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後悔先に立たず(9)

意地でも間に合わせると思ったのに、間に合わなかった・・・。敦賀蓮さん、お誕生日おめでとうございます。仲村先生、乙女(?)の 欲望 願望そのままのマンガをありがとうございます・・・

SIDE KYOKO

「ここから宇宙に旅立つの・・・」

私は、スペースシャトルの発射台を見上げて言葉をこぼした。


「はいカーット! これにて「SWING-BY」の撮影終了!」

その声にスタッフ全員から歓声が上がる。ドラマ「SWING-BY」の最後の撮影はアメリカ合衆国フロリダ州の宇宙センターで行われていた。

----最終回、ノリコは大学院を修了し、宇宙開発事業団に就職。ついに宇宙飛行士候補に選ばれる。

私は、シャトルの発射台を見上げたまま、ノリコがここまで来るまでの道のりを、まるで自分自身の物のように思い出していた。
子供の頃から宇宙に憧れて、ついにここまで来た。でもそれは・・・決して一人の力じゃない。小学生の頃、アニメを見て宇宙に憧れるノリコに、両親は子供の他愛ない夢だと本気にしなかったけれど、天体望遠鏡を買ってくれた・・・高校時代、唯一、物理の先生だけが私の夢を真剣に聞いてくれて、夢を叶えたいなら、T大理科一類に入学して本気を見せろと発破をかけてくれた・・・大学に入って航空宇宙工学を専攻してからは、指導教官、そして同じ「宇宙」に夢を抱く同級生に勇気づけられた・・・。

ドラマのタイトルになっている「SWING-BY」、元々は宇宙船が惑星の重力を利用して「運動エネルギー」を分けてもらい飛行方向と速度を変更する技術を指す。「私」も周りからちょっとづつ「夢を叶えるエネルギー」を分けて貰って、見事に宇宙飛行士というゴールに到達した。

発射台を見上げていると、胸がトクトクと高鳴るのを抑えられない。「私」はやっとここまで来て、ここから宇宙に飛び立つ・・・なんて幸せな気分・・・。



暫くして・・・完全にノリコとシンクロしていた最上キョーコが、周囲のざわめきと共に、次第に分離し始める。

(「私」も、こんな遠いところまで来れた・・・私の目標は・・・まだ遠くて手が届きそうにないけれど・・・いつかは敦賀さんと同じ高みまで・・・輝く星をこの手に・・・)

「京子ちゃん?終わったよ?」

監督さんに声を掛けられて、急速に我に返る。気がつくと、私は、無意識にドラマのオープニングと同じ、空に向かって手を広げるポーズを取っていた。

「す、すみません!なかなかノリコが抜けなくてっ!!」

「うんうん、君のノリコは色々と凄いから、そうだろうなぁ~とは思ったんだけど・・・もうカットを掛けてから10分もそのままだったからね?流石に・・・ね?」

(うわぁ、恥ずかしい・・・)

「いやぁ、正直、最初はこんな地味なストーリーのドラマどうよ?って思ったけど・・・君の好演のお陰で、すごく良いものになった。とても貴重な経験をさせてもらった、どうもありがとう」

監督さんにお礼を言われて気恥しくなってしまう。

「監督の演出が素晴らしかったんです・・・」

「SWING-BY」は、恋愛ドラマでもなければ派手なアクションもなく、陰謀も渦巻かない。ショッキングな出来事は何も起こらずに、割と淡々とノリコの時間が過ぎていく。しかし、平凡な女の子が宇宙飛行士になるという、一見、非現実的な夢を現実に起こり得るものとして丁寧に表現されていて・・・ドラマは視聴者の共感を呼び、ずっと20%台の視聴率を保っていた。

「これで、このドラマも終わりなのかと思うと・・・感慨深いというか・・・寂しいよ。きっと視聴者も同じ気分になってくれると思う」

「私も少し寂しいです・・・でも、ノリコの輝く人生はこれからですから!!」

私は役になりきるだけで、こんなにも幸せを感じることができた!私はその手ごたえに、女優として一段階段を上ったことを実感していた。役が終わるのは確かに寂しい。でも・・・それ以上に、次のお芝居のをするのが待ち遠しい。

