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コメントなど:料理が得意な彼女

「料理が得意な彼女」終えました。読んで下さった皆様ありがとうございます!

頂いた拍手に勇気をもらい、何とか書き上げました。このブログを立ち上げて約10日ですが、200以上の拍手を頂きAgrenは幸せです。

この後、この話の番外編に位置づけられる尚がからむお話とパラレルな話(カメラマンなキョーコ)の妄想(笑)が進んでいます。

途中まで拍手のコメントの読み方すら知らなかったので、大変遅くなりましたがまとめてお返事させていただきます。

さつき様:人生初(?)の小説に、人生初のコメントとして大切に頂戴しました!楽しんで頂いたみたいで、とってもうれしいです。

瑞穂様:何度も読み返して頂いて・・・照れます。私も瑞穂さんのSS楽しんで読ませてもらってます。

遊yuN様:コメントありがとうございます。やっと終わりました。次回作もよろしくお願いします!

その他、名無しの方々にも感謝感激です!

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料理が得意な彼女(22)

SIDE REN 

キョーコと同じトーク番組に出ることになった。

同じ、といっても俺が彼女が出演する次の週のゲスト・・・というだけで、共演という訳ではない。アールマンディCMの好評を受けて、撮影秘話などを話す予定だ。

でも収録は2本撮りのため同じ日に続けて行われる。俺は社さんに頼んで前の仕事を調整してもらい、キョーコの収録をスタジオの片隅で眺めていた。予想外なことに、俺が贈った携帯ストラップが話題になっている。キョーコはそれを『ファンからのプレゼント』として軽く流した・・・。

(そうだよな・・・俺がどんなに気持を込めたって・・・)

気持が暗くなる俺にさらに追い打ちをかけるように、もう一組のゲストの男が、

「キョーコちゃん!そのストラップ直ぐに外して『坊』に戻しなよ!」

といった。

(何なんだ、あいつ!キョーコに気があるのか?)

「確かに~、ファンからのプレゼントは嬉しいけど、手作りでしかも『おまじない』が掛けてあるとなると~ちょっとNGかなぁ~?携帯って、肌身離さず持ち歩くものだしね?」

(そう・・・かもな。)

ファンからのこの手のプレゼント・・・きっと普通は使わない。でも、俺の目の前でそのストラップを外されたりなんかしたら・・・この後の収録で、俺はまた余計な事を口走るかもしれない。益々、気が重くなる。---こんな現実を直視させられるなら、見に来なければ良かった。

「えっと、これは・・・このままで・・・いいんです。」

しかし、キョーコから予想もしない言葉が飛び出た。そして、あれよあれよと言う間に、俺がキョーコにストラップを贈った事が暴露される。キョーコは可哀そうな位に動揺してフリーズしていたが、沈黙を破ったのは、

「あっ・・・・はい、良いお付き合いをさせて頂いています。」

という俺が君の恋人だと認める言葉。
体中の血液が一気に逆流して頭に血が上るのが分かる。耳元に心臓があるかのように、自分の速くなった鼓動が聞こえてくくる。

----不味い。

どうしよう、今すぐセットに乱入して彼女を抱きしめたい。動きだしそうな自分の足を屈んででギュッと押さえつける。

「よう色男、良かったな?」

突然、斜め上から、ここに居るはずのない人物の声が聞こえる--------見上げると社長がいた。なんでここに?

「お前が沖縄のガラス工房で『おまじないストラップ』を手作りする・・・な~んて、乙女チックな事をした、って聞いてな。イズミ君を沖縄グルメを紹介する番組のレポーターとして送っておいたぞ?」

(-----え?)

「ちなみに、お前たちに、おしゃれイ○ムの仕事を入れたのも俺だ。」

(-----まさか?)

