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蓮の翼(8)

SIDE KYOKO

----バタン。

車のドアの閉まる音で目が覚めた。ここは・・・どこかの駐車場?運転席をみると敦賀さんの姿が無い。どこに行ったの?と思っていたら、私が座っている助手席側のドアが彼によって外から開けられた。

「ああ、起きた?取り敢えずここまで来たらひと安心だけど、俺の部屋なら狛達の結界があるから、そこに隠れるよ」

(・・・隠れなきゃならないんですか?)

さっき「逃げる」って言ってたけど、逃げ切れたのかしら?そもそも逃げるって、何から逃げたんですか?それに、結界ってなんですか?聞きたいことは沢山あるけど・・・相変わらず敦賀さんの表情が険しいから、聞き出しにくい。

敦賀さん、業界では「春の陽だまりのような温厚紳士」って評判なんだけど、私は今まで何度がマジ怒りに触れたことがある。そんな状態の敦賀さんに逆らっちゃいけないって、本能が告げる。だって、さっきの異常な身体能力だってそうだし、大体・・・翼もないのにトップ俳優として芸能界に君臨し続けるって事が胡散臭すぎる。もしかして、敦賀さんは---『翼』があるだけで、多少のカリスマ性がある『人間』---とは根本的に違って、ホンモノの人外なのかもしれない。

(この漆黒の髪と瞳・・・もしかして・・・正真正銘の悪魔・・・)

そんな考えが私の脳裏をよぎる。私が訝しげに見ているのが分かったのか、敦賀さんが、

「何か、化け物を見るみたいな目で見られてるような気がするんだけど・・・それもあとちょっとだから・・・とにかく俺の部屋に行くよ?」

そう言って、これまた人間とは思えない圧倒的な力でもって、私はエレベータに乗せられてしまっていた。

***

----ポーン、ポーン、ポーン・・・。

敦賀さんの部屋のリビングに着くと、時計の時報に挨拶される。

(魔界に引きずりこまれるっ!)
そんな風に思っていたけれど、部屋に入ってみたら、ちゃんと人が住む空間だった。そして意外な程『清浄』な雰囲気で、何だかすごく落ち着く。ここは決して魔界なんかじゃないし、だから敦賀さんも悪魔ではない(多分)。

「どう?この部屋?」

「へっ!?」

敦賀さん妙に勘が良いというか・・・。魔界だとか、失礼な事を思っていたってバレていましたか!?

「結構いいでしょ?」

「え!あ、はい、それはもう!(まるでどこかのモデルルームのようです)」

「リラックスできる?」

「え!あ、はい、それはもう!(でも、不思議と落ち着くの)」

「ここでなら、俺に抱かれてもいい?」

「え!あ、はい、それはもう・・・?(えぇ!? 今、なんと仰いましたかー!!!)」

「それは良かった」

***

あっという間に連れ込まれてしまった寝室。

「ひっ、おねが、許して・・・ください」

涙声で懇願するけれど、敦賀さんは、全くといって良いほど行動に躊躇いがなくて・・・絶望的な気分になる。私が着ていたセーターを一気に捲り上げると、ちょうど手首の所に留めた状態でくるくると私の腕を回して、あっという間に私の両手を拘束してしまった。そうして、手際よく、最後の一枚も剥ぎ取られてしまう。

「や・・・こわい、つるがさん」

今まで、敦賀さんには散々、口説き文句を言われて来たけれど、どこか軽口のようで、ちゃんと逃げ道のようなものを用意しくれていた。それなのに、今は敦賀さんが、押し黙っていて怖い。

「一旦、返してもらうよ・・・」

そう、言われたような気がするけれど、何の事だかわからない。けど、敦賀さんが、首筋にガブリときて・・・肌を吸い上げられると・・・一ヶ所、また一ヶ所と吸われる度に、何かが体の中から流れ出して、脱力するような感覚に襲われる。

(・・・何これ? もしかして敦賀さん・・・吸血鬼だったとか? 私・・・死んじゃうのかな・・・)

なんとなく、そんな事を漠然と考えていると、

「・・・うっ」

敦賀さんが急に動きを止めて崩れた。そして、私は信じられないものを見る。
----なんと、敦賀さんの背中に翼が生えてきた!!!

(一枚、二枚、三枚・・・ろ、く、まい。六枚翼!? )

「はぁ・・・」

敦賀さんが上体を起こして・・・その姿にさらに息が止まる。

「つるが、さん、髪が金髪、それに瞳が・・・」

「青いよね?」

確かに、顔のパーツとか敦賀さんなんだけど・・・黒い色素が抜け落ちてしまったみたいだ。

「18歳、おめでとう。キョーコ」

「は?」

非日常的な状況の中に急に日常が紛れ込んできたようで、しばし呆然としてしまう。そういえば・・・さっきの時報、12回鳴った・・・日付が変わってるから今日はもうクリスマスで私の誕生日・・・

目の前で敦賀さんの羽がサワサワと揺れている。これは、翼の持ち主がすごく喜んでいる印。

「あ、ありがとう、ございます。喜んでいただいて・・・」

とりあえず、お礼を言ってみる。敦賀さんの背中に生えている翼を見ていると、さっきまで感じていた恐怖心が吹き飛んでしまう。真っ白で淡く光る六枚翼。こんなにきれいな翼の持ち主が酷いことをするはずがない。

「嬉しいよ。これでやっと俺も妃を迎えることができる」

「え?」

「君は18になって成人したから、これから俺に抱かれて蓮妃になるんだ。そうゆう風に定められてる」

(蓮妃?)

最近、見続けている夢を思い出した。
あれは昔、本当に起こったことなのかもしれない。そういえば・・・私が「翼」を見るようになったのは、あの日が境だったかも。あの日、約束の証として蓮と交わした口付けで、私は彼から何かを受け取ったような感覚があった。もしかして・・・私は彼の翼を預かっていた?半ば確信のように思う。

「あの時の、蓮?」

「うん」

「蓮・・・」

「君に名前を呼ばれるのは良いね」

またサワサワと羽が揺れる。それから、私は宣言通りに蓮に抱かれ・・・遠退く意識のなかで

----蓮国の蓮は、蓮妃キョーコを迎えた事を宣言する。

そう、聞いた気がした。



意外と時間がとれてびっくり
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プロフィール

Author:Agren
本家のストーリの進行のじれったさに、素敵な2次小説サイトを巡って熱を冷ましていましたが・・・とうとうを自分自身で妄想を開始しました。
2次は愚か、小説初挑戦です!



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