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LOVE PHANTOM(19)

SIDE REN

街が赤と緑とイルミネーションに包まれる季節がやってきた。
俺にとって、今年の12月・・・クリスマスは特別。夏の終わりに付き合い出した、可愛い恋人

----キョーコ19歳の誕生日!

恋人達の一大イベントが、恋人の誕生日なのだから、それはもう、盆と正月が一緒に来る(?)ようなものだ。
(と考える俺はかなり日本文化に馴染んだと思う)

ベタだとは思うものの、Xデーは2人で東京ネズミーシーに一緒に行こうと約束してある。準備は万端。彼女には当日に着て欲しいと、ピンクのワンピースをプレゼントしてある。

----男が女に服を贈る

その意味に気付いて・・・くれるはずない、よな。
こうゆう事に対して、全く期待できないのが俺の恋人。この手の知識が小学生レべルで止まっているのは何故なのか?あぁもう、なんだ、この前会った琴南さん、彼女が何か入れ知恵をしてくれればいいのに・・・。

4ヶ月間の付き合いで、達成できた「野望」は、俺を「蓮」と呼ばせる事と、手を繋ぐ事だけ。最近は、情けないという気持ちを通り越して・・・俺は自分の理性の紐は、ピアノ線より強度があると、誇りにすら思う。でも、

----キョーコと25日に、デートできる男は自分だけ

白状します。そんな些細な事で俺は幸せになってます。
でも、そんな「幸せ感知レベル-感度MAX」な俺でも彼女の誕生日に叶えたい現実的な(?)野望は一つある。

それは、彼女に指輪を贈る事。なんでも、19歳の誕生日に父親から「銀の指輪」を貰うと幸せになれると言われているらしい。彼女の父親は既に亡くなっているから、彼女が父親から貰う可能性は無くて・・・。でも、父親じゃなくて恋人が贈っても良いそうだから、ロマンチストなキョーコなら俺からのシルバーリングを喜んで受け取ってくれる思う。

(もちろん用意したのはペアリング!)

「何、締まりのない顔をしてるんだ?」
「え?」

校舎内の自販機の前で、コーヒーをすすっていたら貴島が声を掛けてくる

「どうせ彼女がらみだろ?思い出し笑いなんかしてさ・・・実は敦賀ってむっつりスケベっぽいよなー」
「貴島君と同じにしないで欲しいな」

「しかし羨ましいよなー、あの子、超好みなんだけど。どこに行けばああゆう娘が見つかるんだか、教えて欲しいよ、まったく・・・」
「路上・・・とか?」
「あーナンパねー、なんか卒論煮詰まってきたし、渋谷にでもナンパにいこうかなー、今読んでる論文も小難しくてムカつくし。そういえば、著者名がTsurugaだったんだよな、スタントフォート大の・・・実は知りあいだったりする?」

(それ、多分・・・)

俺は、自分の事を「高校入学のためにアメリカから日本に戻ってきた帰国子女」だと言っていた。もちろん、それは嘘じゃないし、向うで学位を取っている事は、聞かれなかったから答えていなかった。でも、もう別に隠さなくても良いかなと思う。

「もしかして、199X年のPRL?」
「そう、それ!」
「それか・・・うん、懐かしいな。実は、俺が書いたんだ・・・アメリカに居た時に」

10年近く前の、数式に向き合っていた頃の自分を思い出す。懐かしい思い出として。
卒業研究・・・真面目にやろう。もちろん、大学4年生の手習いレベルで終わらせるつもりはない。今は、スタントフォートの助教授をしている「リック」の目に留まるような、そんな仕事に仕上げてみせる。

貴島に過去の話をしながら、俺は決意を新たにしていた。


***


毎週、水曜の夜はキョーコの部屋にお邪魔して夕飯を御馳走になる。

本当は毎晩だって一緒に食べたいけれど・・・彼女は琴南さんから紹介された家庭教師を火・木の週2回しているし。他にも、法律サークルの活動やら、友達百人計画(!)の為やら、結構、予定があったりする。

(毎日、ちょっとでも良いから、会いたい、顔をみたい、声を聞きたい・・・)

でも、彼女は結構な時間を大学の授業の予習・復習にも割いていて。東都大法学部にだって、毎日、7時間勉強して合格を掴み取ったという努力家さん。その彼女の毎日の勉強の習慣・・・殆ど生き方、それを俺の我儘で、自分の為に変えてくれ、と言うのは憚られた。

(これまで「彼女達」から、会いたい、電話したい、って言ってきてくれたのに・・・)

少しだけ、かじり聞いたキョーコの生い立ちを聞けば、これからも彼女が「会いたがり屋」にはならないであろう事が想像できてしまい、ちょっと凹んでしまう。

「はい、出来ました!今夜は、ロールキャベツがメインです」
「うん、美味しそうな匂いだ」
「えへへ、蓮にはお肉もお野菜もしっかり食べて貰いたいから・・・」

(あー、可愛いな・・・)



