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LOVE PHANTOM(12)

SIDE REN

榛名山へのドライブは、あらゆる意味で驚きの連続で・・・衝撃的だった。

----もっと彼女に驚かされてみたい

自分でも、何だか妙な考えだ、とは思いつつ、

「最上さんが行きたい場所で、一人で運転して行くにはちょっと遠い場所があったら、いつでも俺に声を掛けて?」

と頼んでみる。すると、

「私、あまり関東の道に詳しくないので・・・逆にお勧めのルートを教えて欲しいです」

嬉しい返事。すかさず次のドライブに「箱根」を提案してみた。
その次の行き先は「日光」そして「相模湖」・・・そうして何度か一緒に出かける内に、彼女の走りが毎回進化しているのに気付いた。俺はそれを確かめたくて、もう一度、榛名山に行こうと誘ってみる。

「また、ですか?」
「うん」

他にも行きたいところがあるのになぁ・・・という顔をする最上さんに、

「今度は、俺のポルシェで行こうよ。同じ道を、別の車で走ってみるのも楽しくない?」
「それはいい考えですねっ!」

そうして、5回目のドライブは再び榛名山になった。

(やっぱり・・・)

免許を取った時からずっとスーぺリオに乗っている彼女にとって、慣れない左ハンドルのポルシェ。なのにライン取りが格段に良くなっている。

(凄いな・・・「これまであまり山道を走ってこなかった」とは言ってたけど・・・)

きっと、会社でも期待の新人なんだろう。俺はぼんやりと隣の凄腕ドライバーが会社でどんな評価を受けているのか想像してみた。

(皆、最初は彼女のルックスに騙されるんだ。でも、だんだん彼女の優秀さに気付いて・・・集中力もあるし、飲み込みも速い・・・それに何事にも一生懸命で、性格も素直だから・・・きっと皆から可愛がられているんだろうな・・・)

----ツキン

(!?)

なんだか良く分からない胸の辺りの痛みに、首をかしげていると、

「そろそろ、お腹空きませんか? って・・・愚問でしたよね?敦賀さんのお腹が空くのを待っていたら、私が倒れちゃいますから!問答無用で、お昼に付き合ってもらいますよ!」

彼女が、ウィンカーを出して駐車場に車を滑らせる。

「ここ・・・」
「ええ、前と同じ所です。あのお蕎麦、とーっても美味しかったのでまた来ちゃいました、別のところが良かったですか?」
「いいよ。俺はあまり拘りがないから・・・」
「あまり、じゃなくて、全然、ですよね?別に味に拘る必要はないですけど、もう少し食事に興味を持った方が・・・」

俺は、はいはい、と肩を竦めて見せる。彼女はこう見えても、しっかり者の「お姉さん」。だから「お小言」も仕方無い。
大人しく彼女に先導されて店に入り、以前と同じ、湖の見える窓際に座って一緒に蕎麦をすする。

そこで、この前に来た時には、彼女の運転に興奮してしまって・・・張り合ってしまったというか、少しムキになって知識自慢のような事をした・・・と、思い出してしまった。

(蘊蓄をひけらかす、煩い男と思われただろうか・・・)

なんだか妙に、居心地が悪い気分になってしまう。

「どうしました?」

最上さんに問いかけられ、

「あ、ごめん、ちょっと考え事を・・・」

(ん?)

「同じような会話・・・前もしたよね?」

無駄に優れている俺の記憶力。きょとん、としていた最上さんも、思い当たったみたいで、「そうでしたねぇ~」と返ってくる。

「あの時、結構長い間、ぼんやりしてたけど・・・何を考えてたの?」

特に気になっていた訳じゃ無かったけど、何となく聞いてみる。すると、彼女の口から、

「あの時、実は敦賀さんの事「天才なのかな?」って考えてたんですよ?あの時はまだ親しくなかったし、面と向かって人を褒めるのは恥ずかしくて・・・」

(天才・・・)

聞きたくない単語が飛び出してくる。昔・・・確かに、俺はそう呼ばれていた時期もあった。でも、それは忘れてしまいたい過去で・・・

(彼女の言葉に深い意味は無い。だから、俺の対応はいつも通りで良いんだ。何も気負う事はない!)

