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会いたくて(A)終了、お礼とオマケ

会いたくて Aシリーズ も終了しました。
大分、Kシリーズと違う展開ですが、両方ともハッピーエンドですから、一緒といえば一緒でしょうか。

しかしまぁ、甘アマシリーズと宣言してしまったために、自分で書いてて恥ずかしくなる気持ちと、甘い物語にしたいという葛藤で悶えてました。何だか、自分の欲望を公開しているようで・・・恥ずかしいんです。でも、私はリアルで結婚してまして。夫も相当甘アマな人(←私の妄想じゃないですヨ)なので、欲求不満じゃないハズなんです!!多分。

さて、コメントを下さった方にお礼を

みぃ様>こんな駄文でも癒されて下さって良かったです。甘ったるい話は、自分で書いていても幸せな気分なりますから。あぁ、本編もはやくハピーエンドを迎えて欲しい!(なのに、使われていない伏線が多すぎてガッカリ)

TOMCAT☆様>このお話の中の蓮様も(いえ、多分私がかく蓮様は全て)キョコさんが初恋の相手ですから。それはもう、一生懸命、愛しちゃうのです。

遊yuN様>コメントまで読んでくださってありがとうございます。それに、何度も読み返してもらってうれしいです。私も、いくつか大好きなSSがあって、繰り返し読んでいます。どなたかにとってのそうゆう話になるとうれしいです。

aguila様>Aシリーズお気に召しましたか?Agrenは本編の蓮様が不憫でSSを書き始めタチなので、最後は結局、蓮様が幸せになるのです。

ネムコ様>良かったらサイト名とか教えてもらえませんか?ちょっと探してみたのですが、見つからなくて。

その他、拍手のみでも押して下さった皆様!スキビランキングをぽちっと押してくださった皆様!感謝感激です!!

さてさて、以下はAシリーズのオマケです。あれ?Kシリーズと似てる?? だって、蓮社長は同一人物ですから。


会いたくて Aシリース オマケ

レモンチェッロの魔法
SIDE KYOKO 

「冷たいっ!酸っぱい!・・・う~っ、おいし~!!」
食後に出されたシャーベット状のレモン・リキュール---カプリ島名産のレモンチェッロ---を一気に飲み干した。食後にほんの少し飲むだけで、脂っぽかった口の中が一気に爽やになる。

私はイタリアのナポリから少し南の海に浮かぶカプリ島に来ていた。そして、ホテルの目の前にあるレストランのオープンテラスで夕飯を食べている。カプリ島の玄関口:マリーナ・グランデ、を見下ろす事ができるこの場所を私はすかり気に入ってしまった。

----ぼう--ぼうぼうぅぅ。

汽笛を鳴らしながら、また新たなクルーズ船が到着した。カプリ島は南ヨーロッパ屈指のリゾート地だけあって、沢山のクルーズ船が寄港している。夕方になっても忙しく出入りする大小の船。浮かれた表情の乗客達の到着に私までウキウキしてしまう。

この島には『青の洞窟』を撮影するためにやってきた。あまりに有名な観光地で、今更な気はするけれど、やっぱり綺麗なものは綺麗なんだろうし・・・自分の目で見てみたかった。波が高いと洞窟には入れない事を考え、余裕をもって1週間滞在期間をとっていた。

結局、青の洞窟には初日に入ることができてしまい・・・確かに綺麗だったけれど・・・フラッシュを焚きまくる観光客に興を削がれてしまったのも事実。こうゆう場所は、フラッシュを焚いても意味がないのに・・・。パムッカレもそうだったけれど、有名すぎると、結局こうゆうものなのかもしれない。

2日目からは、島内をあちこち散歩していた。

カプリの街のメイン広場も華やかで良いけれど、細い裏道にある小さなお店もいちいち可愛い。
そして、カプリ島は別名レモン島と呼ばれるだけあって、レモンを使ったレモンチェッロが必ずどのお土産屋にも置いてあった。皆へのお土産はレモンチェッロに決定!なんだけど、誰にどの形の小瓶を贈るのか・・・選ぶのが大変なの!!

だって、綺麗な薄黄色の液体の入った小さな瓶・・・とっても意匠に凝ったデザインが所狭しと棚に並ぶ様は・・・まるで魔法使いが作った薬棚みたい!!泰江さんには、もっと美人になる魔法がかかりそうな小瓶を選ばなきゃー!!!

