スポンサーサイト

上記の広告は1ヶ月以上更新のないブログに表示されています。
新しい記事を書く事で広告が消せます。

LOVE PHANTOM(24)

話し、長くてすんません・・・そして長い割には進みが遅い。

SIDE REN

『ショーちゃん』

それは、キョーコの幼馴染で、従兄で、不破自動車社長の息子。
家の方針で高校はアメリカに留学していて、この春からは東都大の経済学部に入学してくる----。

「ショーちゃんと一緒に不破家のお手伝いさんが東京に来る事になってるんだけど、『俺の世話だけだと時間があまって暇だろうから、キョーコの家の事もやるよう言ってある。だからお前は司法試験の勉強に集中しろよ』って言ってくれて。でも、夕飯の支度は断ったら理由を聞かれて・・・「今度、一緒に連れてけ」って・・・」

(・・・そうゆうことか)

「分かったよ。俺もキョーコの従兄殿に挨拶したいからね。彼は・・・洋食と和食、肉と魚、どっちが好きなのかな?」
「いいの?」
「もちろん」
「じゃあ、和食で・・・どちらかと言うと、魚が好きだと思う」
「分かった。『ショーちゃん』に・・・会うのがちょっと楽しみで、ちょっと怖いな」
「怖い?」
「うん。だって、恋人として紹介してもらえるんだろう?絶対に、好かれたいじゃないか」
「蓮は誰にでも好かれるから大丈夫だよ!」

・・・何気ない一言だけど、嬉しい。

「誰にでもって、って事はもちろんキョーコも入ってるんだよね?」
「う、」

もう、本当に・・・何故こんな些細な事で狼狽するのか・・・この天然記念物的乙女は絶対に図鑑に載せるべきだと思う。

「入ってるよね?」
「・・・」
「入ってないの?」
「・・・」
「入ってないのかぁ・・・」
「・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・入ってる、ます」
「日本語、変だよ?」

そう言いつつも、照れているキョーコが凄く可愛くて、思わずにじり寄ってしまったら、ぴゅー、っと音が立つような勢いで、逃げられた。部屋の隅の方で「反則です!」とか何やら分からない抗議をしている。

(やれやれ・・・)


***


「「お邪魔します」」
「いらっしゃい、キョーコ。ようこそ、不破君。今日は君に会えるのを楽しみしていたよ」

ついに来た『俺・品評会』の日。これ以上なく気合いを入れた夕飯の準備は万端だ。

「今日はどうも。これ・・・酒が好きだって聞いたんで・・・日本酒です」

そう言って、不破松太郎がラッピングされた細長い箱を差し出してくる。
俺は彼が定番の手土産を携えてきてくれた事に安堵した。これは、お近づきの印で友好の証でもあるから。

(・・・確かにこれは、王子様なのかもしれない)

『ショーちゃん』は金髪に近い明るい髪色が違和感なく似合う・・・とても綺麗な顔立ちをしていた青年だった。背も日本人にしてはすらりと高く多分180cm近くある。

「さぁ、上がって」

俺は、部屋の奥へと2人を促す。

「すごい、ですね。・・・この部屋、独り暮しなんですよね?」
「1人で住むには、広すぎる?さあ・・・好きな所に座って?」

リビングにあるローテーブルには、三人分のテーブルセッティングを既に済ませていた。冷めていも良いものは既に盛りつけてあって、あとは温かい物を温かいまま出すだけ。俺はとりあえず、ポットに作ってあったほうじ茶を注いで2人に出す。

「キョーコから聞いていると思うけれど、俺はアメリカ出身だから、部屋が狭いのは息苦しくて。君もアメリカに居たなら分るだろう?向こうは学生寮だって・・・日本の感覚では、かなり広い」
「でも、家賃が全然違うし・・・」
「確かにね。でも、ここの家賃位は、まぁ、問題ない」
「へぇ・・・敦賀さんの親御さんは何をやってる人なんですか?」

(大事な従妹の付き合ってる男の素性を気にしている、って、ところか?)

