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蓮の翼(23)

SIDE KYOKO

「そうと決まれば、長逗留に向く宿を探さなくては、な!」

(やはり、食事の質と量が問題だ・・・)
難しい顔で前王様が呟いていたけれど、あそこは良かった!と連れられて着いた先は、

『高山茶房宮』・・・尚王の別荘だった。

***

前蓮王が尚国に対して多大な「貸し」がある事は知れ渡っていて、一枚の翼が黒味を帯びている五枚翼の人物といえば、誰もが間違えようもなく「前蓮王様」だと分かるのだそう。

茶房宮に着いた時こそ、警備の人達が

「ここは一般の民が来るところではないぞ!」

と、私達を威嚇していたけれど、前王様が翼を広げて見せると「突然の再訪」に最初は大仰天。
その後は、最上級の礼を尽くされ歓迎されることになった。蓮国や尚国の民は、『私』を巡って二国間の関係が悪化しているのを知らず、未だに友好関係が続いていると思っている・・・

(それにしても、翼ってまるで「印籠」みたい・・・)

始めてここを訪れたモー子さんと私の為、茶房長が各部屋を案内してくれる。見せられた部屋の一つには、壁一面に茶缶が並べられていた。

「こちらに、高雄近辺の茶園で取れた全ての特級茶葉が集められております。この中から、尚王様のお好みに合わせて、茶葉をブレンドさせて頂き、献上しております」

「はぁ・・・この部屋全体が・・・すごく良い香りですね」

「ありがとうございます。さて・・・もしよろしければ、茶席を設けましたので、お食事のご用意ができるまで、御ゆるりと過ごされては如何でしょうか?」

「茶菓子はあるか?」

「とりあえず、30人分程ご用意いたしました・・・」

「そうか・・・まぁ、それでいいか。奏江は要らないよな?キョーコは一人分でいいか?」

「「いいですよ」」

隣で、モー子さんが、呆れ顔をしている。茶房長は少し驚いた顔をしていたけれど、以前にも前王様は来た事があるといっていたから・・・きっと夕飯は、何とか「量」を用意するんだろうな、と思う。

***

そうして、私達は茶房宮の中の一番高い建物の最上階に作られた、屋根と四方の柱だけの・・・いわゆる東屋に通された。そこは見晴らしが良く、日が傾いて熱を失い始めた風が通り抜けていくと、とても気分が良い。

そこに、お茶と山盛りのお菓子が積まれた大皿が運び込まれてくる。

「本日は尚王様の御苑で取れたお茶をご用意させていただきました」

そのお茶は、殆ど無色透明なのに、とても強い香りがして、口に含むと、ふわっと甘い。そして最後に、ほんの少しだけの苦味。

「ふわぁぁ、凄いですね。さっきのお茶も良かったけど、これはまた別格。こんなに美味しいお茶は始めて飲みました~」

「それは、ようございました」

「ところで、ひとつ茶が多いようだが・・・私に「おかわり」は必要だが茶杯は一つで十分だぞ?」

くすくすと、前王様が悪戯っぽく笑っている。

でもそれは私も気になっていた事で。私達3人に対して、お茶の入った茶碗が4つ。最初は茶房長が同席されるのかと思ったのだけれど、そうではなくて、それはいつまでもそのままになっていた。

「いえ、あの、尚王様から、此処でお茶を出す時には、必ず一人分多く用意するよう申し付けられておりまして・・・」

「確か、前に来た時はそのような事は無かったと思うが・・・何か特別な理由でも?」

「実は・・・何故そうゆう事をされるのかと気になって伺いましたころ、『キョーコ』様用だとおっしゃって。本日は偶然にもキョーコ様がいらしておいでですが・・・」

「ちなみに、それを指示した前国王か?それとも現尚王か?」

「現国王様が、皇太子時代に始められた習慣でございます」

前王様が、お茶菓子を食べる手を止めて仰った。

----キョーコ、尚王をここに呼ぶぞ!


***

SIDE SHO

俺は「尚王」なんて継ぎたくねー。

国王なんて朝から晩まで仕事に追われて・・・結局のところ「卵と鳥」の運び屋だろ?名前の派手さの割に地味な仕事。俺はもっと派手な翼人生を送りたいつーの!