(はっ、もう少しでメルヘン世界に旅立つ所だった・・・)

とにかく、リフトに乗って山に登れば、目の前に広がる、海の碧、木々の緑、ポツポツの見え隠れする岩肌と民家の白。このコントラストが、まったくもう~って位に見事に鮮やかで。やっぱり来て良かったなって思うの。

(蓮さんと一緒に、あの風景を見たかったな・・・)

明るい潮風に吹かれながら、ふと、日本に置いてきてしまった蓮さんの事を思い出す。ヒズリホテルズの社長である彼はとても忙しい。最近はヒズリトラベルとかヒズリ重工の経営にも参画しているみたいだし。
でも、

(1週間も会えなかったら・・・俺は、地球の裏側にだって君に会いに行くからね)

そう言って、私が長期で撮影旅行に出かける度に「視察出張」と称しては予定を会わせて訪ねてくれる。もし、私の行き先にヒズリの施設がなければ、

(ちょっと待っててね?)

なんて笑顔で言いながら、新たにホテルをオープンさせてしまう始末。おかげで、結婚してから・・・私はヒズリホテルズ以外にお世話になった事がない。

(君を旅先で1人にするなんて心配で心配で。せめて俺の息がかかった場所に泊まって?)

でも今回は事情が違った。

カプリ島は、海からすぐに土地が立ちあがって山になっているため、元々建物を建てられるような場所が少なく、新たにホテルが建てられる土地が確保できなかった。それなら、と、古いホテルを買収して改装しようとしてたみたいだけど、人気観光地だけあって、中古物件も中々出てこないのだそう。

(いつまでもヒズリホテルだけを渡り歩けるはずもないし・・・)

そう思い『例外』をさっさと既成事実にするべく、蓮さんの出張中に自分でエアとホテルを手配してカプリ島にやってきてしまった。遠巻きにボディーガードさんが付いて回っているみたいだけれど・・・それはもう仕方がない。海外で不用意に事件に巻き込まれたりしたら蓮さんに迷惑が掛かるもの。

(もう、10日近く、会っていないのよね・・・)

少し寂しくなってしまった。予想以上に胸が痛むかも・・・そう思って、マリーナの先に沈む夕陽を眺めていたら、

「待たせたね」

急に聞きなれた声が掛けられてビックリする。

「あ・・・蓮さん・・・?」

目の前に、たった今思い出していた人物が・・・居た。リゾート地にピッタリなラフな服装が・・・良く似合っていて、相変わらず絵になる人。

「食事終わったみたいだね?さ、ホテルに戻ろうか?」

蓮さんがさっさと支払いを済ませ、私の鞄を持って歩き出す。私は慌てて立ち上り、蓮さんの後を追いかけるけれど、蓮さんは時々振り返りながらもどんどん坂を下っていってしまう。

「あ、待って!私が泊まっているホテル、目の前のここですよ!」

そう声を掛けるのに、彼の長い脚は一向に止まる気配がなくて。私がやっと追い付いた時には、マリーナまで出てしまっていた。

「ねぇ、蓮さん、私のホテルあそこなんですよ?」

高台を指してそう言うと、蓮さんが海の方を指さし、

「今夜の宿はアレ」

(え?さっき入港してきたクルーズ船?もしかして・・・)

疑わしげに蓮さんに視線を向けると、

「カプリにホテルが建てられなさそうだから、動かせるホテルを注文してみたんだよね。君を驚かそうと思って黙っていたら、君は俺の留守を突いて勝手に来ちゃうし・・・台無しだよ」

そういって肩をすくめて見せる。

「あ、あ、あなたって人は・・・また無駄使いして・・・」

「無駄使いとは心外だな。本当は君専用に買っても良いんだけど、怒られそうだからヒズリトラベルの船として一般営業させるつもりだよ?」

蓮さんは、これなら海の側の街ならどこでもカバーできるから、一艘あると絶対便利なんだから。それにしても、なんでもっと早く気付かなかったかな・・・なんて独りごちていた。


