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料理が得意な彼女(18)

SIDE REN

天然記念物的・純情乙女だったキョーコ。
その純情っぷりは未だ健在で『快感に対する許容量が小さい』という表現が適切かどうかわからないが、
俺が少し本気を出してキスするだけでオーバーフローを起こしてしまい、俺が与える快感の波に、俺の思うがさまに翻弄されてくれる。

俺は・・・キョーコから夢の反応が返ってくるのが嬉しくて・・・彼女からの反応が返ってこなくなるまで、行為を止めることができない。

(本当に何度も夢に見る程、君に焦がれていたんだよ? だから、許して?)

自分とは違う、本物の恋愛初心者のキョーコに対して、もう少し手加減しないと・・・とは思うものの、一方で、キョーコが意識を手放すのがあまりに早すぎる、と感じる自分がいる。

(なんだか俺の一人相撲みたいだよ。)

それでも、キョーコが目覚め・・・その最高に無防備な姿をみるにつけ・・・これを腕の中に囲うことができるのは自分だけなんだと、幸せを感じてしまう。

***

撮影は朝のシーンから始まった。

キョーコはプロ根性を発揮して『京子』として、俺の相手役を演じている。普段とは違う彼女。いつもなら、恋心がたっぷりと乗った甘えた表情なんて見せてくれないのに・・・。

自分が演じる『彼』に嫉妬した。だから、『彼』を『俺』にすり替えた。そして、キョーコはそれに気づいて・・・俺を拒絶した。

俺は本物の恋人なのだから、素で演じたって監督の意図に反するわけじゃない。
ダメージを受けている俺に、追い打ちをかけるように彼女から「演技をしてください!」と耳打ちされる。

俺と彼女の恋愛は・・・彼女は俺に会えなくても平気みたいだし、アノ時だって俺の一人相撲みたいだし、大体、好きって言葉だって、俺が散々、みっともない姿を晒して、やっともぎ取ったようなものだし・・・俺の片思いから、ほんの少ししか進んでいない、ような気がする。

(こうなったら意地でも素の俺に対して、市原監督を納得させる恋人の振る舞いをしてもらうからね。)

しかし俺のささやかな野望は、早々に彼女が『最上キョーコ』をわざと手放す事で潰えた。いつものプロ根性をもう少し発揮してくれてもいいのに・・・悔しい。

でも代わりに現れた無防備な彼女はそれはそれで可愛くて、口許が緩んでしまう。

(ここでガードを外したんだから覚悟はできてるんだよね?)

***

「はい、チェックOK」

朝パートの映像を見た。
ああ、俺ってこんな表情するんだ、これじゃぁ、社さんに「顔!」って言われるはずだ。

「じゃぁ、蓮とキョーコちゃんは、夜パートの準備ができるまで昼食を兼ねて休憩!」

日が傾いてからの撮影になるからゆっくりしてくれていいよ、と監督から声をかけられた。キョーコは普通に「分かりました」とにこやかに答えているけれど、普通なのが却って怖い。なんだか・・・もしかして凄く怒ってる?

「蓮!キョーコちゃん、お疲れ様~!俺は事務所に報告することがあるから、先にご飯食べてて!あ、せっかくだから、ホテルお勧めのお店を予約しておいたから!」

と社さんが、昼食に誘いに来たスタッフをかき分けて近づいてきた。そして、レストランの連絡先が書いてある紙を俺に押しつけて、脱兎のごとく消えていった。

「せっかく予約してくれたみたいだから・・・出かけようか?」

***

社さんが予約してくれた場所は琉球ガラスの工房に併設されているカフェだった。俺たちが来ると聞いて気を利かせて、他の席から死角になっている場所に席が作ってあった。

窓からは、カフェで出される野菜の畑が見え、その向こうに海が見えた。食事もとてもおいしかった。

「ハーブとかプランターで育ててみようかな。」

キョーコはここに来てから(すてき!)を連発し、すっかり上機嫌になったようで、食後に、こうやって畑の周りを散歩しながらニコニコしている。・・・社さん、グッジョブです!

「沖縄となると、建物だけじゃなく生えている植物も南国風で・・・なんかホント、別世界に来たようですね。」

「そうだね。」

嬉しそうな彼女をみて俺も嬉しくなってしまう。

「折角だから、ガラス工房ものぞいて見ようよ。」

彼女は素直に俺についてくる。ガラス工房・・・彼女が好きそうな物が詰まっているに違いない。

案の定、キョーコは店の外から見えるディスプレイを見ただけで、目がキラキラしていて。お店の中に入ると同時にメルヘンの国に旅立ってしまう。

店の中には観光客が数組いたが、俺たちを真っ先に見つけた工房の人が、商品の説明をしながら店内を案内してくれて、近づいてくる客をさりげなく遠ざけてくれる。

「お時間があるようなら、何か作ってみませんか?」

そのまま工房の奥に案内される。

「ここは一般の人の体験教室とは別ですから。」

そう言って、ガラスのコップ、お皿、とんぼ玉、色々な見本を見せられる。キョーコの目は完全にハートマークになっていて、

「すごいっ、私やってみたいです!」

俺たちは時間の許す限り、色々な物を作った。本当にそれが楽しくて・・・。

「こんな風にデート、キョーコと沢山したいな」

とつぶやいた。するとキョーコは(はうっ)と俺から目を背けた。

「なにかな?その反応?(キュラ)」

「あ、イエ、ちょっと光に焼かれて・・・」

と訳の分からない事をごにょごにょ言ったと思うと、困ったような顔をして、

「沖縄の・・・こんな風に心遣いが行き届いた場所だからできたことで・・・東京だと人目があって無理ですよ?」

と答える。

「俺は、キョーコと色々な場所に一緒に行って、色々な事を一緒にやりたい。恋人として堂々とデートしたい。君に覚悟がないっていうのを尊重するつもりだけど、今日、キョーコが楽しいと思った気持の何十倍も俺がこのデートで幸せになっている、それだけは覚えておいて?」

俺の正直な気持を告げる。

「そうですか。」

キョーコからは、なんとも色気の無い返事が返ってきて、俺はがっかりしてしまった。

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プロフィール

Agren

Author:Agren
本家のストーリの進行のじれったさに、素敵な2次小説サイトを巡って熱を冷ましていましたが・・・とうとうを自分自身で妄想を開始しました。
2次は愚か、小説初挑戦です!



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