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サクラドロップス

本編の終わり部分、誤字を直しがてら、少し表現を修正しました。

LOVE PHANTOM という黒蓮さん@パラレルを書いてギャーとなったので、一発、気分転換に本誌設定の季節物を・・・。タイトルはウタダさんの曲から



<サクラドロップス>

「はぁ~、綺麗~~~」

輝くその瞳は、いつもより少し遅めに満開を迎えた桜を見つめていた。

「セツカ・・・桜、好きだったんだ・・・?」

そう問うた「春の陽射し」と称えられる日本屈指の美男子は、現在その見る影もない。俺は花より酒だ、そんな雰囲気で気だるそうに座っている。本当は、その妹も同質の雰囲気を纏わなければならないはずなのに、満開の桜を前に「素」の姿---平時なら「桜の妖精」と戯れる妄想に浸っているであろう少女の姿が見え隠れしている。

「もちろんよ!「桜」は日本人のIdentityでしょ?」
「お前はイギリス人、だろう?」
「でも、日系だもんっ!!」

ぷぅぅぅ、と頬を膨らませる様子は、いかにもアウトローな装いとは正反対で可愛らしくて・・・。

「葉の無い木に、花が咲いてるだけじゃないか・・・」
「本当にそれだけしか思わないの!?」

まったく、兄さんはジョーチョが足りなさすぎるわ、と妹はぶーぶー文句を垂れている。
ヒール兄妹としてホテル住まいをしている蓮とキョーコは、いつもの様にタクシーに乗り、都内の撮影スタジオに向かっていた。そしてその途中、街路樹の桜が作るアーチの下で信号待ちをしている。

「お客さん、外国の方なんですか?」

タクシーの運転手が声を掛けてくる。見た目は恐ろし気ではあるが、会話の様子から、普通に会話ができる人種だと思われたらしい。

「あ、えぇ、日系なんですけど・・・」
「じゃぁ、いい時期に日本に来られましたね。都内はどこもかしこも桜が綺麗ですよ。お客さんが泊っているホテルのすぐ近くにも穴場があって・・・」
「ホントですか!?」
「ええ、それは見事で・・・」
「・・・」

そんな会話を交わす妹とタクシー運転手を、兄は興味が無さそう見ていた。


***


「う、わぁ~!見て!カイン兄さん!! 凄い凄い!!」

仕事が終わり、黒ずくめの兄妹は、今朝タクシー運転手に紹介された「穴場」に来ていた。
ホテルから歩いて数分の見落としそうな程小さな公園。そこに1本の大きな桜が咲き誇っている。一応、ライトアップらしきものがされていたが、見物客の姿はヒール兄妹以外に無い。

「ね!ね!来て良かったでしょう!?」

本当は面倒くさがる兄に対し、妹は「いいもん!じゃぁ、1人で行ってくるから!!」と駄々をこね「独りでは行かせられない・・・」と、出不精人間を引っ張り出していた。

「きっ、れ~。見ているだけで幸せな気分になりますね~~~」

一日の仕事を終え、ホッとしたのか、いつの間にか、キョーコからセツカの演技が抜け素に戻っている。セツカの姿をしているのに、セツカの演技を解くだけで・・・さっきまで目の前に居た妹・セツカが、カツラを被った最上キョーコに戻る。そんなキョーコの演技に、蓮は感心するしかなかった。

(甘えてくるセツカも良いんだけど、たまには素の最上さんにも会いたいし・・・)

最近、ずっとセツカにしか会っていなかった蓮は、キョーコに合わせて口調を直す。

「そうだね。幸せになれるね。ずっと、このまま見ていたい・・・」

(君の事を・・・)

最後のフレーズは、蓮の心の中でだけ響く音。

「あれ!?実は敦賀さんも好きなんですか?」
「うん・・・でも、カインの柄じゃないから・・・でも、好きだよ、凄く」
「あぁ、あれやっぱり演技だったんですね?日本人なら誰だって桜が好きですよね!」

小さな公園に木を1本だけ植えるなら桜。私でもそうするだろうな、とキョーコは桜を見上げながら考えていた。すると、

「綺麗で・・・一生懸命咲いている所とか・・・本当に好きなんだ」

蓮の声にふとキョーコが振りかえると、そこには柔らかな神々スマイルを浮かべる蓮の姿。あの日、キョーコの心の鍵を一気に吹き飛ばしてしまったものと同じ・・・。

(痛い・・・)

ズキズキと止まらない・・・胸の痛みに、キョーコは蓮に気付かれないよう、不自然にならないよう、そっと胸に手を当てる。

(どうして、また同じようパンチをくらっちゃうのかな・・・・)