***

「しかし、君は酷いよな、ずっと側に居てくれるっていったのに、いっつも俺を独り置いて・・・写真撮りに行っちゃうんだもの」

船室に案内されるなり、蓮さんのいつもの愚痴が始まった。

「えっと、あの時のあれは、そうゆう意味じゃなくてですね。『気持ち的に傍にいます』っていう意味で・・・」

「せめてヒズリホテルズに泊まってくれれば、俺も少しは安心なのに・・・こんな遠いところまで勝手に来ちゃってさ」

「だって、カプリ島にホテルは難しいって・・・というか、そもそも、私が行く先々にホテルを建てようとするのは、経営者の立場からしてどうかと・・・」

「でもね・・・」

次々と、蓮さんがポイポイ言葉を投げつけてくる。痛くはないけれど、ちょっと困る、感じ。こうなった蓮さんには謝ってしまうのが得策よね?

「今回は・・・私も少し強引に来ちゃったと反省しています」

「ホントに?」

「ええ、まぁ」

「じゃぁ、これ」

そう言って、蓮さんからレモンチェッロの小瓶を渡された。

「さっき、美味しそうに飲んでたじゃないか。さぁ、それを飲んで、君の反省をしっかり見せて?」

う、あ、と思った時には目の前の彼が『夜の帝王』に変貌していた。実は、私はお酒はあまり強くない・・・というか、ワイン3杯目で確実に酔っぱらいます。で、酔い方が問題で・・・飲むと、その、色々と敏感になるというか。結婚して初めて分かった私のアルコール体質。レモンチェッロ・・・アルコール度数は30°を超えるから、この小瓶程度でも、私、確実に・・・

「俺、お腹ペコペコ餓死寸前の狼だから・・・よろしくね?」

蓮さんがにじり寄って来る。
はうぅ・・・こうなった蓮さんに逆らうのは怖いし、逆らって散々返り討ちにあったけれども、でも、逃げられるものなら、この状況から逃げたいっ。

「クエン酸は、精力増強に役立つみたいだから、一石二鳥だし?」  

結婚前は絶対こんなセリフ言う人じゃなかった!紳士の中の紳士、ザ・ジェントルマンだった!!なのに、なのに、なのに! さっき、蓮さんに会えなくて寂しいとか思った、私の純情を返して~~~

「自分で飲む決心がつかないなら・・・俺が口移しで飲ませてあげてもいいんだけど?」

硬直している私の手から・・・蓮さんがレモンチェッロの小瓶を取り返して、蓋を開け私の目の前に掲げる。その様子はまるで、

(悪い魔法使いが、私に悪い魔法を掛けようとしているわっ!)

でも・・・私は、飲む前から、既に悪い魔法にかかってしまったみたいで・・・絶・体・絶・命・・・と思いながらも、勝手に体が動いて小瓶の中身を飲んでしまった。

----レモンチェッロ、キョーコを素直にする魔法の飲み物だね?

翌朝、とても嬉しそうに蓮さんが言う。

(や、魔法使いの力が絶大すぎるから・・・)

立ち上がる事ができない体で、レモンチェッロをスーツケースに詰めている彼をぼんやりと眺めていた。

(一体、何本持って帰るつもりなのかしら・・・はぁ・・・)

FIN.




やっぱりこれですか。
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会いたくて(25A)

会いたくてAシリーズ最終回です

SIDE KYOKO

(君は父親が西セラの不破社長だと言う事を気にしている?)

敦賀さんの言葉に、目の前が真っ暗になった。ここは・・・私が時々捕われてる、私の昏い心。一旦捕まると、身動き一つ取れず、暗くて寒いここから・・・解放されるのを苦しみながら待つしかない場所。

ざざざぁぁ----。

急に、暖くて光る何かが注ぎ込まれ、満ちていく。それは、見渡す限りの輝く水面を作りだした。

----暖かい・・・海?

そこに大きな手が現れてバラバラと何かを蒔いていく。すると水面は、みるみる内に緑の葉に覆われて、それより高くピンクの蕾が突き上げてくる。

----蓮池?