「で・・・貴島がすごく驚いてたよ」
「私だって初めて聞いた時には、たまげましたよ!!」

食事をしなばら、今日、自分の過去を話した事を告げた。

「でもまぁ・・・これから真面目にやって、国際会議とかに出るようになれば、俺の「再デビュー」が知られるのは時間の問題だからね・・・」
「そうすれば、リックさんにも、会うかもしれないですね?」
「うん、多分、来年の春の学会で会えると思う・・・ありがとう、キョーコ姐のお陰だ」
「もう、またそんな呼び方して!!」

----ル・ル・ル・ル・ル

携帯じゃなくて、家電が鳴っている・・・珍しい。

「取らないの?」
「んー、どうせセールスだろうし、留守電にしてあるから大丈夫」

電話は3コール鳴って、留守伝に切り替わる。

「キョーコ、居ないの?」

スピーカーから流れる、女性の声。それを聞いたキョーコは、椅子から転げ落ちるように飛び出して、受話器をひっつかむ。

「はい!キョーコです!!
「はい!はい・・・はい、ホントですか!?・・・嬉しいです!!・・・絶対帰ります!!はい、はい、お忙しいのに、お時間ありがとうございます!!はい・・・はい・・・お仕事頑張ってください!!」

受話器を持ったまま、足をじたばたさせたり、頭を下げたり、すごく興奮している。頭から湯気を立てながら戻ってきたキョーコに、

「誰から?」

と聞いてみると、

「母です!!」

彼女が最も尊敬する人物、と答えが返ってくる。

「なんの用?」
「なんと、母が!私の誕生日にウチに帰ってきてくれるっていうんです!!私の為に!!!」
「・・・え?」

俺は、思わず聞いてしまう。

「ウチって、どこの「ウチ」?」

すると、キョーコは見る見る青ざめて、

「ご、ごめんなさいー!!」

その場で、ペラッペラになって、謝り始めた。





不破自動車の社内弁護士を努める最上冴菜。

法曹界で無敗クイーンといえば、彼女を指す、それ程の凄腕で・・・仕事に明け暮れ、家庭を顧みなかった女性。キョーコは母親との思い出が殆どないと言う・・・月に数回、短い時間、話すだけ・・・でも、キョーコはそんな母親を心から尊敬しているし、弁護士を目指しているのも、母親の影響。でも、そんな母親が今更?なんで、よりよって誕生日?

「遅くなったけど、合格祝いかな?なんだろう?」

嬉しさを隠しきれない、という様子に、俺の胸がツキンと痛む。
滅多にない、いや、始めて「母親が誕生日を祝ってくれる」という状況に舞い上がってしまった彼女に、俺は「俺との約束は気にしないで」と、言うしかなかったけれど・・・

(俺にとって、キョーコは誰より一番大事な人・・・でも、彼女にとっては母親の方が大事?)

「ごめんね?この埋め合わせはちゃんとするから!そ、そうだ、蓮の誕生日にネズミーシーに行こうよ!って、あれ?私が行きたいところに蓮の誕生日に行くって、全然駄目だよね!」

両手を合わせて俺に頭を下げなががらも、テンションは高い。それを見て、俺のテンションは下がる一方で・・・。でも、埋め合わせはできるんだ。もし、キョーコが母親の「御誘い」を断ったら、彼女に次のチャンスは多分ないから、ここはどっちが大事とか、比べる所じゃ無いんだ、と自分に言い聞かせる。

「そうだ、どこか行きたい所とか、したい事、とかある?何でもリクエストして!!」

(また、そんな不用意な発言を・・・そりゃ、色々したい事はありますが・・・君を泣かせたくないんです)

「キョーコが笑顔になれる所ところなら何処でも?」
「ま、ま、また///、そんな、イタリア浮気男的発言を!」
「本当なのに・・・俺が誠実で彼女一筋な男だって、忘れちゃってるの?」
「いえ、そうゆう訳じゃ・・・」

「そうだなぁ、じゃぁ、キョーコが俺の誕生日をプロデュースして?」
「お、お任せて下さい!最高の誕生日をお約束します!!」

「あと、初詣は一緒に行こうね?」
「了解です!!」

折角のイベントが流れてしまったけれど、仕方ない・・・来年のクリスマス、彼女が20歳、大人になる誕生日には・・・一緒にお酒を飲みたいな・・・そんな事をつらつらと考えていたら、少し気分が良くなって、それから、いつものように水曜日の夜を楽しく過ごす事ができた。






まだ、ラブラブかな・・・。

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プロフィール

Agren

Author:Agren
本家のストーリの進行のじれったさに、素敵な2次小説サイトを巡って熱を冷ましていましたが・・・とうとうを自分自身で妄想を開始しました。
2次は愚か、小説初挑戦です!



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