あー、誰かもう一人、五枚翼のガキを作ってくれーねーかなぁ。大体、俺だって、ホントは四枚翼だったはずなのにさぁ。俺の翼が四枚だったら、皇太子の位なんて別の奴に押し付けられるのによー。俺は皇太子って柄じゃないって。

----物心付いた時からそんな事を考えてる、俺は生意気で腐ったガキだった。

***

初めて親父に連れられて行った人間界。それはそれなりに刺激的だった。特に「時空を超える」という感覚は、かなりテンションが上がって病み付きになりそうで。

「皇太子、何か見ておきたいものはあるか?」

そう尚王に聞かれた時、ふと思い出したのは・・・俺を皇太子という立場にする、間接的な原因になった黒卵の事。

「黒卵の子ってやつを見ておきたい」

----再会は必然だった----

俺は引き寄せられるように、同じ年だという少女に近寄り、触れようと手を伸ばす。だけど、俺の手は虚しく空を切るばかりで・・・しかも、コイツの目には俺の姿すら映っていない、そうゆうものだと分かっていてもそれが酷く苦しい。

(あれぇ?なんだか、この辺に、ぼんやり翼が見えるような・・・)

その言葉に俺の翼がさわさわと反応する。さっきまで俺に気付きもしなかったのに・・・今は俺の方を見て、その大きな瞳と視線があった・・・と思ったら、その手を伸ばしてくる。

----触れる

そう思った瞬間、その手は俺の体をすり抜けて、すれ違う・・・けれど、それが俺の五枚目の翼に触れた瞬間、

「うわっ」

体中を駆け抜ける電撃の様な喜び。
(やっと見つけた、『私』の体!私を尚国に連れて帰りたい。あの夜に浮かぶ街が恋しい!あの茶畑の香る里に帰りたい!帰りたいっ!帰りたいっ!帰りたいっ・・・・)

頭の中に直接流れ込んでくる感情。俺の翼が本来の持ち主の体を見つけた喜びに狂喜し、それは、激流となって俺の全身を巡り、『やばい』と思った時には俺の気持ちと同化していた。

----コイツを尚国に連れて帰りたい

それからというもの、俺は自分でも可笑しい程、尚国に対する愛着が沸いてくる。
アイツ・・・キョーコが憧れる尚国を、美しい緑の国として俺が輝かせてやる。あいつが帰ってきた時に、その笑顔が輝くように・・・。

それなのに

「キョーコは蓮王のモノなのだから諦めろと」尚王が言う。慎重な親父は・・・俺がキョーコの姿を見れば気持ちが募るだろうと、蓮国に刃向うかもしれないと、それ以来、俺を人間界にすら連れて行かなくなった。だから、俺は「キョーコなんてもう興味ねぇ」という顔をし、密かにチャンスを伺っていた。

俺が17歳になり、王位継承が近づくと、尚王は再び俺を人間界に同伴するようになった。キョーコはいつの間にか、翼人が集まる芸能界に入っていて、俺が久しぶりにその姿を見た時には、

----蓮王の奴が「我が物顔」で張り付いていた

どうみても、嫌がるキョーコに付き纏っているようにしか見えない。俺が見ているのに気が付くと蓮王のヤツが眼光するどく睨みつけて来る。

(キョーコは絶対に渡さない。お前にも、そして誰にも。その為なら神だって背いてやる・・・)

翼人界では「神の寵児」という称号を欲しいままにしている蓮王の、狂気を孕んだような視線・・・

(コイツに捕まったら、二度とキョーコは尚国に帰れない!)

王位を引き継ぎ、基盤を固め・・・俺は僅かな望みを掻き集めて、チャンスを伺いキョーコに手を伸ばす。一度は届いた俺の両手。・・・・なのに、俺はキョーコを手離してしまった。

(元々、俺は国王様って柄じゃないし、もうどうでもいいや)

失意の内に暗闇の中を漂っていたけれど・・・俺を呼ぶような声が聞こえてくる。

----私は帰ってきたよ?だから、貴方も帰ってきて?





ぎゃほーん、長いよ!進まないよ!蓮王様どこいった!?次回は絶対に登場!!!

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プロフィール

Author:Agren
本家のストーリの進行のじれったさに、素敵な2次小説サイトを巡って熱を冷ましていましたが・・・とうとうを自分自身で妄想を開始しました。
2次は愚か、小説初挑戦です!



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