(----きっと恋や愛の幸せも、お芝居の中で感じる事ができるわ・・・)


***


一夜明け、私はロサンゼルス空港に降り立ち、迎えの人を探していた。

これから、先生ことクー・ヒズリの家を訪ねる事になっている。前から「いつでも遊びにおいで」と誘われていて、今回のアメリカロケが決まった時、せっかくアメリカまで行くのだから!と、真っ先に連絡をして都合を聞いてみた。すると、

「やっと、遊びに来てくれるのか!ジュリと一緒に待ってるぞ!で、どれくらい居られるんだ!!」

先生は私がいる間に絶対にオフを取るから!と、張り切って下さって。この時には、純粋に先生のお家に遊びに行くのが目的だったのだけれども・・・今は、もう一つの、大きな目的が加わっていた。

(久遠さん・・・私の旦那様になるかも知れない人にこれから会うんだ・・・)

敦賀さんは久遠さんについて、

『彼とは今回の映画の撮影で初めて会ったんだけれど、年齢も一緒だし、背格好も良く似ていて、なんだか他人の気がしなくてね。それは彼も感じてくれていたみたいで、あっという間に意気投合したんだ。

それで親しくなるうちに・・・実は彼は女性に興味が持て無いんだって打ち明けられて。アメリカでは彼のような性癖は珍しくはないみたいなんだけど、でも胸を張れる事じゃなくて。特に、尊敬する両親に迷惑が掛かると思うと絶対にカミングアウトできないって、とても深く悩んでいた。

昔は無理して女の子と付き合ってたみたいなんだけど、すぐに我慢できなくて・・・長い間、誰とも付き合っていないみたいんなんだけど、そんな彼に、周囲は実は同性愛者なんじゃないかと疑いの目を向けてくるし、両親にもどこか体が悪いんじゃないかと心配されるし、いたたまれないって・・・』

私はそこまで聞いて、敦賀さんが何を言わんとしているか分ってきた。

『もしかして・・・?』

『もし君が、彼と結婚してあげたら・・・彼の同性愛者疑惑は晴れ、彼は「楽になれる」。君は父親のクーヒズリに気に入られている同業者で出会いは自然だ。君は・・・愛の無い契約結婚が望みなんだろう?』

『・・・』

『とりあえず、良い奴だから一度、話してみなよ。「SWING-BY」のロケの帰りにクーヒズリの家に行くんだろう?きっと、そこで彼に会えるから。君の事は俺から彼に話しておくから・・・本当に結婚するかは、それから考えればいい』


***


「・・・Miss Mogami ?」

一寸、思考の小部屋に籠っていたら、後ろから声を掛けられた。

「Yes! I'm Kyoko Mogami ! 」

慌てて振り返ると、長身で・・・敦賀さんとよく似たシルエットの男性が立っていた。敦賀さんが自分と同じ年で、背格好が良く似ているって言ってた。金髪碧眼で・・・敦賀さんよりも柔らかな印象がするけれど。きっとこれが久遠さんだ、と私は確信する。

「Nice to meet you, Mr. Hizuri! さ、Thank you very much for coming...」
「日本語、話せるよ?」

私の挨拶に流暢な日本語が返され驚いてしまう。

「子供の頃から父に日本語を習っていたからね?」

そう言って、久遠さんが笑顔で小首をかしげると、さら、と金の髪が流れる。

(すっ、ごく綺麗・・・な人)

先生が久遠さんの事を「生きた芸術品、その美しさはもはや人のそれではない」と称えるのは、大袈裟でもなんでもない、と実際に会った今なら分る。自分自身がこんなに綺麗だと・・・女の人には興味を持てない、と言うのも納得してしまう。