「父親はアメリカで投資を生業としてる。母親はモデル兼女優。実家はそこそこ裕福だけど・・・でも、生活費は自分で稼いでるんだ。俺も父親から投資についてレクチャーを受けてるから、それで・・・」

----ピピピ

キッチンタイマーが鳴る音が聞こえた。

「ちょっと失礼、ちょうど出来たみたいだ」



SIDE SHOTARO

クリスマスの翌日、日本に帰国して受験勉強に勤しんでいた俺は、母親に

「ショータロー、キョーコちゃんきっと泣いてるから慰めて来なさい!!」

と殆ど無理やりキョーコの実家に送り届けられていた。
途中、冴菜さんの病気の事を聞いて気が滅入る。「慰めると言ってもどうすればいいのか分かんねーし・・・無理、出来ねー」と言ったら、「ただ話を聞いてきなさい!」と、叩き出される。

(まいった・・・)

「お母さんの為に私ができる事っていったら、弁護士試験に受かる事位だと思うの・・・」

辛そうに泣く「幼馴染の涙」に俺はめっぽう弱い。
中学に入って母親と和解(?)してから、殆ど見る事がなかったのに・・・。

久しぶりに会った従妹はビックリする位、垢ぬけた外見をしていた。女っていうのは、本当に化ける時は化けると言うか。まるで知らない女を相手に話しているようだと思っていたけれど・・・この泣き顔だけは、いつまでも変わらない。

「そっか・・・キョーコの母さん、変わらないものな・・・」
「うん・・・」
「泣くなよ・・・いや、泣いていいぞ」

キョーコを抱きよせてポンポンと背中を叩く。
子共の頃、母親や友達の事で泣いているキョーコにしてやれた事と言えば、キョーコも不破家の人間だと教えた事位だった。でも、俺はアメリカに行って1つ学んだ事がある。彼らは、嬉しい時も悲しい時もハグをして・・・これは気持ちを共有したり落ち着かせるのにすごく効果があるって事。

「キョーコは良くやってる。無力感なんか感じなくていい。ウチの両親・・・多分、俺よりお前の事の方が好きだぜ?」
「ありがとう・・・ショーちゃん」

か細く囁いて・・・泣き続けているキョーコに、

(俺が不破を代表して、俺がちゃんとコイツを幸せにしてやらなきゃ・・・)

そうゆう決意が浮かぶ。

キョーコが幸せではない・・・その根本原因の一つは「最上健次郎の死」だ。叔父さんが生きていれば、最上一家は名古屋を離れた土地でひっそりと暮らしていたはずで。そして、不破家の哲学を良く知れば、叔父の絶妙なタイミングでの死が偶然とは思えなかった。確信は無いけれど、表向き「不破健次郎」のまま叔父が死んだ事で、全ての事が取りあえず丸く収まっていた。

----キョーコの不幸が不破の責任なように、キョーコの幸せは不破が責任を負わなきゃならないんだ・・・


***


----キョーコに男が出来た

何でも、この世の美徳の全てを備えたような「神の寵児」なんだと。そんな奴、この世に居る訳が無い。もし、それに近い男が居たとしても、あの「俗世隔離的・超奥手女」にモノにできるのか?と思う。

(きっと、初めて男ができたもんだから、浮かれてるんだろう・・・)

一度はこの目でソイツを確かめなきゃならない。つまらない男にキョーコはくれてやれない。アイツは今まで取り溢してきた「幸せ」を取り返さなきゃいけないし、そうなるように手助けして見守る責任が俺にはある。

「キョーコの為に夕飯を作ってる?」

初めて聞いた時は、普通女が男にする事だろう、と思った。ただ、遊ばれてる訳ではなさそうだし、むしろ、尽くされていると言えるんだろう、けど・・・一体、どんな女々しい男だよ・・・と、半分、呆れてしまった。しかし、実際、目の前に現れたのは、

(すげーな・・・)

その一言に尽きる。長身で均整の取れた体に、男の俺でも思わず息を飲む端正な顔。それに加えて男の色気ってヤツがヤバイ位に漂ってる。

(これで、10歳でスタントフォートに入って、15歳で既に学位を取得しただって?)

