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料理が得意な彼女(9)

SIDE REN

その日、俺はイライラしていた。

トーク番組の収録で訪れたTBMテレビ。キョーコも同じ局に居るのが分っていたから、ちょっと顔を見に行こうと思っていた。そこで偶然見てしまった。君が男に告白されているのを。

「京子さん!君の事がずっと好きでした!付き合って下さい!」

「ありがとうございます。でも・・・ごめんなさい。お付き合いできません。」

「誰か・・・好きな人がいるんですか?」

「好きな人なんていませんっ!」

「じゃあ!友達からで良いんです。俺にチャンスをくれませんか?俺の事、京子さんに知って欲しいんです。俺、もっと京子さんの事、知りたいんです。君にしつこく付きまとったり負担になるような事は絶対しないので、お願いします!」

そうやって、相手の男は深く頭を下げた。すると彼女は、

「ご・・・ごめんなさいっ、私っ、恋とかっ、愛とかっ、今は考えられないんです!」

そう言って、勢いよく頭を下げると駆け出して・・・消えて行った。

(好きな人はいない)とか、
(恋とかっ、今は考えられないんです!)とか何故そんな事を言うのだろう?

俺は君の「好きな人」じゃないの?君は俺の「恋人」じゃないの?と頭の中でグルグルと疑問符が回る。

(あれは、単に男を振るための口実であって深い意味は無いんだ!)
と疑問を打ち消しても「敦賀蓮が恋人」とは言えなくても、「好きな人がいるから駄目です」と何故言わないんだろう?・・・新たな疑問と怒りが込み上げるばかり。

そんな気持ちのまま・・・収録がスタートしてしまった。


*******


「ねぇ、もう何度も聞かれていると思うけど・・・敦賀君、お付き合いされている女性いないの?」

いつもトーク番組に出演すると聞かれる、いつもの恋愛ネタ。
普段だったら、さらっと「そんな人居ないですよ?俺モテないですから。」とかわす・・・ことが今日はできない。

「ええ、いますよ。」

と、とっさに口をついて出てしまった。俺には君を「いない」事にするなんて・・・できない。

「えぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇ???」

聞いた方は、まさかそんな返事を俺がすると夢にも思わなかったらしい。まぁ、そうだろう。

「そ、そうなの?敦賀君が恋人が居るって認めるの、初めてなんじゃないの?これ、これ流してもいいの?カットした方がいいの?」

俺はもうキョーコが怒ってもかまうもんか、という気になっていた。さっきのキョーコの態度がまるで俺に対して不実を働いている・・・理不尽にもそうゆう気持ちになっていた。

「ああ、流して良いですよ。事務所の社長なんかは俺があまりに浮ついた噂がないんで、怒ってる位ですから。」

「へぇぇぇ・・・怒られるんだ?」

「ええ、このままじゃ、男好きだって思われるぞって。」

「あはは! 実は僕、その噂、聞いて事あるよ!」

「そうなんですか・・・。でも仕方ないですよね、彼女とは噂になりたくともなれなかったんですから。」

「どうゆうこと?この話題・・・もうちょっと続けても・・・良いのかな?」
司会者が俺の顔色を窺うように訊ねる。俺は構わず続けた。

「俺の片思いだったんです。気付くと2年ちょっと経ってました。」

「えぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇ??
 天下の「敦賀蓮」が片思い!? ・・・信じられない。」

「最初はね、どちらかと言うと気に入らなかったんです、彼女の事。それで少々冷たくした時期もあって。でも、何事にも一生懸命な彼女の姿に、徐々に可愛いなって思うようになって、気づいたら手遅れ。俺ばかりが夢中になってて焦りましたよ。恋ってこんなに進行の早い病気だったけか!?って。嫌われてる状態からのスタートでしたから、まずは彼女の中の自分を『嫌な奴』から『頼れる人』に昇格させるまで、大変でした。」

「うっわぁぁ~、でも敦賀君なら『好きだからいじめてたんだよ』とか言えば、大抵の女性はメロメロになると思うんだけど・・・」

そこで、俺はため息を吐いてみせた。
「一筋縄ではいかない相手でしたから・・・。」

「はぁぁ・・・失礼な事を言うかもしれないけれど・・・そんな面倒な相手じゃなくてもいくらでも素敵な彼女が見つけられたんじゃなかったの?」

「正直、片思いの間、本当に苦しかったですけどね。俺は彼女の事をどんどん好きになって、もう魂ごと持って行かれてしまっているのに・・・彼女の気持ちは一向にこちらに向いてこなくて。でも、しょうがないですよ。彼女は俺の初恋の女性ですから。」

「えぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇ???はつこい~!?」
司会者から再び絶叫のような返事が返ってきた。

「実は俺、小さい頃に彼女と出会ってるんです。短い間でしたけど大切な時間を過ごして・・・幼いなりに恋したんだと思います。
彼女と再会してからしばらくの間、彼女が『幼馴染』だとは気付かなかったんですけれど、ある時、目の前の彼女があの時の彼女だと気づいてしまって。俺は彼女に2回出会って2回とも恋してしまったんです。彼女は、俺とどこで出会っていたか・・・まだ気付いて無いみたいですけど。」

「はぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ。予想以上の話の内容ににわかに信じられないのですが・・・。そうゆう内容のドラマの宣伝じゃないですよね?」

「ええ、違いますよ。嘘みたいな本当の話なんです。俺だって信じられなかったですよ。もう、片想いで煮詰まっていた時には、自分の運命を呪いましたよ。こんな風に彼女を俺に魅せつけておいて、どうして俺の手に与えてくれないんだ!って。」

「でも、今はその初恋の君とおつき合いされていると?」

「そうですね。」

「はぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ。う、うらやましい。敦賀君の事も、お相手の女性も。」
司会者が真っ赤な顔をしてソファに深く沈みこんで顔を覆っている。

「そうですか?」

「そうですよ!!芸能界なんかに居ると、特に敦賀君のような人気も実力も兼ね備えているような俳優さんならなおさら、下心のある女性が幾らでも寄ってきそうじゃない?それなのに、そんな純愛を捧げられような相手に出会って、想いが叶って・・・
お相手の女性だって、敦賀君のような素敵な男性に心を捧げられて幸せにならないはずが無い」

「そうだと良いんですけどね・・・。」

「絶対そう!」

「そういって貰えると少し心が落ち着きます。」
俺が無理に笑顔を作ってそう言うと、

「はぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ。」
司会者が叫んで、ソファから滑り落ちた。

「だ、大丈夫ですか?」

「俺、男だけど・・・敦賀君になら抱かれてもいい・・と思ったよ。」

「えぇぇ?」

「いや、俺は女の子が好きだよ?でも、君のそんな顔を見せられたら、もう腰砕けって感じ。この番組の視聴者も俺同様にソファから転げ落ちてると思うよ・・・。」

「はぁ・・・。」

「で、彼女・・・どんな女性なの?一般人?それとも芸能人?」

彼女の事をさぐられ・・・あ、しまった・・・と思った。

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プロフィール

Author:Agren
本家のストーリの進行のじれったさに、素敵な2次小説サイトを巡って熱を冷ましていましたが・・・とうとうを自分自身で妄想を開始しました。
2次は愚か、小説初挑戦です!



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