スポンサーサイト

上記の広告は1ヶ月以上更新のないブログに表示されています。
新しい記事を書く事で広告が消せます。

料理が得意な彼女(17)

SIDE KYOKO

撮影は朝のシーンから始まった。
私は女優として、市原監督が納得する演技をしたい。目の前の『彼』の『彼女』になりたい。

(大好きな彼と素敵なリゾートホテルで、一晩を過ごした朝。この二人が会うのは久しぶり・・・)

役作りの参考にした背景を頭の中で反芻する。昨日はいきなりの内容変更に動揺してしまったけれど、私は女優。相手が敦賀さんであろうと、芝居が始まれば『彼の恋人』役を立派に演じきってみせる!

「アクション!」

ベットの上で『彼』と向かい合い、キスをするために徐々に顔を寄せる。あと数センチで唇が触れるという時に、目の前の『彼』が「キョーコ」と、いつもの様に私の名前を呼んだ。

(敦賀さん、なんで素のままなんですか・・・!!!)

目の前にいるのは『素の敦賀蓮』。それを理解した瞬間、憑かせている『彼女』が私から抜けるのを感じた。

(こんな大勢の前で!素の「最上キョーコ」のままキスをするなんて破廉恥~~~!)

私は、咄嗟に敦賀さんを突き飛ばしていた。

「キョーコちゃん!何やってるの!」
市原監督の声で我に返る。

「も、申し訳ありません!」
思わずベットから飛び降りて、土下座した。

「落ち着いて、キョーコちゃん。土下座も反省も、次に蓮を突き飛ばさなければ・・・しなくていい・・・演ってくれるね?」

市原監督の言葉に、私は覚悟を決めた。今回も監督を失望させる訳にはいかない!

***

「はいカット!蓮は良かったけど、なんだかキョーコちゃん・・・少し固いんだよなぁ・・・。まぁ、まだ時間もあるし、もう1回、撮っていこうか!」

(もう駄目です~!)

私は心の中だけで叫ぶ。あれから、羞恥心を気合いで押さえつけて撮影に臨んでいるけれど、監督を納得させる演技ができない。

(だって、演技できないんだもの~!)

撮影の合間に、敦賀さんに「ちゃんと演技してください!」って耳打ちしてみたものの「俺はちゃんと演技しているから・・・素だったらキスだけじゃ・・・終わらないよ?」と囁かれ・・・見事、返り討ち(?)に、あってしまった。

(でも~、あれを相手にすると、私が素にもどって演技をさせてもらえないの~!!)

・・・あれ?
演技させてもらえない?そうか。その手が残っていたかも。
この際、私の女優としてのプライドより、監督の納得する絵を提供することを優先させなくっちゃ!

(最終手段・・・こうなったら、敦賀さんの操り人形になって演技させてもらうしかない!!!)

そうするべきだ、と頭の中で声が聞こえる。そして私はヤケクソになって演技の方向性を変え・・・敦賀さんにされるがまま・・・になることにした。

「はいカット!
いやぁ~!キョーコちゃん!今回はすっごくいい感じだよ! で、蓮!お前は凄いことになっているんだな~!この際、絵コンテはもう無視!蓮が思う『朝の挨拶』を演ってみてくれよ!」

という監督の声が・・・やけに遠くに聞こえる。

(一応、OKがでたのよね? ----よかった。)

それから・・・後ろから抱き締められたりとか、上に跨がされたりとか・・・何パターンか撮って・・・その度に「蓮!キョーコちゃん!最高!」と監督に声をかけられた・・・ような気がする。

気がつくと、朝パートの撮影が終わっていて、敦賀さんに「大丈夫?」なんて声を掛けられていた。

この『気がつくと』・・・っていうパターン、私は良く知っている。どんな風に私が振舞っていたのか・・・確認するのが、なぜか怖くなった。

コメントの投稿

非公開コメント

プロフィール

Agren

Author:Agren
本家のストーリの進行のじれったさに、素敵な2次小説サイトを巡って熱を冷ましていましたが・・・とうとうを自分自身で妄想を開始しました。
2次は愚か、小説初挑戦です!



スキビ☆ランキング

最新記事
最新コメント
最新トラックバック
月別アーカイブ
カテゴリ
検索フォーム
RSSリンクの表示
リンク
ブロとも申請フォーム

この人とブロともになる

QRコード
QR
上記広告は1ヶ月以上更新のないブログに表示されています。新しい記事を書くことで広告を消せます。