「ま、期待通りだな。
アールマンディには、最上君がお前の恋人だ、と知らせた上で、今回のCMに彼女が出演していることを公表してもいい、と話はつけてある。ほら、お前の愛しい最上君が困ってるぞ?とりあえずあの場を収拾して来い。ディレクターには俺から話をつけておく。」

そう言って、ニタっと笑った。

(----もしかしてこうなることを予想して?)

俺は・・・この人には一生勝てる気がしない・・・心の底からそう思った。


***

俺はセットの後方に素早く回りこみ、ゲストの登場口を押し開く。
最上級の笑みを湛えながらセットの中央に進み、司会者はおろか共演者からも質問攻めにあって口をパクパクさせているキョーコの後ろに立った。

「こんばんは「京子」さんの恋人の敦賀蓮です。彼女と俺は来週のおしゃれイ○ムにゲストとして出演させて頂きます。色々そこでお話しさせて頂きますので、是非見てくださいね!それではまた来週!」

と言って、カメラに向かってにこやかに手を振って見せた。そして、唖然としている他の出演者の顔をぐるっと見回し、手を振るように目で促す。

「ほら、キョーコもちゃんと手を振らないと。」

(なんで敦賀さんがここに!?)

といった表情で固まっているキョーコの手をとり、ひらひらと振って見せる。全員が手を振るのを確認し、

「はい、カット!お疲れさまでしたー!」

と、監督風に声をかける。

「さ、これで1本目の撮りは終了。2本目に行きましょうか?あ、でも休憩を入れた方がいいですよね?それじゃぁ30分後ということで、よろしくお願いします。」

そう言って収録を強制終了させ、そこに居るほぼ全員が唖然としているスタジオから、同じく茫然自失状態のキョーコの肩を抱き、控室と向かった。


***

SIDE KYOKO

正直、何でこうなったのか、展開の早さに付いていけない。

敦賀さんと付き合っていることを認めてしまって・・・どうしよう!・・・と思っていたら、ご本人様が現れた。そして、私もアールマンディCMの共演者として、おしゃれイ○ムに2週連続で出演することを教えられた。

「『京子』がアールマンディのCMに出ているって名前が出せるのは次回からじゃなかったんですか!?」

と、敦賀さんに聞くと、

「あぁ、今回も出てるって言っていいって。しかも恋人同士の共演になってるってことも確認済みらしいよ?」

「誰がそんな確認を!?」

「社長。」

----社長。そう言われて・・・私は何が起こったのか・・・理解できた気がした。

***

収録が始まった直後には、何事も無かったようにアールマンディのCMの話をしたけれど、本題(!)に話が振られるやいなや、敦賀さんが、

「俺たちは結婚を前提にした真面目なお付き合いさせて頂いています。
 ----あれ?これじゃ交際宣言というより、まるで婚約宣言みたいだ・・・。」

などという爆弾発言を、はにかみながら!最上級の神々スマイルでおっしゃった。

(な、な、何て事を口走るんですか!?)

さらに加えて、あろうことか、

「でも本当に、この先もずっと君の美味しい手料理を食べられたら幸せなんだけどな?」

(これって、まるで・・・。)

「ん?君の手料理なら、ちゃんと残さず食べるよ?」

私が敦賀さんの食事事情の事を出されると弱い事を知ってるくせにっ。

「----残さず食べてくれるのなら、作りますよ?」

そう答えるや否や、私はセットの中だというのに口付けられていた。

FIN

料理が得意な彼女(21)

SIDE KYOKO

アールマンディのCMは大反響を呼んでいる。
妖艶で純情可憐な敦賀蓮が日本中を虜にした、といっても過言ではない。

Webサイトで、ロングバージョンのCMが見られるはずだったけれど、公開当日アクセスが集中してWebサーバーがダウンしてしまったそう。

そしてなんと、アールマンディの売上が30%も上がり・・・私も功績アリと認められ、次のCMは正式に『京子』として出演する、という契約を結んでもらえた。

敦賀さんと私の関係は・・・相変わらず秘密・・・だから表面上はさほど変化が無い。
でも、私は敦賀さんに少し無理をしてでも会いたい、と思うようになった。だから、TV局や事務所で待ち合わせてドライブしたり、敦賀さんのマンションへも、車の後部座席に隠れて出入りしたりしている。

