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LOVE PHANTOM(29)

SIDE KYOKO

蓮が予約していたのは、渋谷にある高層ホテルの最上階にあるバーレストランだった。

照明が押さえられた薄暗い室内からは大きな窓に映る夜景がくっきりと見える。隣の席と十分なスペースを空けて並べられた黒いテーブルには、キャンドルの光がゆらゆらと反射していて・・・

(なんだか、オトナな雰囲気です)

予約席は一番窓際の席。窓に向かって、一人掛けのソファが二つ「ハ」の字になるように少し傾けて並べられていた。

(今日はきれい目な格好をしてきてよかったな・・・)

法務省に合格発表を見に行くのに、あまり締りのない格好をするのは駄目でしょう?と、少しきちんとした格好をしたいたのだ。ずっと身なりに気を使う余裕がなくて・・・いつもの格好で来ていたら、ヤバかった・・・。

「ドリンクリストはこれ?料理はね、メニューの中から好きな物を4品頼めるコースにしておいたから・・・どれが良いかな・・・」

それにしても、蓮ってば、この場になじみ過ぎ・・・・。相変わらず、ゴージャスというか、遠目にみてもスタイル抜群で「俺は格好良いです」ってオーラが出てるし。近くで見れば、すごく綺麗な顔なのに・・・精悍で、知的で。それに、心だって・・・とても大人で、優しくて、余裕があって・・・

「ねぇ『彼女さん』聞いてる?」
「え!あ!?ごめん」

蓮に軽く耳を引っ張られ、少々ぼうっとしていた自分に気がついた。
いいかげん見慣れてきたはずの、蓮のとんでもない容姿は、こう雰囲気のある場所にくると、2割、どころか、5割増しで輝いている。

「俺の彼女さんは、すーぐ、どっか行っちゃうんだから、困るよね?」
「そ、そんな事ないよ?!」

----俺の彼女さん

これは、いつからか蓮が私を呼ぶときに時々使う呼称だ。それを聞くたびに、なんだか、こう、耳がこそばゆい。

「えっと、飲み物と料理のオーダーよね?私は、オレンジジュースと・・・
「ミモザにしたら?」

料理を選ぼうとしたら、蓮がドリンクの変更を勧めてくる。

「せっかく、合格のお祝で来てるんだから、乾杯の1杯目位、飲まない?」
「あ、うん。そうしようかな?」
「ミモザは、オレンジジュースのシャンパン割だから、ね?」
「じゃぁ、それで」

同意すると、蓮が、すっと、手を上げて軽くふる。ウェイターを呼ぶその仕草も綺麗だなと思う。

「綺麗・・・夜景(も)」

注文をする姿も優雅だな、と思いながら、思わず口に出してしまった言葉に、何だか恥ずかしくなって、誤魔化すように余計(?)な一言を添える。

「気に入った?」
「うん」
「じゃぁ、また来よう?もう、合格が決まったんだから・・・これからは昼も夜も沢山デートしてね?」

この蓮のデート宣言に、私は一瞬、頭が真っ白になった。

突然、2年前のクリスマスの日の事を思い出したのだ。蓮は帰省先から私が掛けた電話に対して「置いてけぼりにされて寂しかった」と、言っていた・・・

(もしかして、蓮はずっと寂しい思いをしていたの?)

今まで、合格発表の今日というこの日まで、その事をすっかり忘れていた自分に愕然とする。試験勉強を始める前には確か・・・蓮に寂しい思いをさせるのなら、別れてあげた方がいいのかな・・・とか、思っていたのに。その事すら忘れてしまっていたのだ。

「キョーコ?どうした・・・?」

訝しげな表情をした蓮に顔をのぞきこまれて、我に返る。

「あ、あ、うん。沢山デート、する、する!そ、そう、来月!クリスマス?クリスマス!一緒に名古屋に行こう!」

(あぁ~、私、去年のクリスマス何してた?うわ・・・当然の様に、いつも通り家で勉強してた!?)

「急にどうしたの!?・・・でも、名古屋って・・・若しかして、お母さんに紹介しれもらえるの?」
「蓮さえ良ければ、喜んで!!」

ここは、渋谷のオシャレなバーであって、どこぞの居酒屋じゃないのよ?と、良く分からない台詞が頭に浮かんできたけれど、

「嬉しいな・・・」

蓮がそう答えながら、輝くような笑顔をみせて・・・本当に、薄暗いはずのバーの中が、一瞬(一瞬だけですよ?)昼間の様に明るく照らされた様な気がして、私は思わず目を閉じた。

(な、何ー!?今の眩しい・・・!?)

すると、ふに、と、唇に柔らかくて温かいものが触れて、思わず目をあけると直ぐ目の前に蓮の顔があった。

(わっ、睫毛なが・・・って--------------!?)

も、も、もしかして!?と思っていたら、今度は唇全体を、はく、と覆われるような感触が脳に伝わってくる。

そうして、私の方に身を乗り出していた蓮が、ゆっくりと彼のソファに沈み込んでいった。まるで、スローモーションのように・・・彼の瞼が体の動きに合わせて開くのを、その奥から現れた瞳から、視線が外せない。

----それから、どれくらいの間、見つめ合っていたのだろう?

「お待たせしました。ミモザとジョニーウォーカーです」

ウェイターの声に、びくぅぅ・・・と、体が跳ねた・・・のは私だけじゃなかった。どうして、シンクロするの?分からない。分からないよ?と、頭の中が混乱する。

「えっと・・・合格おめでとう・・・これからも、よろしくね?」

そう言ってグラスを持った、蓮の顔が少し赤い。赤い? ここは、こんなに暗いのに、顔が赤い、って分かるんだ。あぁ、外の、夜景の光が結構入って・・・

(は、は、恥ずかしレベルMax~~~~~!)

絶対に、絶対に、私の顔の方が赤いって!!私は急に自分の顔が酷く熱を持っているのに気付いた。

「あ、あ、あ、あふ、ふ・・・ふつつかもの・・・です、が・・・」

私は、内心、どうしようもない程、身悶えながら・・・やっとの事で、声を出したのだった。


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プロフィール

Author:Agren
本家のストーリの進行のじれったさに、素敵な2次小説サイトを巡って熱を冷ましていましたが・・・とうとうを自分自身で妄想を開始しました。
2次は愚か、小説初挑戦です!



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