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LOVE PHANTOM(9)

SIDE KYOKO (今から7年前 before the first contact)

「はぁ~~~、やっと手に入れた~」

ずっと・・・欲しくて欲しくて堪らなかった四角いカード---『運転免許証』。

大学受験が終わり、私が真っ先にした事は免許を取ることだった。
実は・・・大きな声では言えないけれど・・・私の運転歴は既に5年に及ぶ。母がスーペリオを買ってくれた時、不破の伯母さんがニコニコしながら、

「せっかく車を買って貰ったんだから、キョーコちゃんが、ちゃ~んと乗ってあげないと!」

と、トンデモナイ事をのたまった。

「・・・はぃ?」

あの、私まだ中学生なんです、けど・・・。

「FUWAドライビングスクールに高校生コースってあったでしょ?あれ、特別に中学生も入学できるように、私、お願いしてみるわ~~!」

伯母さんは「超」が付くお嬢様だったこともあって、時々突拍子もない事を言い出す。

「伯母さん!?高校生コースは18歳にならないと卒業できないよ!」
(それ位、私だって知ってるよ!!)

「別に、免許は関係ないんだから卒業する必要なんて無いわよ~」

「・・・へっ?」

「運転の仕方だけ習って・・・慣れてきたら不破自動車のテストコースか不破サーキットを走れば良いのよ。あそこは公道じゃないから無免許でも大丈夫!さっ!そうと決まれば電話よ!電話!!」

「ええ!?ちょっと!?伯母さん~~!?」

こうゆうモードに入った不破の伯母さんを止めるのは中々難しい。母も「車は火を入れなきゃ駄目になるし、良いんじゃない?」とあっさり同意してしまい・・・私の意志とは関係なく、話は付けられてしまった。

そして2ヶ月後、私は立派な「ペーパー”レス”ドライバー」になってしまっていた。

(確かに違反じゃないけど・・・)

後ろめたい気持ちを抱きつつも、それでもスーペリオに乗ってしまう。多少嫌な事があっても、母からのプレゼントに乗って走り出せば、何だか誇らしい気持ちになって、気分がすーっとしたから。それに、不破の伯父さんも・・・ホントどうかしてると思うのだけど・・・

「いつも同じ所ばかり走っていたら飽きるだろう?かといってキョーコちゃんが運転できる場所は限られているから、せめて「走り方」で楽しめるようにならないとな!」

そう言って、色々な(殆ど余計な・・・)運転技術を教えてくれる先生を付けてくれたので、私は1年足らずで車を自在に操る楽しさに目覚めてしまっていた・・・。


***


(まさか、一般高速で直線ドリフトする破目になるなんて・・・)

ついさっきの事を振り返ると・・・今更ながらに動悸が激しくなる。今回はたまたま左脇が開いていたから、そこから「抜け出す」事ができた。でも、現実には八方塞がりの状況だってあるはず。「もし、逃げ道の無い状況に巻き込まれたら・・・?」そう思うと、何だか背筋が寒くなって・・・手が小刻みに震え始めてしまった。

(こんな状態じゃマズイ。ちょっと休もう・・・)

そうして車を路肩に停車させる。すると一気に眩暈を伴う脱力感に襲われた。

(あ・・・気分、わる・・・)

私がハンドルに身体を預けて休んでいると、

----コッコッ
「大丈夫ですか!?」

外から誰かが声を掛けている。

(少し・・・そっとしておいて欲しい・・・)

けれど、呼び掛ける声が妙に切羽詰まっていたので、とりあえず顔を上げ・・・ホントは、あまり大丈夫じゃ無いんだけど・・・窓を開け応答する。

「・・・大丈夫です」
「車、運転できそう?」

そう聞かれ、つい先日受けたばかりの「運転免許学科試験」で勉強した事を思い出す。

「あ、はい・・・そういえば、高速の路肩は・・・駐停車禁止でしたよね・・・ごめんなさい、今、動かします・・・」
「そうゆう意味じゃなくてっ!」

(・・・じゃぁ、どうゆう?)

と思って、次の言葉を待っていたら、

「あのさ、君、顔色悪いし、良く見ると手も震えているじゃないか。俺には、君が車の運転をできる状態とはとても思えない。車のナンバー、名古屋になってるけど・・・まさか、これから名古屋まで運転するつもり、とかじゃないよね?」

(あぁ、心配してくれてるんだ・・・)

「いぇ、名古屋は実家で・・・今は下北沢に住んでいます・・・」


***


「このスーぺリオ、君の?」
「あ、はい・・・」
「・・・すごいね。色も凝ってるけど、中身にもお金掛けてるし・・・足廻りもいじってる?」
「えぇ、スポーツカーの一番大事な性能はブレーキだと教えられまして・・・」
「それは俺も同感だな」

当たり障りの無い会話を交わしながら、

(軽率だったかな・・・)