以前の様に、食欲中枢の麻痺している敦賀さんのため、夕飯をつくったり、お弁当を届ける日々を繰り返している。

***

そうした日々が過ぎる中、おしゃれイ○ムというトーク番組に呼んでもらえる事になった。
ゲストは、ブリッジロックの3人と私の計4人。

初代の、きまぐれロックの坊の中身は私だった、という話で盛り上がる。そして、恒例のゲストの鞄の中身チェックの時間が始まった。

・・・見られたら不味いもの・・・敦賀さんとショータローの人形はちゃんと抜いてきた。

「キョーコちゃんの鞄の中身は・・・お財布、ケータイ、化粧ポーチ、IPAD、ソーイングセット・・・ソーイングセット持ってるなんて女の子らしいね~。で、IPADなんて使ってるんだ?なんだかイメージじゃないなぁ?」

「使ってみたらすごく便利なんですよ?
私、マネージャーさんがいないので、スケジュールの管理は自分でするんです。でも、タレント部の主任とか、同じ事務所の方と共演する場合、その方のマネージャーさんとか、にスケジュール管理を手伝ってもらうこともあって・・・紙よりもこうゆう方が、スケジュールを共有するのに便利なんですよ。それに、最近は台本もPDFで頂けたりしますし。」

「じゃぁ、今出演中のドラマの台本もこの中に?」

「そうなんです。」

「へぇ・・・すごいねぇ!!」

一番年長の司会者のウエダさんが大げさに驚きながら関心している。これで、私の荷物チェックは終わりかな?と思っていたら、司会のイズミさんが、

「きゃー、このストラップかわいい~!」

と私の携帯を手に取った。

「あれ~?キョーコちゃん、『坊』のストラップを使っていたのに、変えちゃったんだ?」

と、光さんが続ける。私の携帯には・・・沖縄で敦賀さんが作ったトンボ玉のストラップが付けてあった。

(キョーコが俺を必要とする時に、遠慮しないで俺に連絡くれるように・・・おまじない。)

そう言って、敦賀さん謹製の品をプレゼントしてくれた。高価なプレゼントより・・・世界にたった一つの贈り物・・・うれしかった・・・。いけないいけない、ぼーっとしちゃ!今は収録中!

「ええ、ガラス細工がとても綺麗なので、お気に入りなんです。」

「「「キョーコちゃん、こうゆうの好きそうだもんね~。」」」
とブリッジブロックの3人がハモる。

「あ----?私これ、知ってる! これ沖縄の○×ガラス工房の手作りストラップだ~!」

イズミさんが声をあげた。私はまさか工房の名前がズバリでてくるとは思わなかったので、焦ってしまって、

「あ、そうなんですか?」と、とぼけた。

「キョーコちゃん、最近、沖縄に行ったの?」

私がアールマンディのCMに出演しているというのは・・・今回分は契約で伏せておかなきゃならない。だから、

「行ったことはないんですけど・・・頂きものなんです。」

と答えた。

「実はイズミも○×ガラス工房に行ったことあるんだよ! いいなぁ~って思ってたから、良く覚えてるの!この・・・紐の部分の金属のプレートが工房オリジナルなんだよ~。」

と、ストラップの組紐に編込んである金属のプレートを触っている。

(ひゃー、すごい偶然!)と私が焦っていたら、

「これ、おまじないが掛けられるんだよね~。」

とイズミさんがストラップの説明を始めた。

「は、初耳ですヨ?」

一瞬、ドキッとしたけれど、敦賀さんの「おまじない」を イズミさんが知ってるわけないし・・・。

「ここを・・・こうやって引っ張ると2つに分かれて・・・ほらね!
このプレートの裏に自分のイニシャルを彫って好きな人に贈ると、その相手から電話がもらえるようになるんだって。
効果があるって有名なんだよ? 」

と教えてくれた。

「えぇぇ!?」

(おまじない、ってそうゆう意味だったの!?聞いてないよ!)

