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LOVE PHANTOM(3)

SIDE KYOKO

不破自動車本社に用事があった日には、ショーちゃんの実家に寄ることにしている。

不破の伯父さんや伯母さんは私の事をとても気にかけてくれていて・・・母が亡くなってからは特にそうだったから・・・名古屋に来た時くらいは、二人に元気な顔を見せなくちゃ、と私は思っていた。

普段は寮に住んでいるショーちゃんも、私が不破家に寄る時には戻ってくる。
久しぶりに4人で食べる夕飯はいつも楽しい雰囲気に包まれていて。本当は伯父さんに早くR-Flow話をしなくちゃならないと思うけれど、私はその雰囲気を壊したくなくて・・・ずるずると言い出せないでいた。

少し後ろめたい気持ちを抱えながら・・・食事中にぼんやり昼間の会議の事を思い出していたら、いつの間にか話題は、私がFF-86を予約した事になっていて・・・

「キョーコちゃん!?スーぺリオはどうするの!?まだ乗れるのに・・・あれは、お母さんが買ってくれたものでしょう?」

少し非難の色を含んだ伯母さんの声に、はっ、と我に返る。

「もちろん、スーぺリオは大事に乗り続けます!」

私は、母からの『ご褒美』を手放す気が全くない事を告げる。

----完璧主義者だった私の母。

母は自身の事だけでなく、私にもそう期待していて。特に勉強に関しては厳しかった。私は母の期待に応えたくて、褒めて貰いたくて、必死に勉強して・・・そうして私が初めてオール100点を取った時、母は「お祝いよ」と、まだ中学生だった私に対して「スーペリオ」を買ってくれたのだ。

(確かに、私はあの頃から車が好きだったし・・・スーペリオは生産打切りが決まっていたから、あのタイミングじゃなくちゃ新車は買えなかったけど・・・今考えても、凄いわ・・・)

「じゃぁ・・・」

伯母さんの声に、

「そうなんだよ、コイツ、2台持ちなんだよ・・・」

ショーちゃんが首をすくめ「呆れた」のジェスチャーをしている。

「大いに結構じゃないか!それで、グレードとカラーはどうしたんだい?」

伯父さんが尋ねてくる。

「スポーツタイプの・・・ピンクにしました」

「うぇぇ、またピンクかよ」

スポーツカーにピンクは邪道だろ?とブツブツ言っているショーちゃんを諭すように、伯父さんが話し始める。

「松太郎・・・不破がFF-86のターゲットとしている「若者」は男ばかりじゃない。女性向きのカラーだって必要だろう?
それにキョーコちゃんのスーペリオ・・・冴菜さんがどうしてもピンクに塗ってくれと言うから仕方なくやってみたら・・・悪くなかったからね」

スーぺリオが納車された日、母が 

『あなたの亡くなったお父さんは「女の子=ピンク」という妙な?思い入れがあったのよ』

と教えてくれた。だから伯父さんに頼んで、日本に一台しかないピンクのスーペリオ by 不破自動車 を作って貰ったのだ、と。

(その時に始めて母が私に買ってくれる物に妙にピンクが多かった、って気付いたんだっけ・・・)

ただ、ピンクと言っても少し茶色がかった落ち着いた色なので、そんなに違和感はない。

「なんだか、自分がピンク以外の車に乗るって想像がつかないんです。免許を取った頃にはジロジロ見られて、気恥ずかしかったのに・・・慣れって怖いですよねー」

「そうゆうもんか~?」

そんな他愛もない話をしながら夕飯は和やかに終わり・・・寮に帰るショーちゃんを玄関で見送ってから・・・私は伯父さんに「仕事の話があります」と切り出した。


***


「・・・分った。私が明日、朝一でSTARK社に詫びを入れに行こう!」
  
最初は静かに聞いていた不破の伯父さんの表情が次第に険しくなって・・・私の話が終わるや否や、そう宣言する。

「え!?」

(私、話を飛ばしてないよね!?)

「詳細は明日はトミタさんがが報告するって・・・きっとその時に対策も提案されると思いますが・・・」

私の言葉に、不破の伯父さんが静かに首を横に振った。

「相手の要求が無いと言う事は、恐らくこちらの出方を伺っているんだろう。今回の件、ウチに非があるのは明らかだ。相手の腹を探る暇があるなら・・・私が頭を下げに出向くのが誠意というものじゃないか?」

正論に返す言葉が無い。不意に、かつて『彼』が私に言った言葉が思い出される。

『----俺は、一度でも心から非を認めた人間に、それ以上怒る必要なんてないと思うよ』

『彼』はそうゆう人だった。もし、変わっていなければ・・・不破社長の誠意は『彼』に通じるはず・・・。

「その通りだと思います・・・」

「相手の事を調べる猶予が欲しくないと言えば嘘になるが、内容証明が届いたのはいつだった?」

「先週の水曜日と聞いています」

「やはり早ければ早い方が良い・・・」

----『彼』の事を教えなければ、と思う。

「そんなに深刻な顔をするな。行き当たりばったりでも・・・それほど間違った対応をしない程度には場数を踏んできたつもりだ」

私が暗い顔をしているのは、別れ際の彼の言葉を思い出してしまっていたからで・・・でも、そんな個人的な感情はこの際、どうでもいい。私は父親の様な愛情を注いでくれる伯父さんの力になりたい。

「STARK社の社長は・・・年は29歳。東都大学大学院で応用数理を専攻していて・・・物理現象の数理モデルの構築が専門でした・・・会社設立の経緯は分かりませんが、多分・・・STARK社のソフトは殆どが社長自らが作っていると思います」

「キョーコちゃん?」
伯父さんが驚いているけれど、無視して『彼』の説明を続けた。

「全国トップの学生が集まる東都大の中でも、天才と評判になるほど頭が良くて・・・それに加えて容姿と人望にも恵まれていて・・・ちょっとした有名人でした。趣味は車の運転で・・・愛車はポルシェのカルマンでしたが、不破自動車のスーペリオも傑作車だって・・・不破がスポーツカーを作るのを止めたのは残念な事だって、また作って欲しい、って言ってました。だから、きっとFF-86の発売を遅らせるような意地の悪い対応はしないと思います・・・」

「詳しいね・・・君も東都大だったけれど、学部も学年も違うのに・・・」

真直ぐに投げかけてくる伯父さんの目線を僅かに流しながら続ける。

「実は、STARK社の社長の敦賀さんは私が所属していた自動車部のOBだったんです。私が入部した頃には既に院生だったので、本当に時々しか部活動には来られませんでしたけど・・・」

(・・・昔付き合っていた事も、言うべきなのかな・・・)

私が迷っていると、

「そうだったのか・・・ありがとうキョーコちゃん。社長が理系・・・ロジカルな思考が出来て、しかも車好きだと言う事が分かったのは大きな収穫だ。ちなみに・・・君は、彼が何を考えて手紙を送ってきたのか・・・予想できるかい?」

「・・・分かりません」

本当に・・・分からない。彼と別れて5年・・・それ以来、一度も連絡を取っていない・・・今の彼が何を思っているかなんて・・・見当が付かなかった・・・。




まだ、せっせと設定の説明をしている段階です・・・。

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プロフィール

Agren

Author:Agren
本家のストーリの進行のじれったさに、素敵な2次小説サイトを巡って熱を冷ましていましたが・・・とうとうを自分自身で妄想を開始しました。
2次は愚か、小説初挑戦です!



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