その中の、ひと際大きな蕾が、ふわさぁ と花開く。その花芯には、敦賀さんが、ちょこんと座って・・・微笑んでいた。

----あぁ・・・これがホントの 『蓮』華 だわ。

思わず、笑いが込み上げてくる。でも・・・何て愛しい花。私は立ち上がり、水面の上を歩いて行く。そうして、自分の心に咲いたその華にそっと手を伸ばした。


SIDE REN

キョーコが俺との結婚に躊躇する理由は分かっている。そして、それを言い出せないのも。

彼女に寄り添っていれば、いつかその口から全てを告げてくれるのだろうか?否、きっと彼女は話せない。それどころか、話せない事それ自体に罪の意識を感じて、益々口が重くなるだろう。

(一か八か、核心を突くしかない)

だから、彼女の心を奥底にいきなり風穴を開けて、その『澱』に無理矢理手を伸ばした。もし、彼女を傷つけるだけに終わってしまったら、俺は彼女を失ってしまうのかもしれない。そんな恐ろしい事は本当はしたくない。それでも彼女の心に、俺の欠片の一片でも置いてこれるのならば、唯それだけで俺は生きていけるような気がした。

***

まだ、リズムが乱れたままの彼女の呼吸。震える手。彼女の心まで掴めるように俺は抱きしめる。
彼女が(はぁ~)と大きな息を吐きながら顔をあげた。

「つるがさん、華を・・・ありがとう・・・ございます。

  こんな私で良ければ、いつまでも、側に・・・ずっと側に・・・」

俺は、人生最大の賭けに勝つことができた。



SIDE YASHIRO

キョーコちゃんと蓮の結婚報告パーティーが行われている。

(最上さんにプロポーズしましたから)

トルコから帰国した蓮にそう言われた時には、

(この恋愛初心者が何しでかしとんじゃー!お前のデッカイ気持ちをいきなり押し付けてどうする!?)

って、目の前が真っ暗になったさ。けれども、話はトントン拍子に進んで「あっ」という間に、身内だけでさっさと挙式をして入籍を済ませてしてしまった。付き合いだして半年のスピート結婚。披露宴は「招待客はヒズリ関係ばかりだから」と、いわゆる型どおりの形はとらず、こんな風に立食形式になった。最初に蓮とキョーコちゃんから挨拶があって・・・それからは、蓮がキョーコちゃんを連れて招待客の間を縫うように挨拶して回っている。

特定の相手を作らなかった蓮の突然の結婚の知らせに、「最上キョーコ」は一体どこの令嬢だ!?と、一時期、敦賀家に娘を送り込もうと虎視眈々と狙っていた輩は騒然としていたが、既に入籍が済んでいる上、

----なんとキョーコちゃんは『京子』だったんだ!

本の最終頁の著者紹介。今まで『京子』の本のそれには代表作の紹介がされていただけだったが、最新作には、最上冴菜と最上キョーコの略歴と、2人が書いた作品がそれぞれ別々に紹介されていた。日本の文壇で確固たる評価を得ている『京子』。特に、キョーコちゃんが書いた、最近5年の作品群は評価が高い。

(敦賀家の次期当主が『京子』に惚れ込み、日本屈指の才媛を手に入れた)

もう、誰も文句なんか言えなかった。そして『京子』の最新作「美しい男」の表紙は今回も写真家「最上キョーコ」の作品である事が公表された。

「美しい蓮の花、あなたに出会えた奇跡に感謝します」

そう折り返しにメッセージが添えられた表紙は、咲き誇る蓮の花が写っていた。


FIN





穴を掘って・・・入ろうか・・・

会いたくて(24A)

会いたくて(19)の続きの別バージョンです。Aが付く番号をたどってくださいませ。次回で最終回・・・になるといいな

SIDE 京子

敦賀蓮が帰国してから初めてのメールが届いた。

彼は、キョーコに気持ちが届いた事を嬉々として書き連ね、今までは、キョーコの身も心も手に早く入れたくて焦っていたけれど、これからは、彼女の心に寄り添ってゆっくりと進みたいと語っていた。

そして、トルコでキョーコに告げた通り、彼女は「蓮の花」なのだと。
それから、自分(蓮)にとっても「花」であって欲しいのだと。
自分が、土になり太陽になり、強すぎる風雨や病害虫から守り育てるから、綺麗な花を咲かせて、彼の心を和ませて欲しい・・・と、綴られていた。