「あ~やっぱりイニシャルが入ってる!キョーコちゃんおまじない・・・かけられてるよ~?モテモテだねぇ?」

とイズミさんが、ニコニコしている。
イズミさん・・・天真爛漫キャラで有名で、本当に他意はないんだろうけど、この後の話の流れ次第ではここは編集してもらわなくっちゃ・・・私はとりあえず平静を装って、

「ファンあってのお仕事ですから、あ、ありがたいことですねよね?」

と、ファンからのプレゼント・・・のように誤魔化して答えた。このまま、話が落ち着いて欲しい・・・そう思っていたのに、

「キョーコちゃん!そのストラップ直ぐに外して『坊』に戻しなよ!」

と光さんが突っ込んできた。イズミさんも、

「確かに~、ファンからのプレゼントは嬉しいけど、手作りでしかも『おまじない』が掛けてあるとなると~ちょっとNGかなぁ~?携帯って、肌身離さず持ち歩くものだしね?」

本当は「そうですね。」って言ってストラップを外した方がいいのかもしれないけれど・・・敦賀さんが作ってくれたトンボ玉のストラップ・・・その一生懸命作ってくれた姿を・・・思い出してしまった・・・思わず、反対の言葉が口からこぼれてしまう。

「えっと、これは・・・このままで・・・いいんです。」

「え~!意味深だぁ~! もしかして彼氏からのプレゼント、とか?」

「え、あの、その、まぁ。」と私がワタワタしていると、

「私、イニシャルばっちり見ちゃった!京子ちゃんの彼氏のイニシャルは『RT』でーす!」
「イズミさん!駄目~言わないでください~!」

私が止める間もなく、イズミさんが口に出してしまう。

「え、だって、『このままでいい』とか京子ちゃんが言うから・・・。」

私はもう涙目で、イズミさんが持っている携帯電話を取り返す。

「あ、まぁ、そうなんですが。ちょっと相手が誰か、まだ知られる覚悟がないっていうか・・・。」

「うっそ!もしかして超VIPとか?」

(しまった!)

「イズミが思い付く超VIPのイニシャルRTといえば・・・Ren Tsuruga とかなんだけどなぁ~!?
 あれ?・・・でも?・・・そう言えば、あのアールマンディのCM、ロケ地は沖縄・・・だったかも・・・」

(ぎゃー!!)

私は心の中で大絶叫する。
ブリッジロックの3人と司会の3人が、私の顔を、驚愕の表情でみている。

「「「「「「 敦賀蓮が純情を捧げてる相手って 京子(ちゃん)だったの!!!?? 」」」」」」

(きゃぁぁ!絶対絶命!!!)

沈黙は肯定だもの!何んでもいいから否定しとかないと!!

(・・・否定、するの?)

沖縄のガラス工房で敦賀さんが言った言葉・・・

(俺は、キョーコと色々な場所に一緒に行って、色々な事を一緒にやりたい。恋人として堂々とデートしたい。君に覚悟がないっていうのを尊重するつもりだけど、今日、キョーコが楽しいと思った気持の何十倍も俺がこのデートで幸せになっている、それだけは覚えておいて?)

撮影の時に素に戻った敦賀さんが言った言葉・・・

(君のためなら、いつまでだって待つよ?)