と思う。小さい頃から、

『知らない人の車に乗っちゃいけません』

そう教えられてきたのに・・・今、私は知らない人が運転する車に乗ってしまっている。
ただ、少し「やっちゃいけません」と言われてきた事と違うのは、私が乗っているのは『知らない人が運転する、知らない人の車』ではなくて『知らない人が運転する自分のスーペリオ』だということ。ハンドルを握っているのは、さっき声を掛けてきた男の人。

(本当は少し休んだ後、ちゃんと自分で運転して帰るつもりだったのに・・・)

なのに、隣の運転手が言い出した、

「君は今日はもう運転をしない方がいい。代行を呼んでも良いけど、俺も下北に住んでるし。こんな機会に出くわしたのも、家が近所なのも何かの縁だから、送っていくよ」

その申し出に素直に従ってしまっていた。今思うと、ちゃんと運転代行業者を呼んだ方が良かったのかもしれない。でも私は、その時「事故もどき」のショックで上手く頭が働くなくて、それに・・・なんだか「冷たい」と感じていた東京の人が自分に親切にしてくれた事に、ほっ、としてしまって・・・

(なんとなく、流されちゃったのよね・・・)

それに・・・隣の彼に「ありがとうございます。よろしくお願いします」と頭を下げたら・・・携帯でどこかに電話を掛けて・・・直に、友人と名乗る人達が現場にやって来て・・・彼の車を乗って行ってしまった。

(気が付いたら、もう断れる状況じゃなかった・・・)

「そういえば車の運転・・・随分上手だけど、どれくらい乗ってるの?」
「5年位ですかね・・」
「えぇっ!?」

落ち着いた感じの運転代行人さんの声のが、くるっと裏返った。

「5年!?君、俺より年上なの!?」

(しまったっ!つい考え事をしてたから「本当の」運転歴を答えちゃった!!!!)

「はぁ~、なんか俺、驚かされっぱなしだよ。さっきのスゴイ運転といい、実は、運転手が女の子だった、ってだけで十分驚いているのに、まさか君が、年上だったなんで・・・でも、確かにそうだよな・・・免許取って、1、2年って感じの運転じゃぁなかったし・・・」

そこで、はた、と気付いたように、

「俺は敦賀蓮。蓮は「ハスの花」の蓮ね。東都大の4年生で・・・自動車部に所属してる。車の運転が趣味なんだ。さっき、来てくれたのは部の後輩達で・・・」

彼が、自己紹介を始めた。それを聞いて、

「東都大の4年生!?」 

(実は先輩!?)

と、今度は私が驚いてしまう。しかも、自動車部って、私が入りたいと思っていた所だ・・・でも私のその驚きを、敦賀さんと名乗る人は別の意味に受け取ったみたいで、

「・・・俺もよく、見た目と実年齢が違う、って言われるよ。老けてるって」
「あのっ、そんなつもりじゃ・・・!」
「別に良いって。君は・・・きっと、いつまでも高校生に間違われるタイプだろう?」

そういって、クスクスと笑っている。本当は、私は大学に入学したばかりで・・・先月まで高校生だったから、高校生みたいに見えても仕方が無いんだけど・・・なんだか、ちょっと、悔しい。

「ごめんごめん、拗ねないで。可愛いって言ってるんだよ?」
「かわっ!」
「ねぇ、君の名前、教えてもらってもいいかな?」

(名前!? なんかこの人、遊び人っぽいけど・・・一応、親切にしてもらってるんだし、名前くらい名乗らなきゃ失礼・・・かな・・・)

「最上キョーコ・・・です」
「最上さんは、社会人なのかな?」

(うぅ・・・本当は貴方の大学の後輩です、と答えるべきなんだろうけど、運転歴を訂正するの・・・どうしよう・・・)

そうやって、私が迷っている内に、言葉になったのは、

「・・・まぁ」

肯定色の強い、曖昧な返事。でも肯定には変わりなくて、

「そうか~、どんな仕事してるの?」

(うぇーん、なんて答えればいいのー!!)

「自動車関連です・・・」

精一杯、私は誤魔化したつもりなのに、

「へぇ、自動車関係でスーぺリオなら、不破自動車とか?」
「えっと、まぁ、不破の・・・関連会社です」

(あー!どーしよー!!!嘘の上塗りーーーーー!!!)

嘘は駄目よ!嘘吐きは泥棒の始まりよっ!と、心は焦るのに、結局、

----私は、敦賀さんより1つ年上で、不破自動車の関連会社に努めるOL(超童顔)

そうゆう、人物像に・・・なってしまっていた。





あらあら、ですね・・・。

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プロフィール

Agren

Author:Agren
本家のストーリの進行のじれったさに、素敵な2次小説サイトを巡って熱を冷ましていましたが・・・とうとうを自分自身で妄想を開始しました。
2次は愚か、小説初挑戦です!



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