---ベタボレじゃないの

こうゆう風に変わるのは予想外だった。私は、とりあえず『美しい男』のプロットをぼんやりと考え始めた。


SIDE KYOKO

「えっと、お話が良く見えないのですか・・・」

今日は、敦賀さんとヒズリホテルズ赤坂で食事をして、そのまま、マンションにお邪魔している。

「俺たちの婚約パーティーをするなら、ヒズリのホテルを使わない訳にはいかないだろう?あのレストランは中々眺めがいいから、そこを貸し切ってするか・・・あとは大広間なんだけど・・・そっちの方は、結婚披露宴で使う事になるだろうから、俺のお勧めとしてはレストランなんだけど」

私は頭を抱えてしまった。

「えっと、私達はまだ付き合いだして3ヶ月しか経たない訳で・・・まだ、そうゆうのは早いんじゃないでしょうか?」

「そう?でも、一応プロポーズにOKもらった訳で・・・結婚自体はある程度は待つつもりだけど、一応、約束はして欲しいな」

敦賀さんに交際を申し込まれて・・・とりあえずOKして。帰国してからは、些細な事でメールや電話をしたり、仕事が早く終われば食事に行ったり、休日にはドライブをしたり、近所の公園でピクニックしたり、(普通の感覚を持ち合わせていないハズの)敦賀さんと、驚く程に普通の男女交際をしている。それに・・・

(俺はキョーコを大事にしたいからね?君がその気になってくれるまでは、何もしない。あぁ、でも勘違いしないでね?君にそうゆう魅力が足りないって言ってるつもりは無いからね?むしろ、絶大・・・だから)

何度か、敦賀さんのマンションに泊まったりしているけど、まるで、私がそうゆう事に関して臆病になっている事を見透しているように・・・大事にされていると実感できる。

「もし、婚約すらも早いというならば・・・今まで琴南さんに同伴してもらっていたパーティにキョーコが付いてきて?それで我慢する」

・・・敦賀さんは、私を恋人として公の場に連れて行きたいらしい。

私は・・・トルコでのプロポーズもどきの言葉を、単に交際を申し込まれた程度にとらえていた。私は4月に大学を卒業したばかりの新社会人で、学生気分というか・・・結婚というのは、ずーっと先にあると思っていた。でも、敦賀さんは、既に20代後半に差し掛かっていて、会社だって立派に経営していて。
とにかく、彼は本気だということが徐々に分かってきた。

「あのさ、俺とはいずれ別れる前提で付き合ってる、とかないよね?」

「そうゆう訳じゃないですけれど・・・でも、色々と気付いてしまったというか・・・」

だって、敦賀さんと結婚するということは、ヒズリホテルズの社長夫人・・・ううん、いずれはヒズリグループの会長夫人になるということで。それには、しかるべき家柄のお嬢さんじゃないと駄目だ。敦賀さん個人がいくら私を好いてくれたとしても、敦賀さんの両親を始め、周りが黙っているハズがない。それに、

----私は、私生児なんだもの

普通の家のお嬢さん・・・以下だ。そう思うと、何だか胸が苦しくなって、

「私じゃぁ・・・敦賀さんの結婚相手として相応しくないです。ダメなんです・・・」

殆ど無意識に否定の言葉が口からこぼれてしまった。でも直ぐに、

(失言だったかな?)

と、恐る恐る敦賀さんの顔を見上げると、敦賀さんの表情が・・・すごく優しい。

(なんで?怒られるかと思ったのに・・・)

でも、敦賀さんから発せられた言葉は、私の心臓を打ち抜いた。

「----キョーコ。
 君は父親が西セラの不破社長だと言う事を気にしている?」

突然の敦賀さんの指摘に私の心臓がバクバクと脈を打って、体が震えてしまうのを止められない。

「ごめんね?驚かせて。清野さんが「冴菜」のブローチを君にあげた時に気付いたんだって。最上冴菜と不破社長の関係を・・・それで俺に教えてくれたんだ」

その場に崩れ落ち、もはや顔をあげる気力もない私を、敦賀さんが抱きかかえて諭すように、ゆっくりと話し出す。

「君は本当に綺麗な『蓮の花』なんだから、出自なんて気にしなくていい。君は世間に顔向けできない事を何一つしていない。俺は、妻の家を当てにする程、無能ではないつもりだし、ヒズリグループも、もう十分に大きいから。