俺は一瞬動揺してしまった自分にそう言い聞かせ、

「何を突然・・・俺は凡人だよ?東都大に通っていて、こう言うと嫌味かもしれないけど、少し勉強が好きだっただけの普通の人?」

買い被り過ぎだね? と、おどけた表情を・・・上手くできていたと思う。なのに、

「敦賀さんは自覚が無いのかもしれませんけど・・・私、あれから観察してたんです。敦賀さんは間違い無く、神様から「天賦の才」を授けられた、いわば神の寵児ですよ?」

今度は、彼女にハッキリと断言されてしまう。

「敦賀さんを見ていて・・・私、自分の限界がどこにあるのか、少し分かったような気がするんです」
「そう・・・なんだ」

(俺を見て、限界を感じるなんて・・・なんて嫌な・・・)

「あ、それでも、行きますよ!」

明るい表情の彼女。それに比べて、俺は、今、どんな顔を今してるんだろう・・・?

「・・・行くって・・・どこに?」
「行けるとこまで、ですよ!限界っていうと聞こえが悪いですけど、要は「今」の自分が目指せるゴールってことですから、とりあえず、そこを目指して頑張るんです!」
「もし・・・必死に頑張っても、何の努力もしていない天才の足元に及ばなかったら・・・無駄な努力だと思わない?」
「天才に叶わないから、って努力を止めるなんて・・・それこそ人生の無駄使いです!私は私の為に前に進む、ただそれだけです!!」

『----レン!俺への義理立てなら止めろ!俺は、俺で自分の道を進む。お前が居ても居なくても、だ。もし、俺に悪いと思っているのなら、お前は、お前自身の為に、お前にしか出来ない事を全力でやって、俺に見せてみろ!』

過去に言われたセリフがフラッシュバックする。

「つ・る・が・さーん、また、どうしたんですか?」

最上さんに声を掛けられて、はっとする。

「・・・話し、少し・・・聞いてもらえる?」

俺は、どうしても誰かに・・・いや、彼女に自分の話を聞いて欲しくて。湖畔を散歩しようよ・・・と彼女を外へと誘った。


***

SIDE KYOKO

敦賀さんの様子が食事の途中から急におかしくなってしまった。

(天才・・・って、普通は言われたら喜ぶと思うんだけど・・・何か不味かった、みたい)

私は、深く考えず・・・敦賀さんを褒めたつもりだった。だって、すっごく記憶力が良いし、彼の頭の中に蓄積されてると思われる膨大なデータに基づく判断は的確だったし・・・。

(あの後「次世代86」の事、伯父さんと話したら・・・極秘の戦略がバレた!?ってビックリしてたもの・・・)

なのに・・・困った事になってる。怒ってる訳じゃなさそうなのに、敦賀さん・・・やけに辛そうな顔してるし・・・い、いたたまれないっ!今日も天気は素晴らしく・・・榛名湖は夏の光をキラキラと映していて眩しい位なのに!何故に私達の周りだけは冬の雪嵐が~~!!

(ここは1つ、土下座してお詫びを・・・!!)

