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後悔先に立たず(10)

とりあえず・・・出来た分だけ

SIDE REN(KUON)

『敦賀蓮』の時、最上さんと俺の関係は何年たっても先輩・後輩のままだったのに、『クオン』になったらあっという間に結婚の話まで行き着いてしまった。

(でも・・・恋人までの距離がまた遠くなった気がするのは気のせい・・・か?)

最上さんはクオンとの結婚を快諾してくれたけれど、理由が理由なだけに嬉しくない。でも、恋をしたくないから結婚します!というとんでもない事を言い出した彼女を他の男に行かせないようにする確実な方法が思い付かなかった。

思わず溜息が漏れてしまう。

「あらクオン?、朝から元気が無いのね?可愛いキョーコがいて、緊張しているのかしら?」
「だよなぁ。少し会わないうちに、キョーコは随分綺麗になったし」

俺の沈んだ気持ちとは裏腹に、両親は明るい。

「/// 何をおっしゃってるんですか!ジュリエナさんも先生も・・・」
「キョーコ、私はお前の「とうさん」だろう?いつ、私とお前の親子の縁は切れてしまったんだ?」
「そうよ!ここに居る時には私の事も「かあさん」って呼んでくれなきゃ嫌よ!」
「・・・あの、先程も申し上げた通り、本物の息子さんがいる前でそれはちょっと・・・」

最上さんのヒズリ家・滞在2日目の朝。
この朝食の席で、父さんは最上さんと久しぶりの再会。母さんに至っては初顔合わせを果たしていた。ハリウッドスター×2は「キョーコの滞在中にオフを取るぞ/取るわ!」と決意していたけれど、結局それは、最上さんの滞在初日の深夜まで仕事がみっちり、という状況を作っていて、昨日は会えずじまい。そのせいか、朝だというのに俺の両親のテンションが妙に高い。

「ならいっそ、クオンと結婚して、本当の「娘」になってくれたら良いのに~。そうしたら「かあさん」って呼んで貰えるわよね?」
「そうだよなぁ~、私も常々娘がいたら良いと思っていたし・・・」

「「キョーコ・ヒズリって良い響きだな/ね・・・」」

2人の声が同時に響く。相変わらず・・・仲が良いというか。最上さんは、(どうしてこんな!?)と、俺の方を見つつ、目が泳いでしまっている。俺は肩を竦めて、(何も言っていないよ?)と彼女に合図する。

「・・・キョーコが困ってますよ?」

暴走気味の両親に、ゆるく釘を刺す。既に、最上さんと俺の間で「婚約」が成立している事は、まだ秘密。彼女とは、

『俺達は、君がヒズリ家に滞在した時に運命的な再会を果たし、それをきっかけに付き合いだして、電撃結婚する』

という流れにしようと話し合っていた。だから、それなりにこの滞在期間中に仲良くなった事をアピールする必要はあったのだけれども・・・両親は、俺の長い片思いを知っているせいか、彼らなりに気を使っているというか、お節介と言うか・・・さっきから妙な熱烈歓迎ムードだ。

両親には、久遠の仕事が軌道に乗るまで、「敦賀蓮」=「クオンヒズリ」である事は最低限必要な人間にだけしか明かさない。 最上さんにも・・・いずれ言うつもりだけれど、今回の滞在中はまだ秘密、と前もって告げていたのにも関わらず。

「あの、私とクオンさんがどうの、というのは、ジョークにしても、どうかなとか思うのですが・・・」
「どうの、がどうかなとは?どうゆう意味だ?キョーコ」

「えっと、結婚とか・・・唐突過ぎて・・・クオンさんも困っていますし・・・?」
「キョーコはクオンじゃ不満かしら?」

「いえ、クオンさんのほうが、私ごときじゃ・・・ご不満かと・・・」
「「それはないから!!」」

「は・・・そですか・・・それは、何よりな事でゴザイマス」

最上さんが、両親の迫力に他人事のような反応をしつつ、俺に縋るような眼差しを向けている。でも、この二人はある意味確信犯だから、俺がどうこう出来るはずもないし、どうこうする気も無い。だから流れに乗って、