アメリカに居たから良く知っている。スタントフォート大はアメリカ西海岸屈指の名門大学で、東海岸のハーバード大と双璧を為していた。特に大学院での研究評価は高い・・・。

----神の寵児

そうキョーコが言うのも、分かるような気がした。



「旨い・・・」

ずらりと並べられた料理。その中から、魚のから揚げを口に運んでみると、外はカリっと中はふっくら、ってヤツだった。ピリ辛のソースがまた絶妙で。

「口にあって嬉しいよ」

にこり、と微笑む男の顔が本当に嬉しそうで。なのに・・・

「ね?おいしいでしょ?最初はもう悲惨で・・・オムライスなんて窒息死しそうな程、不味かったのに、あっという間に上手になっちゃって!」
「キョーコ・・・それは言わない約束でしょ?」
「・・・」

目の前の男の声を聞いていると、何だか良く分からない苦い気持ちが湧いてくる。最初から変わらず、敦賀蓮は物腰の柔らかい・・・多分、好感度の高い話し方をしている、はずなのに。

「蓮はちゃんとハンバーグに半熟目玉焼きを乗せてくれるのよ?もう、私の食生活はバッチリなんだから!羨ましい?」
「・・・別に」
「こらこら、そんなマニアックな自慢しても・・・ね?」

微笑み合っている、目の前の男女にイラっとくる。

(俺のキョーコをそんな目で見るんじゃねぇ!)

・・・・え!? おい、ちょっと、待てって!!今、俺、何を思った?・・・

「ぐっ・・・うぉ・・・」

いきなり、口いっぱいに広がる気持ち悪さに、我に帰った。

「不破君?」「ショーちゃん?」
「悪い・・・甘い・・」

思わず、一旦口に入れたものを、手に吐いて、元に戻してしまった。

「あ!!もしかして、これ、甘い卵!?」
「・・・おぅ」
「ごめんなさい蓮!ショーちゃんは卵が甘いの駄目なの!本当に!!」
「そうなの!?ごめんね?」
「私こそ、ごめんなさい。伝え忘れてて・・・蓮がこんな凝った卵料理作るなんて思わなくて」

俺が魚しんじょの餡かけ?と思って食べたものは、甘く味付けされた卵が魚のすり身の薄皮に包まれた茶巾だった。俺は「砂糖味の卵」って奴がとことん苦手で普段は絶対に食べない。この世で一番嫌いな物を食わされるとは・・・全く、色々と嫌な日だ。

「これっ、唐揚げで口直ししなよ!」

そういって、キョーコが「甘い卵料理」の皿を取り上げ、代わりに魚の唐揚げを寄こしてくる。

(食べ掛けじゃねーか。まぁ、これ、ピリ辛だったから口直しには丁度いいか・・・)

「悪いな」

キョーコがくれた唐揚げを口に運ぶ。これはやっぱり旨い。
やっと、気持ち悪さが薄らいで顔を上げると、険しい顔をした敦賀蓮と目が合った。

(!?)


SIDE REN

キョーコの従兄「ショーちゃん」との食事は和やかに進んでいた。

会話も普通に弾んでいたし、彼は俺の料理を気に入ってくれてみたいで。自信作のカサゴのから揚げは、あっという間に平らげてしまった。

(・・・合格点を貰えるだろうか?)