蓮の視線に、表情に、「2度と恋などしない」というキョーコの誓いが脆く突き崩されてしまう。その度に、何度も自分を立て直して鍵を掛けなおすけれど・・・こんな苦しい、無駄な抵抗をいつまで続けなければならないのか・・・。

しばし返す言葉を失ってしまったキョーコは、急に「今、黙ってしまっては駄目・・・」そんな根拠の無い危険の様なものを感じ、なんとか会話を続けた。

「わたし、はっ」

上擦ってしまう声。

「私はっ、桜の散り際が好きです。潔くて!」
「そうゆう風に言う人も多いね」
「潔く散るものは美しいんですっ!」

キョーコは、同じような意味の言葉の繰り返し会話を繋いでいく。

「なんだか、諦めの悪い最上さんが言うと、変な感じがするけど・・・」

くすくすと笑いながら、でも俺も・・・桜が散る姿は綺麗だと思うよ、と蓮が言う。桜の方を見やる蓮は、一枚の絵のようで・・・その時、僅かな風が吹いて桜の枝先から花びらが数枚・・・蓮に向かって舞落ちる。

(まるで桜が、敦賀さんに触れたくて手を伸ばしているみたい・・・)

こんな事を考えるなんて・・・ああ、もう駄目なんだ、とキョーコは思う。それならばいっそ・・・

「確かに、私は諦めが悪かったかもしれません。でも、桜を見ていたら吹っ切れましたっ。私も桜と一緒に潔く散ります!!」
「急に・・・どうした?」

不自然に蓮から視線を外し、口調をまるで言葉を吐き出すかのように変えたキョーコに、蓮が訝しげに問うてくる。キョーコは、自分をこんな風に変えてしまった蓮に・・・ほんの少しの恨みを込めて答えた。

「どうしたも、こうしたも、ありませんっ!!私、恋をしてしまいました!
でも、そんな自分を認めたくなくてっ、往生際悪くもがいてました!!私っ、潔く自分の気持ちを認めて、潔くフラれます!!潔く散るものは美しいんです!!」

蓮は、キョーコの突然の「宣言」に唖然とするしかなかった。

(君が・・・恋・・・を?)

「私っ、貴方が好きですっ。ごめんなさいっ、私、今夜はだるま屋に帰りますっ おやすみなさい!」

一気にそれだけ言うと、キョーコは猛然と公園を飛び出していく。

(!? 今まで・・・際どい接触にも、顔色1つ変えてくれなかった君が、俺に、恋?)

「信じられない・・・」

そう呟いて、その場に立ちつくしていた蓮の目の前で、

----ざざ

一陣の風によって、花吹雪が吹いた。

(散らないでくれっ!)

蓮は咄嗟に桜に願う。そして、舞い落ちる花びらを見つめながらもう一度、

(俺への気持ちを、勝手に散らさないでくれ!)

飛び出して行ってしまった、少女に願う。そうして、全てを悟ったかのような表情をみせた黒づくめの男は、キョーコの走っていた方向に走り出していった。

FIN.




この続きは、一呼吸置いてから、「続きを読む」へどーぞ。


「な、な、何ですかコレ~~!?」
狼狽するキョーコに、
「桜?」
しれっと蓮は答える。キョーコの身体には、いたる所に花びらの形に似てなくもない朱色が散らばっていて・・・。
昨晩、首尾よくキョーコを捕まえた蓮は、そのまま、ホテルにキョーコを連れて帰り、自分のベットに引きずり込んでいた。
「君には、ずっと咲いていてほしいから・・・ね?」
それが消える前に、また咲かせてあげるから。朝早くから、夜の帝王を降臨させる蓮にキョーコは、ぎゃぁぁ、と色気が無い、どころではない叫び声を上げて反抗する。
「これが桜なわけないじゃないですか~!!変態~~!!!」
「失礼だな・・・君は」
蓮はキョーコを再び組み敷いて、離して~!と叫ぶ声を無視し、胸元に吸いつき始める。
「1・・・2・・・3・・・4・・・5・・・これで良し」
残されたのは、桜の花の様に、同心円状に綺麗に並べられたキスマーク。
「ほら、桜みたいでしょ?」
こんどから、これを残す事にしよう・・・そう嬉しそうに呟く蓮に向かって、キョーコは胸元を押さえプルプルと震えながら、
「イヤぁ~~~破廉恥~~~~~!」
と絶叫した、とさ。


キョコさん、散らされちゃった。

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プロフィール

Author:Agren
本家のストーリの進行のじれったさに、素敵な2次小説サイトを巡って熱を冷ましていましたが・・・とうとうを自分自身で妄想を開始しました。
2次は愚か、小説初挑戦です!



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