既に『京子』に会っている?もしかして、既に挨拶した人物の中に『京子』が混じっていたかも知れない!?

「え、あ・・・。」

やっとのことで絞り出したのはなんとも情けない、言葉とも言えない声。

「ついてきたまえ。」

宝田は俺を一瞥するとバルコニーに出た。

「君と『京子』の馴れ初めを聞かせて貰おうか」

「馴れ初め・・・ですか?」

「そう、敦賀君が『京子』を追いかける様はまるで恋だからね。この言葉が適当だろう?」

俺は、ふぅ~と息を吐いた。

「確かに俺は『京子』に会いたくて・・・恋に似ているのかもしれませんが・・・僕は純粋に彼女のファンとして少し話ができれば満足なんです」

「ふぅん?」

「最初は、秘書が彼女の本を持っていて・・・その本の表紙から目が離せなくて読み始めたのが切っ掛けなんです。そしたら、なんだか自分がずーっと悩んでいた事の答えになるような事が書いてあって。それから、彼女の本をどんどん読んで・・・それにつれ、なんというか、彼女の力になりたいと痛切に思う自分がいたんです」

「彼女に君の力が必要だと言うのかね?」

「・・・なにか、彼女が今探している物を、自分が持っているような気になってしまったんです。・・・すみません、自惚れの強い自信家だと思われても仕方が無いのですが、本当にそう思ってしまったのです・・・お恥ずかしい事に」

俺は思わず宝田氏から視線を外してしまった。自分の言った事がいかに独りよがりであるかを今更ながらに認識してしまった。

「・・・すみません。もうご迷惑をおかけすることは無いと思います・・・。」

俺の一人よがり発言が『京子』に伝わるかもしれない、そう思うと、恥ずかしさで、ここから直ぐに消え失せたい気分になった。

「全く・・・君には『京子』は紹介できないな。でも、ま、別の『キョーコ』を紹介してやろう。 ・・・・最上君ちょっとこっちに来たまえ」

そういって、後ろに控えていた、民族衣装を着た取り巻きの一人に声をかけた。

「うえ?」

素っ頓狂な声とともに、女性が一人前に歩み出てきた。


***


最上さんと呼ばる女性、というか少女と言った方がふさわしい人物が歩み寄ってくる。

(『京子』は紹介できない。代わりに、最上キョーコ君を紹介してあげよう。)

俺には、なぜ宝田氏が、この少女を紹介「してあげよう」という表現したのか分からなかった。

「最上君、こちらは敦賀君といってホテル経営をしている実業家だ。敦賀君、最上君はこうみえてプロのカメラマンでね、『京子』の最新作の夕陽の表紙は彼女の作品だ」

「「え?」」

・・・思わずうれしくて口元が緩んでしてまう。
俺が『京子』の作品に魅せられた切っ掛けは表紙に心を奪われた事だ。あの夕陽の写真を作った人物に会えるなら・・・それは俺にとって『京子』を除いたどんな人物に会う事よりも嬉しい事だ。

「初めまして、最上先生。私は敦賀蓮と申します。私は小説家『京子』の大ファンなのですが、そもそも京子先生の作品を読み始めたのは、あなたの写真に惹かれたからなんです。お会いできて感激です」

と握手を求めた。しかし、最上君とよばれる女性は俺の手を取ることは無かった。俺を見ようともせず、宝田氏を見上たまま、

「表紙が私の作品である事は公表しない約束では・・・?」と不機嫌そうに言った。

「公に発表はしていないだろう?敦賀君に教えただけだ。ほら最上君、こんなにも美しい男性が君に手をとって欲しくて泣きそうになっているよ。機嫌を直して握手に応えてあげないか」

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Agren

Author:Agren
本家のストーリの進行のじれったさに、素敵な2次小説サイトを巡って熱を冷ましていましたが・・・とうとうを自分自身で妄想を開始しました。
2次は愚か、小説初挑戦です!



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