きっと、この青年の口から俺の事がキョーコの母親や伯父や伯母に伝わる・・・そう思うと、緊張して食欲が湧かないけれど、食が細いという自覚があるだけに頑張って量を食べる。そうして食事も中盤にさ差しかかる頃、

「ぐっ・・・うぉ・・・」

魚の茶巾を食べた不破君が、小さく呻いて料理を器に戻してしまった。なんと、中に仕込んであった「砂糖で味付けした卵」が大の苦手らしい。

「大丈夫?ショーちゃん?」

お茶を飲み干しててなお、眉間にシワを寄せて口を押さえ俯いている。

(しまった、な。卵の方で魚のすり身を包んでおけば、気付いたかもしれなかったのに・・・)

キョーコはまだ少し残っている彼女の分のから揚げを勧めながら、一生懸命、彼の背中をさすり介抱をしている。しばらくすると、俯いていた不破君が、カサゴを一口、二口と口に運んで・・・箸が進むごとに、眉間の皺が浅くなっていく。

(良かった・・・)

キョーコも食事を再開する。でも良く見ると、彼女の分の料理ではなく従兄の分の魚の茶巾を食べている。

(えっ!?)

と俺が驚いた時には、彼が一旦、口に入れて吐きだした分まで綺麗に完食していた。

普段のキョーコは、恋人たちの定番「1つのソフトクリームを2人で食べる(!)」なんて夢のまた夢、ペットボトルや缶コーヒーのシェアですら、

「間接キスです、破廉恥です~~~!」

俺が口を付けたモノには嫌がって手を出そうとしないのに。だからこそ、俺は手を繋ぐ以上の・・・先に進めないのに。

何となく納得できない理不尽さを感じ・・・目の前の不破松太郎に対する敵愾心が湧いてくる。

(待て・・・彼とキョーコはいとこ同士じゃないか)

頭を冷やせ。と思うのに、俺は逆の事、日本とアメリカでは法律が違う事を思い出す。アメリカではいとこ同士の結婚を法律で禁止か制限している州が半数以上だけれども・・・日本は今も昔も、その制限は無い・・・。

(落ち付け・・・彼らは兄妹同然に育ったんだ)

なんとか、気持ちを鎮めようとしたけれど、その時、目の前の美貌の青年と目が合って・・・彼が、ふふん、と不敵に笑った様な気がした。


***


「あー、旨かった。ご馳走様」

不破が手を合わせ、満足そうに微笑んでいる。それを見るキョーコも嬉しそうで。俺も「お粗末さまでした」と、作り笑顔で応えたけれど、心中ではさっきの不敵な笑顔の意味をぐるぐると考えていた。

(思い違いだといいが・・・俺は、この手のカンは鋭いんだ・・・)

「いやぁ、旨いメシの後は、やっぱりアレだよなぁ・・・」

お腹をポンと叩く従兄の言葉に、キョーコがピクンと反応した、かと思うと、すっく、と立ちあがる。

「私、買ってくる!ちょっと待ってて!」
「おう、流石キョーコは気がきくな!」

俺には訳のわからない会話をしている2人。イラっとする俺に構わず、キョーコはあっという間に出かけ支度を整え、玄関に向かっていく。

「駅前のコンビニでプリン買ってくるから~、直ぐ戻るから待っててねぇぇ~~」

----バタン

いきなりのキョーコ不在の状況に、どうしたものかと思う。

「プリン・・・が来るなら、コーヒーでも淹れよう・・・」

立ちあがった俺を

「待てよ、キョーコが戻る前に話がある」

不破尚太郎が呼びとめた。

コメントの投稿

非公開コメント

プロフィール

Agren

Author:Agren
本家のストーリの進行のじれったさに、素敵な2次小説サイトを巡って熱を冷ましていましたが・・・とうとうを自分自身で妄想を開始しました。
2次は愚か、小説初挑戦です!



スキビ☆ランキング

最新記事
最新コメント
最新トラックバック
月別アーカイブ
カテゴリ
検索フォーム
RSSリンクの表示
リンク
ブロとも申請フォーム

この人とブロともになる

QRコード
QR
上記広告は1ヶ月以上更新のないブログに表示されています。新しい記事を書くことで広告を消せます。