君がどうしても気にするというのなら・・・俺が敦賀の家を出ても良いんだけれど・・・でも君を不破の家から守って、ペンネームなんて使わずに堂々と最上キョーコとして活動させてあげるには、ヒズリの力は有効だからね」

そういって力強く抱きしめてくれる。

「きっと数年も経てば、君はカメラマンとして世間から絶大な支持を受けて・・・俺なんか「最上キョーコの夫の」って枕詞で呼ばれるようになるんだから。だから些細な問題は俺に預けておいて、とりあえず敦賀の家に入っちゃいなよ?」

私は、敦賀さんの言葉に・・・暫く流れ落ちる涙を止める事が出来なかった。




ちょっとだけ直しました。投稿してWeb上で読んでみて気付く間違いがなんと多いことか。一応、投稿前に読みなおしているのにorz

会いたくて(23A)

会いたくて(19)の続きの別バージョンです。Aが付く番号をたどってくださいませ。オリジナルのK-versionより長くなってしまいましたね・・・。


SIDE REN

日本に帰ってきて直ぐに『最上冴菜』について調べさせた。

最上冴菜は京都出身で高校を卒業した後、彫金師の工房に住込みで働きながら技術を学んでいた。26歳でジュエリーデザイナーとして独立。仕事は順調に増えていたが、23年前の1月、突然姿を消してまった。その年の12月、キョーコが生まれる訳だが、同じ時期に最上冴菜の住民票が京都から東京の宝田社長の自宅住所に移されていた。

(宝田氏が、最上冴菜を不破の元から助け出した?)

そして予想外だったのはヒズリグループの銀行から舞い込んだ情報。最上冴菜の個人資産が10億を超えていて、キョーコが相続した後も、それは毎年数千万円のペースで増え続けていると言う。そして・・・金の振込み元は全てLME出版。

(金の流れの意味が・・・解せない)

この形だと、まともに税金が持って行かれているはずだから、LME出版は冴菜、そしてキョーコに年間1億以上の金を払っている計算になる。何故そんな必要があるのか?宝田氏から最上親子への援助だとしても、その額も提供方法も不自然極まりない。

俺はふと、出版社が1億もの大金を払う個人と言えば人気作家くらいのものだ、思った。

----まさか?

俺は一つの仮説を立てる。

『京子』とキョーコ、同じなのは偶然だろうか?最上冴菜が娘の名前をペンネームに小説を書き始めたとしたら?『京子』の素生がデビュー当時から隠されている事も、LME出版からしか本が出ないことも、大金が振り込まれている事も辻褄が合う。

トルコのネクロポリスの前で彼女が言った科白を思い出す。

(母の死を認められなくて、せめて人の心の中では生きたままで居てほしいって思って)

母の死を認められなかったキョーコが、母の死後も『京子』として書き続けていたら?LMEは今度はキョーコに印税を払い続けるだろう。

(『虚像』は、私が誤解していた母の姿なんです)

あの時は表紙の写真の事を言っていると思っていた。でも・・・憎まれていると思った母親からの手紙を読んでキョーコが『虚像』を書きあげたとしたら?いくら、キョーコの写真センスが優れていたとしても、まだ学生だったはずのキョーコの写真を本の表紙に採用されたのは、著者自らが撮影していたからではないのか?

(恋愛小説はハッピーエンドということで)

最初は何を言い出したのかと思っていた。
でも『京子』はキョーコの写真にインスパイアされて小説を書くつもりだと言っていたが、本人が直々に取材をしていたとしたら、至極自然なセリフになる。そして『京子』がキョーコなら、俺の告白に驚かなかったのも・・・俺が散々口説いていたのに悉く空回りしていたのも納得がいく。最初のメールに「新しい友人ができた」と書いてあったけれど・・・あれは、まさに琴南さんの事じゃないか。

----だから・・・俺はこんなにも最上キョーコに溺れてしまったのか。

『京子』が俺の闇を打ち払ってくれたように・・・俺が君を幸せにしてみせる。父親の影を打ち払い、俺を愛するように・・・なってもらうから。





自分で書いてて、恥ずかしいですよ。ホント・・・

会いたくて(22A)

会いたくて(19)の続きの別バージョンです。Aが付く番号をたどってくださいませ。
SIDE REN

今夜、最上さんを一人にはできない。そう思って部屋に押し掛けた。

別れる時に口うるさく言ったにも関わらず、ドレス姿のままの彼女。いつもとは違う・・・影を帯びた表情。でも俺はそれに気付かないフリをして抱きしめた。

(いつもの君に戻してみせるよ?)

