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蓮の翼(20)

2,3行、ちょこっと直しました。2010-1-15-21:27

SIDE REN

キョーコが積極的に蓮国に馴染もうと努力している姿をみると、ついつい顔が緩んでしまう。

彼女を妃に迎えた翌朝、キョーコは俺と蓮国に来てくれると約束してくれたけど・・・実際に来てみたら嫌になったとか、後悔していたらどうしようという不安もあった。けれど、キョーコは何事にも前向きで、その明るさに俺はほっとしている。それに俺だって・・・何もしていない訳じゃない。キョーコがずっと王宮に居たら退屈だろうと思って、昼間に時間を作って彼女を街に連れ出したりしている。

彼女には「護衛の者さえ連れていけばいつでも王宮の外に出ていい」と言ってあったけれど、実際には一度行ったきり。理由を聞いてみれば、

(あんな大名行列が通るみたいな外出・・・全然楽しくなかったです・・・)

彼女の後を付いて回る護衛の列や行く先々で民が平伏してしまうのが苦痛らしい。でも、尚王がまだ見つかっていない以上、身軽に外出されても困る。だから、俺が彼女の「お忍び外出」に付き合う事にしている。というか、俺自身が彼女と一緒に出かけたい。

「あの店に入ってもいいですか?」

「もちろん」

キョーコが布屋に入っていく。彼女は、こうやって出かけた時に、ささやかな「かわいい」物を買うのが楽しいらしい。以前、欲しいものがあれば商人を呼び寄せて、好きな物を好きなだけ買えば良いと言ったのだけれど、そうしたら

(私に贅沢をさせるつもりがあるなら、その分、橋国に送る物を増やしてください)

彼女は人間界にいた時も自分の事は後回しにし、周囲の人間のことをばかり気にしていた。

(とても優しいキョーコ・・・どうか俺ともっと恋に堕ちて?)

***

翼を使えば、王宮まで直に飛べるけど、二人で街に出かけた時には、話ながら徒歩でゆっくりと帰る。

「人間界だといくらデートに誘っても、無碍に断られてたよね?」

そう聞いてみると、

「あの時は・・・不思議なくらい何も感じなかったというか・・・」

「じゃぁ、今は何か俺に感じてる?」

「・・・綺麗だな、って思います」

「他には?」

「・・・やさしい、です」

「他には?」

「あのですね・・・私は物事をはっきり言わないのが美徳の国で育ったんですから!そうゆう事はあまり聞かないで下さい~」

「でも、聞かないと言ってくれないし・・・でも、俺、ちゃんとキョーコにやさしくできてるなら、嬉しいな」

キョーコは黙ってしまったけれど、確かに穏やかな時間が流れていた。だから、ついと気になっていた事を聞いてみる。女官長から、キョーコが人払いをして泰江と話していたら、後宮中に響き渡る位の大声で「嫌ー!!」と叫んだ、と聞いていた。

「そういえば、キョーコと奏江が中庭で騒いでいたと聞いたけど・・・」

するとどうだろう?
ぴょん、とキョーコの体が跳ねた。明らかに挙動不審な態度。

「何だったのかな?」

「いえ、大したコトではナイデスヨ?」

(目が泳いでいるよ、キョーコ・・・)

「もしかして、俺が関係してる?」

「イエ、ソ、ソンナコトナイデスヨ」

(図星か・・・)

「キョーコが黙っているなら、奏江を問い詰めても良いんだけどな?」

そう言って軽く脅すと、早くもキョーコは陥落寸前。

「そんなぁ。モー、奏江は、私のお願いを聞いてくれただけなのに・・・・」

「でも、ただ事じゃない雰囲気だったと聞いていたし、俺が関係していならなおさら気になる、な」

そういって、彼女が苦手だという作り笑顔を浮かべてみたら、諦めたみたいで、

「あの、その、深い意味は無いんですけど・・・」

「うん」

「こっちの人は子供が欲しい時どうするのか、聞きまして・・・」

(は?)

予想外の内容に足が止まる。まさかとは思うけれど・・・

「作り方知らなかったとか!?」
(そこまで初心だったのか!?)

「や!流石に私だって知ってますよ!ただ、いわゆる「安全日」とか「危険日」とか、どうやって調べるのか、聞きたかっただけなんです~~~!!」

そういって、脱兎のごとく逃げ出した彼女をすぐに追いかけた。

***

「一人は危ないから、ダメ、でしょ。えっと多分誤解があると思うから教えるけど・・・」

そういって、俺は話を始める。

俺達翼人は子孫を残したいという本能が薄まってしまっている。だから妙齢の男女が一緒に居たって何も起こらないし、自然に任せておけば子供が生まれずに翼人はいつか絶滅する。だけど、理性はそれを望んではいないから、子供ができやすい日を調べ、男女ともにホルモン分泌を促すような飲み物・・・ありていに言えば催淫剤を飲んで『努力』して子供を作ろうとする。