-----------敦賀さんは、私の気持ちを尊重してきっとずっと待ってくれる。そんな敦賀さんの事を否定するなんて、もう私にはできない。

「あっ・・・・はい、良いお付き合いをさせて頂いています。」

私は、肯定の言葉を紡いだ。

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料理が得意な彼女(20)

SIDE ICHIHARA

『恋人ができて敦賀蓮が変わった』

業界内でちょっと有名な話だったが、若造のくせに良い意味でスタイルが確立している蓮がそんなに変わるとは信じ難かった。

しかし・・・蓮の変化は想像以上だった。

だから、キョーコちゃんがあの色気を真正面から当てられてパニックを起こし、蓮を突き飛ばしたのも無理はない、と思った。

実力派女優として名前が売れてきているとはいえ、イメージ通り清純派の『京子』。前回俺が仕事を頼んだ時に、結局彼女を使わなかったのは、恋愛面が未熟だった部分が大きい。今回もまだ彼女には早すぎたか、それとも蓮が凄すぎるのか、そう思っていたら、彼女の雰囲気がガラリと変わった。

----とんでもないものが現れた。

それはまるで白いスクリーン。『京子』から自我が消えた。それに合わせるように、蓮は奴が思い焦がれているという恋人を『京子』の上に見事に描き始めた。望んだ以上の絵が取れて、俺は最高にいい気分だった。

そして、夜のパートの二人の絡みが始まる。また朝のように『京子』が蓮の想い人を写す鏡になるだろう、そう予想していた。

撮影が始まると、蓮は久しぶりに『彼女』に会えた男が持つ、独特の飢餓感をたっぷりとその身に纏った。折しも、外はちょうど日が落ちる時間で背景の夕焼が雰囲気を添える。

(色気が朝のシーンの比じゃねぇし・・・)

一方の京子は、久しぶりの再会に戸惑う風で、純情そのものといった佇まい。

(ちぐはぐ、だよなぁ。)

京子は『彼女』を演じているけれど、雰囲気がバラバラな二人、こりゃ駄目だわ、そう思っていた。しかし、蓮が京子の側までくると、まるで京子の演じる『彼女』と同調するように、蓮の飢餓感がすーっと消え・・・『純情可憐』・・・およそ敦賀蓮には似合わない雰囲気の男が現れた。

(おいおい、とんでもない奴を引きずり出したなキョーコちゃんよ。)

京子が蓮にそっと寄り添う。絵コンテでは濃厚なキスシーンを指示していたのに、実際に二人がしたのは、蓮からキョーコちゃんの頬への軽いキス。でも、俺は酷く切ない気分になって、

----二人のキスシーンに見とれていた。

(もしかして・・・このふたり?)

しばし呆然としていたが「監督?」とスタッフに声を掛けられて我に返った。

「カットー!いやぁ、予定とは違うがずっといい!OKだ!」

料理が得意な彼女(19)

SIDE KYOKO

朝パートの映像の確認をした。
自分の醜態を見るのが恐ろしかったけれど、このCMは相手が私とは分からないよう、カメラが私の背中側からまわっていたから、実際には大したことはなかった。

(はぁ~良かった。)

でも・・・敦賀さんの表情をみて驚いてしまった。

男性スタッフも赤面するような、うっとりとした表情をしていて・・・ベットから降りてシャツを羽織る仕草も軽やかで、しなやかで、服が敦賀さんに焦がれて自分から纏わりついているみたいに見えた。

(なんて完璧な・・・美しい映像なんだろう。私がちゃんと演技をさせてもらえたとしても、こんな絵は引き出せないよ。)

そう思い、気分が沈んでしまった。

***

社さんが予約してくれたランチの場所は、沖縄の古い民家を改築して作られたカフェで、とっても雰囲気が良かった。出された料理も本当においしくて。特に、目の前の畑で作られている野菜がとっても新鮮で味が濃くて、また沖縄に来る機会があったら絶対来たいと思った。

午前中の撮影で、敦賀さんと自分の演技者としての距離にちょっと落ち込んだけど、カフェの周りを散歩しているうちに、なんだか南国の妖精さん達が私を元気付けてくれるような気がして、暗い気分はその明るい雰囲気にすっかり流されてしまった。

(キョーコ!ただ目標に向かって前進あるのみよ!)