とりあえず、お腹も空かせていたらしい最上さんのためにルームサービスを頼んで・・・その間にお風呂に入ってもらった。彼女が食事をするのを眺めていたら、急に彼女が、頬張っていたサンドイッチを膝の上に落してしまった。

「どうした・・・?」

彼女はぎこちなくサンドイッチを拾い上げると、

「あ、あの、お話とは何でゴザイマショウ?私、今日は疲れていますノデ、もし急ぎでなければ明日の朝一でウカガイマスガ・・・」

「別に、特に用事はないよ?ただ、今夜は君の傍にいたいと思って・・・」

そう言うと、彼女は

「あぅ・・・」

唸るように呟いて、真っ赤になって動きが止まってしまった。ああ・・・そうか、うん。

「別に、いきなり取って食おうなんて思ってないから安心して?」

「・・・」

「今夜は隣で眠るだけだから。君の心の準備ができるまで、俺からは何もしないから」


SIDE KYOKO

----今夜は君の傍にいたいと思って。

そう言われて、敦賀さんが『京子』に書いてきたメールの内容が頭の中に次々と流れる。

(わ、私・・・今夜ナニをされてしまうのでしょうか!?)

きっと私、耳まで真っ赤になってる。敦賀さんと向き合ってみようと思ったけれど、ここまで話が急展開するとは思ってもみなかったわよー。

(わーん、たすけてー、ドラ○もーん)


***

「えっと・・・重たくはないですか?」

「全然。最上さん、ううん、キョーコは羽根のように軽いから」

ソウデスカ・・・。
これって、胸枕?っていうのかしら?私は、頭を敦賀さんの鎖骨の辺りに乗せ、体は彼の左腕で抱えられピッタリと寄り添わされている。時々、右手が私の頭をなでては離れていく。

(温かくて気持ちイイかも・・・こうやって抱き締められたり、頭をなでてもらった記憶って・・・無いなぁ・・・)

「今日は、疲れたよね?」

「えぇ、まぁ」

「でも、初めての経験だっただろうに・・・見事なホストぶりだったよ?」

「ありがとうございます」

「英語も上手いんだね」

「写真を撮りに世界を旅したいと思っていて・・・結構真面目に勉強したんです」

「そっか。もし撮影旅行に行くときには、ヒズリのホテルを自由に使って?・・・例え、俺が君に振られてしまっても・・・俺を写真家、最上キョーコのパトロンとして傍に置いて?」

そう言われて、思わず敦賀さんの顔をマジマジと見てしまった。レセプションが始まる前に、お付き合いさせて頂くと返事をしたばかりなのに、何故いきなりフラれたら・・・という話をするのか。もしかして、今でもちょっと私が迷っているのが分かっているの?

でも・・・凄くやさしい笑顔で微笑んでいる。

「えっと、そんな事を、こんな時に言われましても・・・どうお返事をしていいのか・・・」

「返事はいいよ。
俺は女性として君を愛しているけれど・・・それ以前に写真家、いや違うな、君が世界に美しい物を見出そうとしている心を愛しているんだよ。
俺の両親は・・・俺の名前「蓮」を「決して美しい環境とは言えない泥の中から美しい華を咲かせ、人の心を和ませる『蓮の花』」になぞらえて付けてくれたんだけれど・・・俺は世界を斜めに見て、汚いものに目をやって、汚い、汚い、と愚痴をこぼすだけの人間だったから。蓮の花は、君の事だと・・・俺は思っているんだ」

「・・・キザですね・・・」

「そうかな?」

それから、私達は会話をしなかったけれど、敦賀さんが私を「蓮の花」に例えてくれたのが無性に嬉しかった。

----泥から生まれる花があってもいい。

自分の父親の事を思って暗くなって気持ちに、光が指したような気がした。
プロフィール

Author:Agren
本家のストーリの進行のじれったさに、素敵な2次小説サイトを巡って熱を冷ましていましたが・・・とうとうを自分自身で妄想を開始しました。
2次は愚か、小説初挑戦です!



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