「俺は京都の河原で会ったときからキョーコ忘れた事はなかったよ?・・・日本の女の子と言えばずっと君の事だった」

両親にも告げていなかった過去の思い出話---京都の河原での出会い---を披露した。それを聞いた2人は、

「「まさにクオンの運命の相手!!!」」

と感激してしまい、3日間の最上さんの滞在中、熱烈歓迎ムードはエスカレートするばかりだった・・・。


***


最上さんを空港に見送った後、社長に国際電話を掛けて、簡単に今回の事を報告する。
きっと、彼女は日本に帰ったら、椹さんなり社長になり、近々俺と結婚するという話を持っていくはずだから。

『最上さんが愛の無い結婚すると言い出したから、クオンヒズリが相手として名乗りを上げて快諾を貰いました』と。

「まったくラブミー部員は何を考えているのやら・・・」

社長の溜息が聞こえる。

「俺だって知りたいですよ・・・」
「で、これからどうするんだ?そのまま結婚しちまうか?」

「そんな・・・出来る訳ないじゃないですか。とりあえず他の男と結婚させないための苦肉の策ですよ」
「しかし・・・敦賀蓮が駄目なら、久遠ヒズリか・・・必死だな」

電話越しに、社長が、ふふん、と鼻で笑った声が聞こえる。

「それにしても、お前がここまで、形振り構わない恋をするとはなぁ・・・本気の相手には、フラれたって簡単に諦められない、って事これで身に染みただろう?」

今は・・・きっと、ニヤニヤと嫌な顔で笑っているに違いない。なんとなく、それが気に入らなくて、

「・・・俺はまだ一度も、最上さんにフラれてませんから」

と、反論する。すると、電話越しに社長が息を飲むのが分かった。

「るぇん・・・ちょっと待てや・・・」

悪の組織のラスボスのようなドスの効いた声が受話器から響く。

「お前・・・まさかと思うが、敦賀蓮の姿で最上君に一度もフラれた事がない、とか言わんよなぁ・・・」
「ない・・・ですが、それが・・・?」

「なんだとぉぉぉぉ!? この大馬鹿野郎!!!!!!!」

受話器から突然落ちてきた雷声に、耳がキーンとなる。

「俺はてっきり「敦賀蓮」が最上君に告白して玉砕したから仕方なく「クオン」を持ち出したのかと思ったのに!
自分の気持ちは言わないままで妙な策を弄するとはっ!
まずは敦賀蓮として最上君に正面から当たるのが筋だろう!
お前は、只の格好付けの・・・・ヘタレだっ!」

「俺は何度も告白しようとしましたよ!でも、その度に・・・」

「えぇい!言い訳なんぞするな!お前、フラれるのが怖いとか、自己保身に走って無かったと言えるのか!?本気で最上君を愛しているというのなら、まずはその熱い想いを持って、粉々に粉砕されるつもりで彼女にぶち当らんでどうする!!もし、最上君が俺の所に話を持って来るまでに、お前が告白しなかったら「クオン」=「蓮」だとバラしてやるっ!俺の目の黒いうちは認めんぞぉぉぉ!このチキン野郎!!」

「な!?一体何の権利があってそんな事・・・これは、俺と最上さんの個人的な問題で・・・」
「権利もくそもあるかっ!他人に堂々と言えない疾しい事に権利になんてモンは無いっ!!!」

愛は卑怯であってはならんのだーーー!!

----ガチャン。

電話が切れた。直に掛け直すけれど、社長秘書から取り継ぎ拒否を申し渡されてしまう。

(ちょっとまってくれ。今の状況で、「クオン」=「蓮」だとバレるのは・・・かなり不味い、だろ?)

社長なら、本気でバラしかねない・・・と思うと、嫌な汗が流れるのが分かる。でも・・・社長の言う事は正論だ。これまで俺は、彼女に気持ちを伝えてた事がないのに、勝手に嫉妬したり、社長いわく「妙な策」を弄したり・・・。彼女が突拍子も無い事を言い出したから、言えなかった、というのは確かに言い訳に過ぎない。

----あの不破ですら、ちゃんと彼女に気持ちを伝えたのに・・・。

「いつまでも進歩が無い奴だな」

思わず、一人呟いてしまった。




蓮様の危機は、相変わらず続くのです・・・。

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プロフィール

Agren

Author:Agren
本家のストーリの進行のじれったさに、素敵な2次小説サイトを巡って熱を冷ましていましたが・・・とうとうを自分自身で妄想を開始しました。
2次は愚か、小説初挑戦です!



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