私の上機嫌が敦賀さんにも伝わったのか、敦賀さんも口元が綻んでいる。
散歩を終えて覗いた琉球ガラス工房の作品達もすごく素敵で!ガラス細工の体験もさせてもらえて・・・体の大きな敦賀さんが、小さなガラス玉に一生懸命チクチクと細工を施して、とんぼ玉を作っている・・・その姿がなんともミスマッチで、

(可愛いんだもの!)

男の人なのに反則・・・でした。今まで敦賀さんとゆっくり時間を過ごすのは「夜+敦賀さんのマンション」に限定されていて。昼間から、こんな風に敦賀さんと過ごすのは初めてで、

(まるで、デートみたい。すごく楽しい・・・かも。)

と思っていたら、

「俺は、キョーコと色々な場所に一緒に行って、色々な事を一緒にやりたい。恋人として堂々とデートしたい。君が覚悟がないっていうのを尊重するつもりだけど、今日、キョーコが楽しいと思った気持の何十倍も俺がこのデートで幸せになっている、それだけは覚えておいて?」

と、敦賀さんが神々スマイル最大出力でのたまった。
私は軽いパニックを起こしてしまい、了解の言葉を紡ぐのが精いっぱいだった。

***

夕方から、夜パートの撮影が開始された。

まず、私が本来居る場所にカメラが設置され、そこに向かって敦賀さんが歩くシーンが撮られている。最初はゆっくりと優雅に。次は少し早足で。朝のイメージとは正反対のアールマンディのダークスーツも・・・敦賀さんに本当に良く似合っている。

私はそれを眺めながら、もう一度、心を落ち着けて夜パートの役作りを確認する。

(恋人の『彼』は仕事が忙しい。久しぶりに一緒に旅行に行く事になったけれども、彼は仕事が押して遅れてしまう。私は先に着いていて、彼が合流するのを待っている。)

(久しぶりのデート、大好きな『彼』がここに来る。)

朝のように、私が演技放棄をした方がいい絵になるかもしれない。でも、最初から敵前逃亡するのは嫌だ。

敦賀さんオンリーのパートにOKがでてカメラ位置が変えられる。
私は、さっきまでカメラが置いてあった場所に立った。

「アクション!」

敦賀さんが私に向かって優雅に歩いてくる。

(『彼』と久しぶりのデート・・・デート、楽しかった。敦賀さん幸せなんだって。)

私は敦賀さんとのランチを思い出してしまっていた。一緒に散歩したり、ガラス細工をしたり・・・。

気が付くと、敦賀さんが目の前までやってきていた。

(また敦賀さんとデートしたい。でも・・・誰かに見つかったらどうするの?)

多分、私が久しぶりのデートの設定なのに、あまり嬉しそうな顔をしていなかったからだと思う。敦賀さんの演じる『彼』が、私に、

「久しぶり、待ちくたびれた?」

と、声をかける。敦賀さん、ちゃんと演技してる。早く私も『彼女』の役柄を憑かせなくっちゃ、と思うのに、最上キョーコがどうしても出しゃばってしまう。

「・・・ずっと待っていてくれたのは敦賀さんですよね?」

目の前の『彼』が驚いて目を見開いている。私が最上キョーコのままだから・・・敦賀さんに戻してしまった。

「君のためなら、いつまでだって待つよ?」

そう・・・ずっと私を待っていた人。

「お待たせしちゃいました。」

そういって、私は敦賀さんの胸に頬を寄せた。

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プロフィール

Author:Agren
本家のストーリの進行のじれったさに、素敵な2次小説サイトを巡って熱を冷ましていましたが・・・とうとうを自分自身で妄想を開始しました。
2次は愚か、小説初挑戦です!



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