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料理が得意な彼女(15)

SIDE REN

社長の計らいで、最上さんと俺の部屋はコネクティングルームとして使える隣同士の部屋が用意されていた。間を仕切るドアのカギは、事前にセバスチャンさんから渡されていた。

本当は、今日中に沖縄入りできるかどうか微妙だったスケジュール。でも、今回の撮影のコンセプトが変更されるかもしれないと連絡が入り、そして新企画の内容が明確になるにつれ・・・社さんが失礼な危機感を募らせて必死になって調整し始めた。

(飢えた蓮とキョーコちゃんがこんなことしたら・・・蓮の理性がプチっと切れて、公衆の面前であわわわわ・・・・お願いだ蓮!スケジュールは何とかするから、前日にキョーコちゃんを補充しておいてくれ!)

まったく、信用が無いな、と思いつつも、これから久しぶりに彼女に会えると思うと、緩む顔をどうしても締める事が出来ない。ホテルに着くと・・・なんだか、彼女の気配を感じて、体がザワザワしてしまう。部屋に着くと・・・彼女が隣の部屋のどこにいるか・・・分かる気がする。

社さんに以前、化け物め、と言われた事があったけど、キョーコに関してはそうなのかもしれない、いやそうありたい、と思う。彼女が(多分)バスルームで何やらしている間に、静かに2つの部屋の間の扉をあけ、死角に忍び込む。

本当にバスルームにいるし・・・と自分自身に少々呆れつつ。俺は夕飯前に、キョーコを補充することに成功した。

久しぶりに彼女と食事を食べ(スタッフもいたけどね)、俺の機嫌はこの上なく良い。
食後、監督からはバーで少し仕事の話をしようや?と誘われたので、俺とキョーコ、そして監督は少数の中心スタッフとともに向かった。

***

「噂は聞いていたけど・・・いやぁ、まさかコレ程とはね。」

市原監督がソファから身を乗り出してまじまじと俺を見つめ、ふふん、と笑った。

「ま、これで前回の企画はボツ。今回は新企画の方で行くからよろしく!」

「あの、新企画のお話、私は聞いていないのですが。敦賀さんはご存知なのですか?」

キョーコは困惑している。実は社長が手を回して、新企画の内容は彼女に伝えられていない。バレると京子が逃亡するかもしれない、と念には念が入れられていた。

「あれ?椹さんから聞いてないの?でも女優としても女性としても成長した最上さんなら大丈夫だよ。」

俺は惚けて答えた。

「申し訳ありません、初めて聞きました。」

と、頭を下げて申し訳なさそうにする君は、きっとプロとして恥じているんだと思う。ごめんね?

「まぁ、いいよ。前回のままで行くかどうか迷っていると伝えていた俺にも責任があるし。今から説明するから。
------今回の企画のテーマは恋人たちの休日。」

監督が続けて説明する。

「まずね、場面は夕方か夜でスタート。彼氏がデートの待合せ場所に颯爽と現れて彼女と濃厚なキス。次に場面は朝になって、彼女は彼氏が昨晩着ていたシャツだけを着た状態、彼氏は、上半身は裸でズボンだけ穿いている状態でベットでキスしているところからスタート。そこから、彼氏がベットから降りて、素肌にシャツを羽織ったところで、アールマンディのロゴがフェイドインしてCM終了。OK?」

「あ、あ、あ、あの、彼氏と彼女って・・・」

「蓮と君ね」

監督の言葉にキョーコが、ピシッ、パッキ、と音を立ててフリーズした。そんなキョーコを置いてけぼりにして、監督が続ける。

「だってさ、こんな風に『惚れた女を抱いてます』ってオーラを振りまいてる蓮に彼女が居ない役なんてさせられないだろう?まぁ、蓮なら前回と同じ内容でも上手く演じるとは思うけど、彼女がいる設定の方が断然いい絵が撮れるって。
------ということで、キョーコちゃんは蓮の彼女役で、蓮に色っぽい顔をさせるのが仕事ね?よろしく頼むよ!」

キョーコが変な汗を流している。なんだか本当に氷が溶けるみたいだな、と感心していると。突然立ち上がって、ぶわぁ~と滝の様に涙を流し、

「そんなの無理です~! は、破廉恥です~!」

と叫んだ。俺を除いた全員がその声量に驚愕している。さて、ここからが俺の罠の掛けどころ。

「最上さん、これはお仕事だからね?キスシーン、初めてじゃないだろう?」

「む、む、無理です~。だって、プライベートを・・・」

と言いながら、急に電池の切れたオモチャのように動かなくなった。監督が訝しげに、

「プライベートがどうしたって?」

と訊ねた瞬間、キョーコの目がキラリと光った。

「いえ、あまりにプライベートでは起こり得ない状況で、急にお話を頂いて・・・上手く演技ができる自信がなくて。」

上手く切り返す彼女に、女優としてスキルが上がったね、と感心する。でもこれは俺へのチャンス。

「じゃぁこうしよう。このロケ中、カメラが回っていなくても最上さんは俺の恋人のフリをする事。そうして練習すれば、本番も上手くやれるんじゃないか?」

ニッコリと微笑む。彼女はまたピキッと固まった。

「そんなに硬くならなくても大丈夫だよ。俺には愛しの彼女がいるって君も知っているだろう?ここに来る直前にも彼女をしっかり補充してきたからね。君を本当の彼女と間違えて襲ったりしないから。 」

そういって、彼女が似非紳士スマイルと呼ぶ笑顔を最大出力で張り付けた。言外に、断らないよね、とたっぷりと含ませて。

「うううぅ。」

「はい、沈黙は肯定。では監督、時間も無い事ですし、俺達はこれから恋人モードに入りますが不自然な所があったらどんどん指摘してくださいね。じゃぁ、引き続き打合せをお願いします。」

俺は彼女の腰に両手をまわして引き寄せ、ぴったりと体を寄せて頬に軽いキスを落とす。「ちょ、何するんですか!」と逃げようとする彼女を「キ・ョ・オ・コ?」とワザとらしく名前を呼ぶ事で制し、人前で腕の中に収める事に成功した。

まずは人前で恋人のように振舞うことに慣れさせないと・・・ね、キョーコ?

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プロフィール

Author:Agren
本家のストーリの進行のじれったさに、素敵な2次小説サイトを巡って熱を冷ましていましたが・・・とうとうを自分自身で妄想を開始しました。
2次は愚か、小説初挑戦です!



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