国王であっても、複数の女性の相手をしないのは、いや、できないのは、一人に意識を集中させて、なんとかなけなしの「欲」をかき集めるためで。そして、相手を定期的に変えるのは、自力で「相性」の良い相手を探すことができないから。翼人には・・・人間が自然としているような・・・恋に落ちて体を繋げるってことが、できない。

「でも、国王は・・・時々、恋に落ちるんだ。恋を知る人間にそっくりな無翼の「運命の女性」に。まぁ、何故そうなのか、なんて理由はどうでもいいから置いといて。とにかく、俺はキョーコに恋してる。すごく好き。いつでも、何度でも、君と子供ができるような事をしたい。もし君が同じように思ってくれたら・・・俺たちの間にはたくさんの子供が、自然にできるんだよ。だから、翼人達のようにアレコレ頭で考えないで?ただ感じるようになって?」

キョーコは俺の言葉を神妙な面持ちで聞いていた。


SIDE 前蓮王

私は尚国王宮から蓮国王宮に戻ってきた。

最初は「キョーコ捜索隊」に加わるために尚国に入っていたが、彼女が「蓮国をお忍び旅行中」ということが判明してからは、蓮から尚王捜索を引き継いでいた。だいたい尚王の行方の見当はついたから・・・とりあえず蓮への報告を兼ねて蓮国王宮に戻ってきた。でも、自ら戻ってきたのは、他でもない、蓮妃になったキョーコの顔を久ぶりに見る為だった。

「前蓮王様、始めましてキョーコと申します。黒卵だった私を救ってくださったとは伺っております・・・色々とありがとうございました」

最後に姿を見たのは、蓮に王位を譲る直前、彼女が14歳の時になる。その頃の面影を残しつつも、顔からは子供特有の丸みが消えて大人の女性らしい美しさが加わっている。

(綺麗になったけれど・・・なんだろう?こんなにも線が細いというか、儚げな印象が加わるものなのかな?)

キョーコを久しぶりに見たときの第一印象だった。

「始めまして、ではないよ?
キョーコは私が命を吹き込んで生まれた、ある意味、私が産んだ娘だからね。気になって・・・いつも様子を見に行っていた。君が良い母親や友人に囲まれて幸せに育っているのを見て安心していたんだ」

私がにっこりと微笑んでやると、キョーコも照れくさそうに微笑んでいる。少し驚かせてやろうかと思い、印象的で覚えていた事も話してみせる。

「私は、色々な君を知っているんだよ?例えば、テストで100点が取れると、キョーコはテスト用紙をテーブルの上に広げて母親の帰りを待つんだ。そんな時、良くはしゃいでクルクルと回って・・・テーブルの脚に足をぶつけて「馬鹿キョーコ」って叫ぶんだけど、また直ぐに回りだす」

あはは、と思い出し笑いをした私が次に見た時・・・キョーコは俯いてしまっていた。

(人間界での暮らしを思い出させるような事をいうべきじゃ無かったな・・・)

「人間界で生まれ育ったキョーコがこちらに留まるのは辛いこともあるだろう・・・良い妃になろうと努力してると聞いているよ?どうもありがとう。何かあったら、私に遠慮なく言うといい」

「ふっ」

キョーコの瞳から大粒の涙が零れた。

***

「私、色々努力したんです。勉強だっていっぱいしたし、つるが、蓮王様に体を差し出して・・・・みんなを幸せにする、六枚翼の子供を沢山産まなきゃって、そのために翼人界で生きようって」

瞬きをするたびにキョーコの瞳から涙が溢れてくる。

「でも、それだけじゃ足りないって。恋しないと・・・心まで差し出さないと子供をたくさん産むことができないって。でも・・・私は人間界での暮らしが恋しい・・・」

「もしかして、啓国を目指してた理由って・・・」

「啓王に頼んで、人間界に帰してもらおうと思って・・・ごめんなさい。ダメな妃ごめんなさい」

キョーコがそう言って泣いているのを見るのが辛い。

「別に、故郷を恋しいと思っちゃダメだなんて事はないと思うぞ?」

「・・・」

「蓮は・・・きっと誰も知らないよね?キョーコの気持ち」

こくり、とうなずく

「私、蓮王の事、嫌いじゃないんです。でも、せめて私の心だけは、育ててくれた母や故郷に残しておかないと・・・」

「別に、蓮の事を好きになってしまっても、君は育ててくれた母親や故郷の事を捨てることにはならないと思うよ?」

「そうでしょうか・・・」

「キョーコはしばらく蓮の側を、蓮国を離れた方がいいかもしれない。一緒に尚国にでも行こうか?」



キョコさん、すこしは蓮さんのこと、好きみたいです。

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プロフィール

Author:Agren
本家のストーリの進行のじれったさに、素敵な2次小説サイトを巡って熱を冷ましていましたが・・・とうとうを自分自身で妄想を開始しました。
2次は愚か、小説初挑戦です!



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