「あの、俺・・・」
「はいっ!」

黙って隣を歩いていた敦賀さんが急に言葉を紡ぎ始める。

「実は15歳までアメリカに居たんだ。あっちで・・・大学を卒業してて・・・博士号も取得してる」
「ふえっ!?」

いきなり告白された驚きの内容に間抜けな相槌を打ってしまった。
15歳で既に博士号って・・・それって・・・敦賀さん、実はアメリカ一賢いde賞のチャンピオン!とかそうゆう状態なんですか!?頭いいなぁ、とは思ってたけど・・・そんなに凄かったなんて。

「でね、10歳で大学に入った時に・・・兄の様に俺の事を気に掛けてくれる人が居て・・・大学院生だったんだけど、俺はその人の事が大好きで・・・後を追うように同じ分野に進んで・・・結局、その人の研究をぶち壊してしまった・・・」

「へ?」

「俺は・・・彼・・・リックが、3年掛けてスパコンを使って数値的に解こうとしていた方程式を・・・解析的に解く方法を見つけてしまったんだ。それなら、紙と鉛筆があれば・・・3分で・・・解けてしまう・・・」

「・・・」

「リックの友人に・・・『お前はリックの3年間の努力を無駄にした!可愛がって貰ってたのに恩を仇で返した疫病神!リックは、お前にいつまた自分の研究を潰さるかって戦々恐々としてるんだよ!目障りだから、どっかに消えろよ!』って言われて・・・」

「そんな・・・酷い・・・」

それにしても、いきなり、どうしてこんな話の展開に・・・話す相手を間違ってやしませんか?こんな小娘相手じゃなくて、こうゆう事はもっと人生経験豊富な方に話した方が・・・

(あー!?私「一応」年上だったーー!!)

「俺は、もう、何だか色々と嫌になってね。何もする気が起きなくて・・・日本に逃げて来たんだ。日本で・・・高校に、そして大学に入り直して、適当な会社に就職して、適当に流しながら生きるのが良いかな、って。実際・・・それは、それなりに楽しかったし・・・」

何か、上手い事を言わなきゃいけない、と必死になって言葉を探すけれど、見つかるはずも無くて。

「リックは俺に 『俺は、俺で自分の道を進む。お前が居ても居なくても、だ。もし、俺に悪いと思っているのなら、お前は、お前自身の為に、お前にしか出来ない事を全力でやって、俺に見せてみろ!』って言ってくれたんだけど、信じていいのか分からなくて・・・

最上さん、ありがとう。俺、君から・・・リックと同じセリフを言われて、なんか吹っ切れた。これから真面目にやってみるよ。ホント、魔法にでも掛かったような不思議な気分なんだ・・・」

そう言って、うーん、と背伸びをした敦賀さんの表情が明るくて、思わず、

(じ、自己完結してくれて良かったよ~~~~!!)

私は、心の中で安堵の涙を流した。すると、さっきまで何と言ってよいのか分らずに・・・凍りついてしまっていた口元が滑り出す。

「魔法なんかじゃないですよ?既に・・敦賀さんの中で、何を信じたらいいのか答えが出てから、吹っ切れたんです・・・時が経って・・・自然と正しい方が残ったんです・・・」
「最上さん、ホント中身は大人なんだね?・・・見かけは子供みたいなのに」

敦賀さんが笑って軽口を叩くから、私は、ほっ、としてしまう。

「最後の一言が余計です・・・」

一時は、救いの無い話に、どうしよう!?かと思ったけれど、いつもの調子に戻ってくれて・・・自己完結してくれて、本当に良かった!あぁ、榛名湖の水の輝きがこんなにも美しいと感じるなんて!木々の緑も、なんて鮮やかなのかしら!

(魔法じゃないって敦賀さんには言ったけど、これは私達の再訪を歓迎する榛名の妖精さん達のリトル・マジック!?)

私は晴れやかな気分で、景色を眺めていたら、

「ねぇ、最上さん、もし良かったらなんだけど・・・」

同じように湖を眺めていた敦賀さんに声を掛けられる。

「今度から、キョーコ姐さん、って呼んでいい?」

(な、な、なんですかそれーーーー!!!)





蓮さん、なついちゃいました。キョーコ姐さん(笑)これが、書きたくて。

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プロフィール

Agren

Author:Agren
本家のストーリの進行のじれったさに、素敵な2次小説サイトを巡って熱を冷ましていましたが・・・とうとうを自分自身で妄想を開始しました。
2次は愚か、小説初挑戦です!



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