「どうしたの?もしかして、俺の顔を見て何か思い出してくれた?」

あまりに人間離れした綺麗なその容姿に私は見惚れてしまっていて、いえ、その、と慌てることしかできない。私が焦りまくっているのを、気にもせず、久遠さんが続ける。

「僕たちの挨拶は・・・本当はNice to meet youじゃなくて、Long time no seeだよね?久しぶり、キョーコちゃん」

そう言って笑う久遠さんの顔に、私が「久遠少年」のを演じる時にモデルにした「妖精コーン」の笑顔が重なった。

「・・・・・・コーン・・・」

「『ク・オ・ン』だよ?あの時、俺は自分の名前を日本語っぽく発音出来なくて『コ・オ・ン』と言ってしまったから、君は俺をトウモロコシみたいに呼んだけど」

「クオン・・・」

「君は俺があげた青い石を大事に持っていてくれてるんだって?蓮に君の事を聞いてから、君があのキョーコちゃんだと確信して、会えるのをずっと楽しみにしてたんだ!」

私は、あまりの予想外の人物との再会に・・・妖精国に来てしまったのかしら?と、しばし見当違いな事を考えていた。


***


SIDE REN(KUON)

ずっと妖精だと信じて疑わなかった「コーン」の出現に、最上さんがピタリと動かなくなってしまった。

(・・・まぁ、呼吸はしているみたいだし・・・)

左手で彼女のスーツケース、右手で彼女の手を引き、車に乗せて自宅まで連れて帰った。とりあえず、リビングに座らせて、コーヒーの準備をする。彼女と向い合せに座ってしばらく様子を伺うけれど、彼女はまだフリーズしたままで・・・我に返った時が見ものだな、とは思ったけど、ここまでショックを受ける・・・とはね。

「キョーコちゃん!」

俺は待ちきれなくて、彼女に自分を見て欲しくて声を掛けた。

「・・・・コーン・・・」

未だ、夢うつつ状態の彼女。

「だから、ク・オ・ン、だよ? ほら、これを見て?」

俺は、自分が10歳の頃の家族写真を見せる。

「これが俺。こっちが父親のクーヒズリ、これは母のジュリエナ」

最上さんが、しばらく写真を凝視して・・・俺の顔をみて・・・写真を凝視して・・・ぶわぁあと大粒の涙を流し始めた。

「コーン!!こんなに綺麗に、それに大きくなって!元気そうで良かったよ~~~~~~~!!」


***


俺は、泣きじゃくる最上さんを抱きしめて慰めながら、

『今までは、何をやっても父親の七光りと言われて潰れそうになったけれど、やっと自信を取り戻して再び映画に出演することになった』

と、これまでの事をかなり省略して話した。

「クオン、今、幸せ?」

まだ潤んだ瞳の最上さんに見上げられ、俺は思わず固まってしまう。

(クオン、とか、そんな顔で見つめられながら言われると理性が・・・)

「答えられないんだね・・・もし、私で良かったら、結婚するよ?あの時は、私ばっかり慰めてもらっちゃったけど、今度は私がクオンを助けてあげる!!」

最上さんに自分が敦賀蓮であること明かさないのは卑怯だと分ってる。

彼女が空っぽの自分に戻りたくないからと、恋愛を捨てるのは彼女の自由で、その手段が結婚なのも彼女の自由で、彼女が彼女を愛している男とは結婚したくないと思うのも彼女の自由。

俺がどんなに彼女の事を好きでも、それは彼女の自由意思を・・・行動を・・・変える理由に成り得ない事も分ってる。

----ならば、彼女の意思で選んで貰うしかないじゃないか!

俺は・・・他の男に君を取られるのを阻止するためなら、どんなに卑怯な手を使っても・・・後悔しない自信があるんだ。もう随分と昔から・・・君の為なら神にも背くと・・・誓ってしまった。

「・・・本当?凄く嬉しい。キョーコちゃん。どうか、キョーコ・ヒズリに、俺のお嫁さんになって下さい」




蓮さまの誕生日が終わるまであと・・・5時間。でも、アメリカは時差があるから!!!(意味不明)

追記)キョコさんがどんな気持ちで空を仰いでいるか・・・自覚しちゃえYO!

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プロフィール

Agren

Author:Agren
本家のストーリの進行のじれったさに、素敵な2次小説サイトを巡って熱を冷ましていましたが・・・とうとうを自分自身で妄想を開始しました。
2次は愚か、小説初挑戦です!



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