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料理が得意な彼女(19)

SIDE KYOKO

朝パートの映像の確認をした。
自分の醜態を見るのが恐ろしかったけれど、このCMは相手が私とは分からないよう、カメラが私の背中側からまわっていたから、実際には大したことはなかった。

(はぁ~良かった。)

でも・・・敦賀さんの表情をみて驚いてしまった。

男性スタッフも赤面するような、うっとりとした表情をしていて・・・ベットから降りてシャツを羽織る仕草も軽やかで、しなやかで、服が敦賀さんに焦がれて自分から纏わりついているみたいに見えた。

(なんて完璧な・・・美しい映像なんだろう。私がちゃんと演技をさせてもらえたとしても、こんな絵は引き出せないよ。)

そう思い、気分が沈んでしまった。

***

社さんが予約してくれたランチの場所は、沖縄の古い民家を改築して作られたカフェで、とっても雰囲気が良かった。出された料理も本当においしくて。特に、目の前の畑で作られている野菜がとっても新鮮で味が濃くて、また沖縄に来る機会があったら絶対来たいと思った。

午前中の撮影で、敦賀さんと自分の演技者としての距離にちょっと落ち込んだけど、カフェの周りを散歩しているうちに、なんだか南国の妖精さん達が私を元気付けてくれるような気がして、暗い気分はその明るい雰囲気にすっかり流されてしまった。

(キョーコ!ただ目標に向かって前進あるのみよ!)

私の上機嫌が敦賀さんにも伝わったのか、敦賀さんも口元が綻んでいる。
散歩を終えて覗いた琉球ガラス工房の作品達もすごく素敵で!ガラス細工の体験もさせてもらえて・・・体の大きな敦賀さんが、小さなガラス玉に一生懸命チクチクと細工を施して、とんぼ玉を作っている・・・その姿がなんともミスマッチで、

(可愛いんだもの!)

男の人なのに反則・・・でした。今まで敦賀さんとゆっくり時間を過ごすのは「夜+敦賀さんのマンション」に限定されていて。昼間から、こんな風に敦賀さんと過ごすのは初めてで、

(まるで、デートみたい。すごく楽しい・・・かも。)

と思っていたら、

「俺は、キョーコと色々な場所に一緒に行って、色々な事を一緒にやりたい。恋人として堂々とデートしたい。君が覚悟がないっていうのを尊重するつもりだけど、今日、キョーコが楽しいと思った気持の何十倍も俺がこのデートで幸せになっている、それだけは覚えておいて?」

と、敦賀さんが神々スマイル最大出力でのたまった。
私は軽いパニックを起こしてしまい、了解の言葉を紡ぐのが精いっぱいだった。

***

夕方から、夜パートの撮影が開始された。

まず、私が本来居る場所にカメラが設置され、そこに向かって敦賀さんが歩くシーンが撮られている。最初はゆっくりと優雅に。次は少し早足で。朝のイメージとは正反対のアールマンディのダークスーツも・・・敦賀さんに本当に良く似合っている。

私はそれを眺めながら、もう一度、心を落ち着けて夜パートの役作りを確認する。

(恋人の『彼』は仕事が忙しい。久しぶりに一緒に旅行に行く事になったけれども、彼は仕事が押して遅れてしまう。私は先に着いていて、彼が合流するのを待っている。)

(久しぶりのデート、大好きな『彼』がここに来る。)

朝のように、私が演技放棄をした方がいい絵になるかもしれない。でも、最初から敵前逃亡するのは嫌だ。

敦賀さんオンリーのパートにOKがでてカメラ位置が変えられる。
私は、さっきまでカメラが置いてあった場所に立った。

「アクション!」

敦賀さんが私に向かって優雅に歩いてくる。

(『彼』と久しぶりのデート・・・デート、楽しかった。敦賀さん幸せなんだって。)

私は敦賀さんとのランチを思い出してしまっていた。一緒に散歩したり、ガラス細工をしたり・・・。

気が付くと、敦賀さんが目の前までやってきていた。

(また敦賀さんとデートしたい。でも・・・誰かに見つかったらどうするの?)

多分、私が久しぶりのデートの設定なのに、あまり嬉しそうな顔をしていなかったからだと思う。敦賀さんの演じる『彼』が、私に、

「久しぶり、待ちくたびれた?」

と、声をかける。敦賀さん、ちゃんと演技してる。早く私も『彼女』の役柄を憑かせなくっちゃ、と思うのに、最上キョーコがどうしても出しゃばってしまう。

「・・・ずっと待っていてくれたのは敦賀さんですよね?」

目の前の『彼』が驚いて目を見開いている。私が最上キョーコのままだから・・・敦賀さんに戻してしまった。

「君のためなら、いつまでだって待つよ?」

そう・・・ずっと私を待っていた人。

「お待たせしちゃいました。」

そういって、私は敦賀さんの胸に頬を寄せた。


あと、2、3回で終わる予定です。だんだん書いていて恥ずかしくなってきましたが・・・投げ出さないよう、がんばります。

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プロフィール

Author:Agren
本家のストーリの進行のじれったさに、素敵な2次小説サイトを巡って熱を冷ましていましたが・・・とうとうを自分自身で妄想を開始しました。
2次は愚か、小説初挑戦です!



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