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LOVE PHANTOM(31)

SIDE REN

「そろそろ、かな・・・」

俺はキッチンに立ち、サラダを作っていた。
ハンバーグとオニオンスープの下準備は出来ているから、仕上げはキョーコが来てからすればいい。

----もうすぐ7時

司法試験が終わってから、デートで外食したり、キョーコが食事を作ってくれる事が多い。けれど、時々は以前の様に俺が料理を振舞っていた。

完成したサラダをリビングに運び、ソファに腰掛ける。
そうして、手元に置いてあったガイドブックをパラパラとめくる。

(冬場でも、麓の富士五湖あたりの道なら雪は大丈夫なはず。富士急○イランドで遊ぶのも良いし・・・)

名古屋の観光はキョーコが「任せて!」と張り切っているので俺に主導権は無い。
でも、キョーコとの初めての旅行なのに受身のままなのが嫌で・・・俺も何か計画を・・・と考え、名古屋に行く途中、御殿場I.C.で降りて富士ドライブをしよう、と思い付いたのだ。

(キョーコは絶叫マシンが好きらしい・・・)

子供の頃、父と良くスカイダイビングをしたな、と思い出す。彼女には似合わない!と笑われたけど、これでも俺はアウトドア系だったんだ。

(そうだ、春休みには俺の実家に一緒に帰ろうって誘おうか?)

定番すぎるけど、ディズニーランドに一緒に行くのもいいし、ハリウッドは母さんに頼めば中を見学できる。すこし、足を延ばして、グランドキャニオンをトレッキングするのも楽しいはず。俺が、アウトドアでも使える男だと証明して見せたい・・・そんな事を考えていて・・・ふと、時間が気になって顔を上げる。

「・・・あれ?もう8時だ」

約束の時間を1時間もオーバーしている。俺はガイドブックを1時間近く見ていたらしい。

(連絡は・・・ない、な)

沈黙を守っていたらしい携帯を見て、思わず溜息をつく。
いつもは時間に遅れそうな場合、前もって電話なりメールを入れてくるはずなのに・・・こちらから電話を掛けてみても留守電に繋がるばかり。

(電話にもでない・・・か)

これまでにも何回か彼女と連絡が付かなかった事はある。つい最近の理由は、受験勉強の疲れが溜まって、家で寝入ってしまっていたそうだ。

とりあえず、ベランダに出てキョーコのマンションの方角を見つめる。すると、キョーコの部屋に明かりが付いているのが確認できた。

(家にいるの?・・・ちょっと様子を見に行ってみるか・・・)

俺はコートを羽織り、徒歩10分の道のりを少し急ぎ足で歩き始めた。


***


----ピンポーン

キョーコの部屋の呼び鈴を鳴らすけれど、反応が無い。

(そもそも呼び鈴に反応する位なら、電話に出るはずだよな・・・)

さて、どうしようか・・・、と思う。部屋の明かりが付いていたから、家に居るのだろう、と、思わずここまで来てしまったけれど、彼女が出迎えてくれなかった場合の対応を深く考えて無かった。

(このまま帰っても、な・・・)

連絡が無いのはどうして?と不安になる自分が容易に想像できる。もし、前回の様に彼女が寝ているだけならいいけれど、それならそれを確認したい。そこで、俺はこの部屋の合鍵を取りだした。

----ついこの間、彼女にもらった俺の宝物

『蓮の部屋の鍵だけ貰っているのは悪いから・・・』

彼女の受験勉強期間中、俺の部屋の合鍵はキョーコに渡してあった。そうして蒔いておいた種が今になって、実を結んだのだ。

(でも、勝手に入るのは・・・)

鍵穴に鍵を差す直前で手が止まる。
例えば、彼女の方から「今日は部屋で待っていて欲しい」と言われて合鍵を使うのはやぶさかでない。でも、何の前置きもなく使うのは気が引けるのだ。

(でも、もし部屋に居なかったら?・・・何か事件に巻き込まれていたら?)

キョーコの事になると、思考が後ろ向きになる自覚がある。
そんな風に、悶々とするくらいなら、さっさと入れよヘタレ、と頭の中で囁く声がする。仮に彼女が中に居たとしても、電話も呼び鈴にも気付かない状態なのだろうから、そっと中に入ってそのまま出れば、俺が勝手に入った事に気付かれないだろ?と畳み掛けられる。

(それもそうだよな。それに見つかっても「待ち合わせに来なくて心配だったから」ってゆう正当な(?)言い訳もあるし・・・)

そう自分に言い聞かせ、俺は一応、音を立てないよう鍵を開け、中に入った。そしてすぐ、玄関に不自然なものがある事に気付く。キョーコが普段穿いている靴の隣にある、

----男物の靴?

ドクン、と心臓が大きく動くのを感じる。もし、この部屋にキョーコと誰か男が一緒に居るのなら。
電話にも出ず、呼び鈴も無視して・・・。

俺は咄嗟に部屋の中から死角になる場所に身を隠した。そして、ド、ド、ド、と煩く鳴る心臓の音をなるべく聞かないようにしながら、音を立てないよう玄関と部屋をつなぐ廊下を進み、部屋のすぐ入口のすぐ側までたどり着く。すると、男女の話声が聞こえてきて・・・

「不破自動車のためなら・・・私の気持ちなんて、小さな事だよ?」
「そんな風に言うなよ・・・いくら冴菜さんが望んだことと言え、キョーコが簡単に納得できるはずないのに・・・」
「ううん、いいの。お母さんが心から望んでるって分るから。娘の私が受け入れなきゃ可哀想・・・」
「キョーコ・・・」
「ショーちゃん・・・」

そこで、会話が途切れた。

----見てはいけない。部屋の中を見てはいけない。見たら、きっと、見たくないものを見てしまう。

そう思うのに、体が勝手に動いた。そこで、俺が見たものは・・・

『不破松太郎と抱き合うキョーコ』

の姿だった。




いつまで、この過去編が続くのか・・・次で終わるはず。

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プロフィール

Agren

Author:Agren
本家のストーリの進行のじれったさに、素敵な2次小説サイトを巡って熱を冷ましていましたが・・・とうとうを自分自身で妄想を開始しました。
2次は愚か、小説初挑戦です!



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